広がるソーシャルコマース

第2回 ソーシャルコマース活用事例

2013年6月7日
東京商工会議所
掲載:東商新聞 2012年11月20日号

桜丘製作所 代表取締役 宮坂 友大氏が、既存のEコマースをソーシャルコマースの活用で成長させるポイントなどを解説します。(全3回)

 今回はソーシャルコマースが実際にどのように活用されているのか、国内外の事例を紹介しながら説明します。
 まず「アイム」の「ライスフォース」の例です。ライスフォースは日本発のお米を原材料にした基礎化粧品のブランドで、2010年度にFacebookページを立ち上げてから一貫してソーシャルメディアを重視したマーケティングを展開しています。その特徴は、Facebook上で購買させる目的ではなく、自社のECサイトへの送客とブランドイメージ向上のためのツールとして利用しているところにあります。日常の投稿で親近感を演出しつつブランドの性格にあった投稿をしていくなど、ソーシャルに最適化されたコミュニケーションをとることで、ユーザーから高い支持を得ています。これによりFacebookユーザーからの認知はもちろん、ファン層のブランドへの愛着をさらに強化することに成功してきました。また、運用にはKPI(Key Performance Indicator)を設定し、結果の分析からの改善プロセスをしっかりと回していく手法が取られ、感覚だけに頼らない施策の最適化が行われています。結果、自社サイトへの訪問ユーザー数、販売件数ともに増加しています。この事例はFacebook社から公式に「成功ケース」としても認められている事例になりました。
 続いては、国内の中小規模のバッグメーカー「HELZ」です。この会社は製作を職人が担い、制作過程などをFacebook上で紹介することで、ブランドへの愛着とものづくりへの信頼感の醸成を上手く行なっています。バッグ製作の過程や道具の紹介は、以前も自社サイトなどで使用してきたコンテンツですが、ソーシャルメディアを活用することで、その向こうにいる職人やスタッフの存在がそれまでよりも強く伝えられ、結果としてブランディングにプラスの影響を与えているようです。また、この企業は実店舗をへの誘導を考えたFacebook施策も打ち出しています。店舗で配布するノベルティーを用意することで来客を促進し、店舗での体験を通じてさらなるブランドへの愛着を高めてもらう戦略です。Facebookを通じて商品に興味が出ても最初から高いバッグを買うことに躊躇する消費者に対して、一度店舗に来店してもらい、物を確かめてから購入することで安心を与える戦略です。消費者は店舗への訪問後に自然と同社サイトから商品を購入したり、あるいは店の様子を自分のFacebookに投稿したりなど、このHELZの事例は実店舗の持つ強みをソーシャルに絡めて最大限活用しているケースと言えます。
 最後は「Pinterest」を使った海外の最新の事例です。「Pinterest」は画像を使ったソーシャルメディアで、自分の気に入った画像をボードにpinする(ピンで止める)ことで、雑誌のスクラップのような感覚で画像を集められ、他人と共有できるサービスです。ユーザーは他のユーザーの画像をre-pin(再度ピンする)ことができ、それによって人気のある画像はどんどんバイラルする仕組みとなります。個人はもちろん、企業でもPinterestアカウントを開設しているところが急増しており、非常に注目されています。楽天が買収したこともあり、ソーシャルコマースとの相性が非常に高いとも評価されています。このピンタレストを上手く活用し、コマースに活用しているのが、「Boticca」というファッション雑貨を扱うEC事業者です。この会社では自社の商品の画像などを集めることはもとより、自社のブランドイメージに合致する画像や、アイディアのための企画書などもアカウント内に蓄積し、ユーザーからの反応を得やすい運用を行なっています。現在ECの売上の10%が「Pinterest」を通じてのものとレポートされている程で、今後もこの比率は上がっていくことが見込まれています。「Pinterest」は日本ではまだユーザー数が数万程度(非公開)ですが、今後伸びていくことが予想されるため、すでに国内のEC事業者でも活用の動きが始まっているところです。


著者略歴
宮坂 友大 桜丘製作所株式会社 代表取締役

掲載:東商新聞 2012年11月20日号

以上