ストレスに悩まない人の習慣

第3回 好きなことをする

平成29年11月7日
東京商工会議所
掲載:東商新聞 2017年5月10日号

 現代はストレスが多い時代といわれていますが、同じような環境にあってもストレスに悩みメンタル不調になる人とならない人がいます。産業医として延べ1万人の働く人と面談をしてきた著者が、ストレス知らずの人たちの習慣やストレスの捉え方、対処の仕方を解説します。

 メンタルヘルス不調者が増加している現代はストレスが多い時代と言われています。しかし、周りから、「あの人は大変そう」と見られていてもストレス知らずの方もいます。そのような人たちは多くの場合、好きなこと=趣味をもち、そして忙しくても趣味の時間をしっかり持っています。

 ワクワクする趣味を持っていると、その趣味に費やしている間は、嬉しい、楽しい、気持ちいいといった感情に浸ることができます。また、好きなことをしている時は誰でもそれに集中していますし、夢中になっています。イヤなことがあっても、その間は忘れられます。その瞬間、その人はストレスから解き放たれているはずです。例えば、テニスをしている時に、ボールを追いかけながら、仕事のことは考えにくいですね。

 そういう時間があると心も身体もリラックスできます。これはメンタルヘルスにとって、とても大切なことです。

 好きなことをする効果は他にもあります。好きなことをしてる時、人はポジティブな感情につつまれ、その繰り返しによって自己肯定感が高まります。自己肯定感が高い人は、ストレス耐性も高いのです。

 また、好きなことをした日は、寝つきが良いです。適度に疲れて、適度にリラックスできて、適度に満たされていて、よく眠れるのです。さらに、好きなことをする仲間やその場は、あなたのサードプレイスにもなり自己アイデンティティを守ってもくれます。

 忙しい人ほど家と会社の往復になりがちです。会社の中にしか自分の居場所=アイデンティティがないと、会社でうまくいっている時はいいのですが、いったん会社でヘマをすると、自分を見失ってしまいがちです。そういう時でも、好きなことを持っている人、例えば「少年野球の指導をしています」「囲碁仲間がいます」という人は、自分のアイデンティティを保てる場所があるので安心です。

 このような話をすると必ず、「忙し過ぎて好きなことをやる暇などない」と言われます。しかし、1日24時間、何にどれくらい時間配分するか決めるのも、優先順位を付けるのもあなた自身です。

 好きなことをするために、仕事を効率良く行い何とか時間を作っている方はストレス知らずです。忙しい中、ほんの少しだけでもいいから「自分が夢中になれることをする時間を作る」ということを意識してみてください。その頻度が多ければ多いほど、ストレスが遮断される時間が多くなります。

 あなたには好きなことがありますか?いずれにしても、行動が大切です。とにかく今すぐやってみましょう!


執筆者:日本ストレスチェック協会代表理事、産業医 武神 健之

掲載:東商新聞 2017年5月10日号

以上