ヒットは必ず生める

第1回 その常識は本当に正しいか

平成29年4月4日

「ヒットを必ず生める、と信じて動いた企業だけが答えを出せる。」ヒットを生んだ企業がどう動いたかを事例で解説します。(全6回)

 「ヒットは必ず生める」。そんな単純な話などあるか、と思われるかもしれませんね。では、言い換えます。「ヒットを必ず生める、と信じて動いた企業だけが答えを出せる」という表現ならばどうでしょう。商品のヒットに偶然や不思議などない、私はそう考えます。
 でも、信じるだけではだめなのも確か。ならば、そうした企業はどう動いたのか。この連載でお伝えしましょう。

右肩下がりの時代に


 「Knot(ノット)」という腕時計の新ブランドが今、勢力を伸ばしています。
 東京の吉祥寺で2014年に誕生。洒脱なデザイン、そして国内での開発・生産に徹しているのが特徴です。
 時計本体はクオーツ式でわずか1万円台、今年登場した機械式でも4万円台半ばです。そしてベルトは、2000~4000円台と、これも手ごろ。
 何が面白いか。本体はおよそ30種、ベルトに至っては毎月のように新作を出し、300種を超えています。消費者はそれらを自由に組み合わせて購入できます。いや、購入時だけの話ではありません。ベルトは工具を一切使わずにユーザーが簡単に脱着できます。つまり、ベルトを何本も買って、毎日の気分や服装に合わせて装いを楽しめるという、ちょっとびっくりの仕掛けなのです。
 腕時計を着けている人は、この10年ですっかり減っています。時刻を確認する術は、いまや多々ありますから。
 それでも「Knot」はブランドを立ち上げました。国産の腕時計づくりの文化を絶やしたくなかったからだと聞きます。熱意だけではなく、そこには冷静さもありました。栃木レザーや京都の組紐をベルトに採用するといったように演出や趣向を凝らしていきました。
 その結果、瞬く間に、本体は月に9000本、ベルトは同1万6000本が売れるブランドに成長。吉祥寺の直営店は、週末ともなると、小さな店舗にも関わらず来店客が押し寄せ、時には入場制限まであります。
 「Knot」の成功をどう読み解けばいいか。私は「常識を疑ってかかった」ところにポイントがあると思っています。
 まず、楽しい腕時計を作れば、こんな時代でも人は振り向く、という分析です。「『超楽しい~!』という声が腕時計の売り場に響くシーンを初めて見た」とは、当のKnot社長から聞いた話です。これまで腕時計に関心のなかった層を取り込んだ証でしょう。


ベルトに注力の理由


 純国産の腕時計は値段が高いもの、という常識も覆しました。これはSPA(製造小売り)のなせる技。と同時に、宣伝広告費を削りに削っています。その代わり、社長自らがメディア各社に足を運び続けるという、泥臭くて地道なプロモーションを重ねました。
 常識を疑うという意味で、最も大きいのは、本体にも増してベルトの開発に力を注いだところでしょう。従来、多くの腕時計ブランドにとって、ベルトはコストカットのターゲットでした。
 ではなぜ、新作のベルトを毎月出すほどに、開発コストをかけるのか。
 社長は言います。「ユーザーが腕時計を一度買うと、ショップとの関係は切れてしまいがち。でも、付け替え用のベルトを続々と出せば、関係は続く」。
 なるほど、と膝を打ちました。「当たり前」を打破した先にこそ、「びっくり」と「超楽しい~」が生まれるのですね。

  
  


執筆者:商品ジャーナリスト 北村 森

掲載:東商新聞 2016年10月15日号




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