中小企業事業引継のポイント

第1回 後継者不在による事業承継問題と事業引継ぎ支援センター

平成25年8月30日

深刻化する中小企業の事業後継者問題。事業継承の対策についてアドバイスします。(全5回)

1.後継者不在による事業承継問題
 近年、中小企業の後継者不在による事業承継問題が注目されています。
 2006年度版の中小企業白書によると、年間の中小企業の廃業社数約29万社のうち、25%にあたる約7万社が廃業の理由に「後継者の不在」を挙げています。
 また、20年前は9割の中小企業が子息などの親族に承継していたのに対し、近年の親族承継の割合は6割程度に留まり、4割弱が親族外の従業員や第三者に承継しているという統計もあります。厳しい経済見通しや時代の変化、価値観の変化に伴って、親族に承継する割合は今後も減少していくものと思われます。中小企業の事業承継の形が大きく変わってきており、多くの中小企業が「誰に、どのように継がせるか」をしっかりと考えなければいけない時代になってきたと言えます。

親族承継…減
従業員承継(MBO)…増
第三者承継(M&A)…増
果たしてどれが会社にとって一番良い方策なのか???

2.早めの情報収集と対策を
 事業承継は会社にとって大変重要な問題です。皆さん重要であることは認識していながらも、まだ元気だし、もう少し先でいいかな、もうひと頑張りして業績を安定させてから考えよう、などと思っているうちにあっという間に月日が経ち、70代というようなことも珍しくありません。
 事業承継には時間が必要です。後継者候補がいるにせよ、その候補者(子息や社員等)への意思確認から実際に跡継ぎとして育成していくまでには、数年単位の時間が必要になります。あるいは第三者への承継(M&A)を考える場合であっても、相手先が見つかるまでは半年から1年、業務の引き継ぎまで含めると年単位の時間がかかるものです。
 特段の対策をとらないまま経営者が高齢になり、健康問題を抱えて長期入院するなど、待ったなしの状況になってからでは、様々な支援者に協力を仰いでも、後継者候補の人選をはじめ、充分な対策を講じることが難しくなってしまいます。
 将来に備えて自社の事業承継問題と向き合い、事業承継・M&Aセミナーに参加するなど、早めに情報収集し方向性を定め、準備をしておくことが大切です。

3.事業引継ぎ支援センターの活動
 M&A支援の経験豊富な専門家は少なく、これまでM&Aを検討している方が公平中立な立場の専門家にアドバイスを受けることは、難しい状況にありました。
 そこで、経済産業省が後継者不在の中小企業の「事業引継ぎ(従業員承継・M&A)」を支援する「事業引継ぎ支援センター」を設立。東京では昨年10月に開設され、今年7月末までに約130社の相談を受けています。
 当センターには、金融機関で長年にわたり中小企業のM&Aの第一線で活躍してきたスタッフなど、その道のプロフェッショナルが常駐し、秘密厳守・無料でご相談を受け付けています。後継者不在の事業承継に関するご相談であれば、規模や内容を問わず、譲りたい、譲り受けたいというニーズいずれにも対応していますので、お気軽にご連絡下さい。

 次回は当センターでもご質問の多い「中小・小規模企業のM&Aの際の株価の考え方」について詳しく解説します。

(東京都事業引継ぎ支援センター サブマネージャー 竹内 寛暁)


執筆者
東京都事業引継ぎ支援センター

掲載:東商新聞 2012年8月10日号




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