会社法改正のポイント

第1回 会社法改正の背景とその概要

平成24年12月17日

「会社法改正のポイント」と題し、中央大学法科大学院 教授 大杉謙一氏がポイントを絞って分かりやすく解説します。(全3回)

 2010年の春に始まった会社法の改正の内容が、ほぼ固まった。8月に法務大臣の諮問機関である法制審議会の会社法制部会で決定された「要綱案」は、9月7日の法制審議会総会を経て、修正されることなく法務大臣に答申された。今後、おそらく年末あるいは新年の頭にかけて条文化されるだろう。国会での法案審議は政治情勢もあり不確定であるが、早ければ来年の春に改正法が成立する見込みである。  会社法の改正では、法案の成立から施行までに半年から1年くらいの期間が置かれることが多いので、企業が迅速な対応を迫られるわけではないだろう。しかし、注意すべき点がいくつかあること、特に中小企業にも無縁でない改正事項もあることから、この連載でポイントを絞って解説したい。
 今般の会社法制の見直しにおいては、社外取締役の義務付けや多重代表訴訟の導入など、企業経営に負担を生じかねない事項が議論の俎上に上った。これは、2005年までの商法・会社法の改正にはあまり見られなかった点である。大まかにいうと、審議会では、規制の強化を求める学識経験者・証券取引所出身の委員と、これに反対する経済界の委員との対立が、いくつかの論点について見られた。私が座長を務めた日本・東京商工会議所の「会社法制の見直しに関する検討会」は、中小企業の立場から、この会社法改正が企業活動を束縛することをできるだけ避けるよう主張している。
 改正作業がほぼ終了した現時点から振り返ると、規制強化派と規制反対派の星取表はほぼ五分と五分といえそうである。たとえば、上場会社に社外取締役の設置を義務付ける提案については、会社法にはこの点は盛り込まないが、その代わりに国会の附帯決議で証券取引所の上場規則で対応することについて合意が成立した。上場規則が、一律に義務付けるものとなるか、それとも努力義務にとどまるものかは、現時点では明らかでない。
 今般の会社法改正において、マスコミなどで注目されたのは、主に上場会社を念頭に置いた議論であった。テーマはさらに2種類に分かれ、1つはコーポレート・ガバナンス、つまり会社経営を改善するための仕組み作りであり、もう1つは親子会社に関するルールである。それぞれの論点の詳細については、次回以降に解説する。


著者略歴
大杉謙一(おおすぎ けんいち) 中央大学法科大学院 教授
 東京大学法学部卒業、東京都立大学法学部助教授を経て現職に至る。コーポレート・ガバナンスやベンチャー企業法、事業再生等が主な研究・活動分野である。経済産業省 企業統治研究会、内閣府経済社会総合研究所M&A研究会等の委員も務める。著書には「M&A攻防の最前線―敵対的買収防衛指針(金融財政事情研究会 2005)」、「ケースブック 会社法(共著 弘文堂 2006)」がある。

掲載:東商新聞 2012年9月20日号




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