ミスを防ぐ仕事術

第5回 あなたは知らないうちに操られている

平成29年10月10日

 日々の仕事につきものの様々なミス。がんばってなくそうとしているのに、なかなかなくならないものです。というのも、我々の脳自体がミスを起こしやすいメカニズムになっているのです。なぜミスが起きるのか、脳のメカニズムとともに解説し、ミスを防ぐ対策を紹介します。

潜在記憶が「バイアス(偏見)」に


 あなたはある商品を買おうとして、営業マンから価格を提示されました。
A:「この商品の価格は5万円です」
B:「この商品の価格は通常10万円ですが、本日限定で半額の5万円です」
 さて、どちらのパターンも価格は同じ5万円ですが、あなたの感じ方に違いがあったのではないでしょうか?
 このようにちょっとした言葉が我々の感じ方、判断に影響を与えます。
 これは何度か紹介している「潜在記憶」の働き。思い出そうとしなくても勝手に思い出されて、思い出されたことも気付いていない記憶です。
 実はこの「潜在記憶」が「バイアス(偏見)」となって、我々の判断、意思決定を歪め、ジャッジメントミスを引き起こす原因となっています。
 様々なバイアスが認知科学の研究で明らかになっていますので、いくつか紹介します。
 冒頭の例は「10万円」という価格が一つの判断基準=「アンカー(錨)」となりました。これが「アンカリング」。
 「自己正当化」は、ある考えを「正しい」と考え始めると、関連する記憶が活性化され、自分の考えに合致する情報だけが呼び出されやすくなることです。自分の考えと合わないことが起きても、それは例外として無視しがちになるのです。
 「利用可能性」とは、自分が思い出しやすいことを「頻繁に起こっている」と思ってしまうことからくるバイアスです。例えば、自分の苦労に比べて他人の苦労は鮮明に記憶されず思い出しにくいものです。このため、「自分ばかり苦労している」と錯覚し、不満を抱きやすくなります。

 
 

バイアスを防ぐためには


 では、このバイアスからどうしたら逃れられるのか?
 まずは、バイアスの存在を知ること。その意味では、バイアスを知ったあなたは既にミスを減らせます。
 また、バイアスにリアルタイムで気付くためには、前回紹介した「意識の矢印」がポイントです。意識の矢印が自分にだけ向いているとバイアスに操られやすいので、相手や状況に向けましょう。
 ただ、厄介なのが「自己正当化」です。誰しも自分がかわいく、守りたいものですから、なかなか逃れられません。このため、「真逆に振る」ことを癖づけするしかありません。具体的には「自分が間違っているかもしれない」と自分を疑う癖をつけることです。
 組織であれば、「死亡前死因分析」がオススメです。これは文字通り、死ぬ前、つまり失敗する前に失敗の原因を分析する方法です。判断を下す前に、「判断を下した1年後、結果は大失敗に終わった」と仮定し、「なぜ失敗したか」を関係者で事前に話し合うのです。


他人が判断する場合は「評価基準」


 ジャッジメントミスには他人が判断するものに関するミスもあります。
 あなたが営業マンでお客様へ提案した内容のミスや、あなたが部下で上司からの指示に対する行動ミスなどです。
 これらのミスの原因は「評価基準のズレ」。つまり、自分とお客様や上司が判断する際の評価基準が違っていることに気付かず、自分の評価基準で判断してしまって、ミスとなるのです。
 これを防ぐには、まず、相手の評価基準を知ること。そのためにはやはり「意識の矢印」を相手に向けることが欠かせません。
 ついつい、自分も相手も同じと思いがちですが、「自分と他人は絶望的なほどに違う」ことを肝に銘じて、評価基準を明らかにしていきましょう。



執筆者:宇都出 雅巳
トレスペクト教育研究所代表。速読・記憶法や心理技法の実践体験に、認知科学の知見を取り入れた学習法を確立し、伝えている。

掲載:東商新聞 2017年5月10日号




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