会頭所信

所信表明

新たな日本再出発の礎を築く~絶えざる進化によりさらなる飛躍を~

Ⅰ.はじめに(現状認識)

東京商工会議所会頭に就任する今期は、デフレ経済から成長経済へ移行を果たし、わが国が存在感のある一流国として存続するための重要な転換期であります。私も会頭として、新たな「日本再出発」の礎を築き、絶えざる進化により、さらなる飛躍に向けて全力を尽くしてまいります。
日本経済は、安倍総理の提唱するアベノミクスにより将来の希望がもたらされ、海外経済の緩やかな持ち直しや円高修正もあり、デフレ脱却の絶好の機会を迎えております。デフレ脱却を確実なものとし、投資、そして雇用や賃金増等を通じ持続的な成長のための好循環を創り出していく必要があります。
世界からも、新興国の成長減速の中で、世界経済の牽引役として久しぶりに日本への関心と期待が高まっております。急速な少子高齢化にある日本が成長力を取り戻すことは容易ではありませんが、日本人の有している潜在能力と国民の連帯感をもってすれば、“日本の再出発”は必ずや成し遂げられると確信しております。

Ⅱ.「日本再出発」に向けた3つの視点

デフレ下のわが国は、自国に対する自信と成長に対する意欲の双方を失っておりました。わが国が新たな再出発を果たし、成長していくためには、次の3つの視点が重要であると考えております。


一つ目は、「わが国の強みと潜在力の再認識とその発揮」です。

わが国の強みは、ものづくりで蓄積された極めて高い人材力と技術力であり、成長のために必要な民間の資金の豊富さであります。世界第三位の経済大国としての実力に加え、久しぶりに政治が安定し、オリンピック・パラリンピックの開催を契機とした国民の連帯感も高まっております。こうした強みを国民が再認識し自らの強さに自信を持つこと、若者や女性が希望と安心を持って挑戦していけることが、わが国の潜在力を高めていくことに繋がります。

永野重雄元会頭は、日本経済の強さの源泉を堅固な石垣に例え、大企業と中小企業の相互補完にあると指摘されました。今日、日本経済をとりまく環境は大きく変化し、国内マーケットの伸びの鈍化、地方経済の停滞といった構造的な課題に直面しております。こうした中で、日本経済の強靭性、事業の多様性、そして産業技術の基盤を支える中小企業の担うべき役割はかつてないほどに高まっております。今後、中小企業や大企業がそれぞれの役割を踏まえ、絶えざる進化を遂げ成長していく「新たな石垣」を築いていくことが必要です。


二つ目は、「経済の主役である民間の自助努力」です。

経済成長の担い手は民間であります。政府に要望すべきことと自らがなすべきことを峻別し、個々の企業が自らの絶えざる進化により、成長に向けて自助努力を積み重ねていくことが大切です。岡村名誉会頭は、「個が光るイノベーション」を提唱し、技術革新のみならず、経営者の意識を含めた変革を求められましたが、まさに同感であり、私としても、この点をさらに発展させていきたいと思います。


三つ目は、「成長に繋がる国際化」です。

個々の企業が海外進出を行うことは生き残りのために必要なことであります。と同時に、わが国の成長を高めるためには、国内に企業が残り、雇用を抱えながら海外需要を取り込むことが重要です。海外の投資や人材を呼び込めるよう、魅力溢れるイコールフッティングの事業環境を整備し、海外投資の配当が日本に再投資される好循環に結び付けていく必要があります。

Ⅲ.「日本再出発」に向けた重点課題および取り組み

1.震災復興と福島再生の早期実現

「日本再出発」のために、まずなすべきは、「震災復興と福島再生の早期実現」です。東日本大震災から2年8か月が経過し、被災地では被災企業が事業再開を果たし、徐々にではありますが、復興への歩みが進んでおり、本格的な復興の加速化が求められております。東京商工会議所では、これまで東日本大震災の直後から「震災対策特別委員会」を設置し、会員企業や全国514商工会議所と連携しながら、被災地を支援してきましたが、さらにこの活動を継続し、一日も早い本格復興に繋げてまいります。

一方、福島再生については、原発事故の早期収束を目指すとともに、除染と15万避難者の生活再建、風評被害の根絶、汚染水問題等の早期解決に、国は強力なリーダーシップを発揮していただきたいと思います。


2.国の基本的な成長政策の再構築

企業は、国内において国際的に不利な条件での活動を強いられております。諸外国に比べ高い法人税の引下げをはじめ、国際的なイコールフッティングの確保、規制改革の推進など企業の競争力強化に対する取り組みは、国のなすべき役割です。

特に、次の分野での政策を再構築する必要があります。

第一は、「エネルギー政策」です。安全が確認された原子力発電所の再稼働により、電力の安定供給と電気料金の上昇の抑制を図るとともに、エネルギーセキュリティー、コスト低減、環境対策等のバランスのとれた中長期的な政策を構築する必要があります。

第二は、「“経済連携協定の着実な推進”と“強い農林水産業の創出”の同時達成」です。TPP、RCEP、日EU等のEPA交渉を着実に推進し、中小企業などが活用しやすいルール・制度整備を図る必要があります。同時に、地域経済活性化のために、農林水産業の競争力を強化する抜本的な方策を具体化していかなければなりません。

第三は、「社会保障制度の再構築」です。給付の重点化・効率化に不断に取り組むことによって持続可能な制度を再構築し、同時に、財政の健全化を図っていくことが必要であります。

これらの課題は、国の将来を左右するものと言っても過言ではなく、揺るぎない意志を持って推進していかなければなりません。商工会議所としても、積極的な政策提言等を行ってまいります。


3.2020年オリンピック・パラリンピックを起爆剤とした東京・日本再出発

本年9月8日早朝、2020年オリンピック・パラリンピックの開催地が東京に決定しました。この瞬間から、都民のみならず多くの国民にとっての共通の目標ができました。あの時の感動は今も忘れることができません。2020年は、復興と再生を果たし輝きを取り戻した被災地と自信を取り戻した日本を、全世界に対し強力にアピールできる絶好の機会となります。東京都においても、ビジョン「2020年の東京」において、オリンピック・パラリンピック開催のみならず、「都市機能の再生」や「観光・まちづくり」、「国際競争力強化」などの諸施策を打ち出しております。東京商工会議所においても、東京都と連携することは言うまでもありませんが、自分たちの地域をいかに活性化していくのかを各支部で、また、業界としてどのように取り組んでいくのかを各部会で検討し、東京ひいては日本再出発に繋げてまいります。


4.若者の育成・就職支援、中小企業の人材確保支援

次代の日本を背負うのは若者であり、日本再出発は彼らの双肩にかかっております。若者に夢と希望を与えることが何よりも必要でありますが、そのためには、我々自身が将来に希望を持ち、成長に向け、行動する姿を若者に見せることが必要です。

商工会議所としても、日本経済を支える人材育成は最重要課題のひとつと認識しており、東京商工会議所に加盟する100近くの大学との間で、さまざまな共同事業を検討・実行しております。具体的には、会議所内に新たな委員会を新設し、会員企業と大学が連携する形で、インターンシップ受入れや中小企業への就職情報の提供などを実施し、若者育成および中小企業の人材確保に取り組んでまいります。

また、起業・創業支援にも重点的に取り組むこととしており、学生向け創業ゼミナールの開催やベンチャー企業育成施策の展開を目指すこととしております。


5.個々の企業の経営基盤の強化

日本の成長のためには、経済活動の主体である個々の企業の経営基盤が強固であることが求められます。東京商工会議所会員企業の大多数が中小・小規模企業であることに鑑みれば、国・東京都と連携のうえ、自助努力を前提としながらも、やる気と潜在力を秘めた中小・小規模企業の経営を支援する政策活動・経営支援活動を強力に展開し、日本再出発に向けた礎を築いてまいりたいと存じます。


Ⅳ.東京商工会議所の活動指針(「絶えざる進化」に向けて)


1.現場主義・双方向主義の徹底

東京商工会議所のミッションは「会員企業の繁栄」「首都・東京の発展」「日本経済の発展」の3点であり、しかもこの3点は同一方向を向いていることが極めて重要であります。会員企業の繁栄のための諸提案も、日本経済の発展につながるものでなければなりません。

会員企業の現場では、様々な課題に対して、悩みぬいた末に独創的なアイデアで自ら解を見出すなど、他企業の模範となるような事例が数多く見られます。一方、自らの力だけではどうしても解決できない構造的な課題に直面している会社も多く存在します。商工会議所の役割は、こうした現場の「解決できた喜び」と「解決できない悩み」の両方をうまく吸い上げ、喜びについては、解決策の糸口として多くの会員企業と共有すること、悩みについては、解決策に関し丹念に対話を重ね、商工会議所の案をひとつにまとめることであります。すなわち「現場主義」と「双方向主義」を同時に実践することであります。

岡村会頭就任後、全会員訪問運動を実施し、会員の生の声を正確に聞くとともに、これらを踏まえて、重要政策課題についてはスピード感を持って統一方針を策定し、各支部との対話を数多く実施するなど双方向の活動を行ってまいりました。全国レベルでは、消費税については100回以上、TPPについては70回、エネルギー政策については50回を超える対話を重ねております。

こうした現場主義・双方向主義は商工会議所の基本行動であり、今後とも継続していきたいと思います。


2.環境・諸制度の改善に向けた発信機能の強化

現場主義・双方向主義に基づき、関係者との間で丁寧な対話を重ねることで、首都・東京、さらに日本全体の成長力向上に資する地に足のついた施策を策定し、国・東京都などへ強く訴えていくことが東京商工会議所に期待されている大きな役割であります。内外情勢が目まぐるしく変化し、次々と新たな課題が発生することから、スピード感をもって発信してまいります。

特に、日本経済の強靭性を支える基盤は、分厚い中流層の中核をなす中小企業であることから、中小企業により一層光をあて、中小企業が創業や新事業展開、海外展開などに果敢に挑戦していける環境の整備、中小企業の自立的な成長に資する諸施策の策定に全力をあげてまいります。


3.ネットワークを有効に活用した連携強化

商工会議所の強みのひとつは、国内外に多数の関係機関との強力なネットワークを持っていることであります。国・東京都との連携は言うまでもなく、全国514商工会議所や海外の商工会議所と緊密に連携するとともに、日本経団連・経済同友会・中小企業関係団体などとさらなる協調を図り、発信力を強化し、先行する好事例を積極的に各関係者と共有化し、横展開を図ってまいります。

また、「勇気ある経営大賞」のように、リスクを恐れず、将来を切り開くためのイノベーションに挑戦し続けている企業を発掘し、顕彰することによって、他の中小企業の方々に勇気を与える活動については、今後とも重点的に取り組んでまいります。他社が真似できない技術やノウハウ持ち、それを上手く活用できれば、まだまだビジネスチャンスがあることを示す好事例や、海外展開において、単に海外に生産拠点や販路を見出すだけでなく「ヒト・モノ・金」の現地化を進め、地域に根ざして事業を展開し成功している好事例等を積極的に発掘し、会員企業と共有化することで、果敢な経営の一助に繋げていきたいと存じます。

このように、東京商工会議所の基盤は7万5千を超える会員の力であり、ネットワークの力であります。皆様のご理解・ご協力のもと、新たな日本再出発の礎を築くために、私も先頭に立って、全力を傾け、活動を推進してまいります。


以 上

平成25年11月1日
東京商工会議所
会頭 三村 明夫

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