日本ヒーター
小柴社長
産業用(工業用)電気ヒーター、電気加熱装置、温度制御機器を製造している。
所在地 | 東京都大田区京浜島二丁目13番15号 |
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URL | http://www.nippon-heater.co.jp/ |
代表取締役 | 小柴 智延 氏 |
創業 | 1924年12月 |
設立 | 1948年10月 |
資本金 | 2億円 |
従業員数 | 28名 |
同社の製品
日本ヒーターは、水や油などの液体、空気やガスなどの気体、金属などの固体等、様ざまな対象を加熱するための、多様な形状・大きさの産業用電気ヒーターと、周辺機器や部品を製造している企業である。
同社は1924年に港区高輪で製造販売を開始して以来、一貫して電気ヒーター関係の製造に取り組んできており、製品品質の良さや信頼性などから、戦前は宮内省、戦後は国鉄(現JR)や電電公社(現NTT)の認定/指定業者として活躍。東京都や中小企業庁からも表彰されるなど、電気ヒーター事業において、多方面で評価を受けている。
同社は1978年に京浜島に移転してくる前は、品川の工業地域に立地していた。ところが用途地域の変更によりその地での工場操業は、騒音・悪臭・振動など、気を使うことが多くなった。そのような日々の意識が、経営者や社員が環境を大切に思う気持ちを育むことにつながったのである。それゆえ、同社は工業地帯・京浜島に移転をしてきても、環境への意識を高く持ち続けてきた。
また、同社が手掛ける「ヒーター」は見方を変えると熱源そのものとも言える。目的とする対象物を温める以外に熱が発生すると、熱はそのまま環境負荷になってしまう。お客様の環境意識の高まりにも応えながら、同社においては、環境への配慮を極めて自然に意識し、日々環境のためにできることから取り組みを行っているのだ。
このように、同社は、何か特別な出来事をきっかけとして、環境への配慮を始めたわけではない。そのため、同社の環境への取り組みには、他の企業でも応用できそうな工夫がみられる。事務所を訪問して気がついた環境配慮の工夫を中心に、以下ご紹介していこう。
同社の事務室は明るい。窓を大きく構えてあるからである。
明るく開放的な事務室
窓にはカーテン
出入口には注意書き(左)
仕切り窓に断熱の工夫(右)
同社の環境への取り組みは、自社内での活動に限定せず、お客様での環境負荷の軽減も意識しているところに、もう一つの特徴がある。
例えば、同社の製品は多くの装置やユニットから構成されているが、それぞれの装置・ユニットを単独で取り外したり、取り付けができるように、製品を設計している。これにより、製品に何らかのトラブルが生じた時に、修繕が容易となり、部材の無駄も、お客様にかかる経費の無駄も防げるからである。
また、ヒーターが熱を発する際に、温まる必要のない箇所にはできるだけ熱が出ていかないように、製品に構造上の工夫を施している。特に、夏にヒーターの熱がお客様の事業所内で放出されると、冷房効果が著しく悪くなり、環境負荷が高まってしまうからである。
製品設計では、回路数を増やして発熱量を最適化させる工夫も行っている。回路数を増やすと製品のコストはアップするが、運転時に最適熱量へのコントロールが可能になり、お客様の電力料金の節約や、放熱の抑制にもつながる。
一見、手間がかかり、コストアップするものであっても、長い目で見て、環境とお客様に真にメリットになることは何か、本質的に何が正しいことか、を考えて行動しているのだ。
環境への意識が元々高かったとは言え、多忙な業務の中では、ややもすると、環境意識は低下しがちである。そこで、同社ではこれまで、社員に環境意識を維持してもらうための工夫を行ってきた。
例えば、電気料金の削減に全社を挙げて取り組んだ時には、削減できた金額の半分を社員に還元するようにした。
そして、削減がある程度のレベルにまで到達した後は、環境省による「エコアクション」プログラムに取り組み、体系的な活動に高めた。
(なお、「エコアクション」に取り組むことで、いわゆるPDCA《Planを立てて、実行し[DO]、結果を確認し[Check]、行動する[Action]というサイクル》の習慣が、業務の中でも習慣づけられるという、副次的効果もあったそうである。)
現在行っているのは、電気使用量・電気料金やゴミの排出量を毎月の会議で報告し、社員で共有することである。会議の資料は、昨年データとの比較をグラフで表示するなど工夫し、分かりやすいものにしている。電気については20以上ある電力系統のそれぞれについての状況も詳しく示す。社員が一目で、どこが問題で、何をしなければならないか、努力はどのような結果につながったか、を明確に把握できるようにしているわけだ。データを示し、「見える化」することが、日々の行動への意識づけの強化につながる。
<取材を通じて>
下請法の注意書き
また、同社の工場内は整頓されて清潔であり、同社が環境への取り組みだけでなく、従業員の安全衛生への配慮、そして法令遵守意識の徹底など、企業の社会的責任に広く留意している様子が感じられました。
(取材日:2016年2月5日)