オリエンタル工芸社
杉本社長
押ボタンや操作パネルなど、自社オリジナルのエレベーター用部品の製造。古い操作盤のリニューアルも行っている。
所在地 | 東京都大田区大森西7丁目2番5号 |
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URL | http://www.orientaru.co.jp/ |
代表取締役 | 杉本 亨 氏 |
創業 | 1959年 |
資本金 | 2,000万円 |
従業員数 | 10名 |
エレベーター用部品の製造を手掛ける同社は、従来から、「質素、倹約、もったいない」を経営の指針として、様々な環境への取り組みを行っていた。2002年に大田区産業振興協会から「大田区優工場」に認定されたことを契機に、杉本社長は「大田区の町工場であることを誇れる取り組みを更に進めていこう」と考えはじめ、倹約活動を深めて、環境への取り組みを目に見えるようしていくことを検討していた。このような中、出会ったのが環境省によるエコ活動認証への取り組み「エコアクション21」。当初はエコアクション事務局からの助言も受け、節電や節水など、地球環境の保護に向けた取り組みを進めた。
同社オリジナルのボタン例
これらの取り組みは従来からの経営指針と合致していたことから、順調に進んだ。
ところが、2011年に発生した東日本大震災を契機に活動の前提となる環境が激変。「エコアクションでは、前年比で省エネルギーや節電・節水などが更に進展することが求められます。しかし、震災時に電力量が大きく制限されたので、それ以降の年度で震災時を上回る実績を上げることは至難の業でした。これまでの節電や節水の取り組みの延長線では、目に見える成果を上げることはできません。そこで、別の方法で環境への貢献ができないかと考えました」。
まず取り組み始めたのは、仕事のやり方の革新である。エレベーターの操作パネルを作る工程を見直すことにより、外注先への往復回数を減らし、省エネルギー・省電力を実現した。また、屋上や周辺の緑化に取り組むことでも、環境保全ができるのではないかと考え、敷地内にグリーンカーテンやバラを植えることによる屋上緑化に取り組んだ。
これらの取り組みは従業員の意識にも変化を芽生えさせた。今では、従業員からも環境への取り組みや業務の改善に関する提案がある。
杉本社長は、「一番大切なのは従業員です。従業員が誇りをもって働ける職場になるようにこれからも改善や改革の取り組みを進めていきたいと思います」と語る。
1.節電
昼休みに消灯をしている。作業時間中も、使用していない部署の蛍光灯や換気扇を止めている。また、通路の照明を見直し、無くても支障のない蛍光灯は外すなどの対策も実施した。
2.節水
水を使用する時は出しっぱなしにすることなく、小まめに止めるように徹底している。また、大田区の補助金を活用して雨水利用のためのタンクを設置。雨水は真夏に涼しさを感じさせるゴーヤや朝顔のグリーンカーテンへの散水に活用している。
3.仕事の仕方の革新
エレベーター操作パネルに加工するアルミ板は外注でメッキ処理を行っているが、従来は操作パネルの形にアルミ板を切断し、その都度メッキ工場に自動車で運んで処理を行っていた。
これを切断せずに大判のままメッキ工場に運び、メッキ後に切断するように製造プロセスを変更。この結果、メッキ工場への往復の回数を削減することになり、時間と人件費、ガソリン代など、環境負荷の低減とコストダウン、納期の短縮が可能になった。
エコアクション21にエントリー
当社はもともと倹約に対する意識は強かったのですが、更にレベルアップするために、エコアクション21にエントリーしたのが現在の活動への契機です。毎年さらに改善して認証を取り続けるのは大変ですが、知恵を絞りながら新たな取り組みに挑戦しています。環境活動は外資系のお客様から高く評価されるなど、経営上の効果もありました。
メッキ方法の見直しのように、事業での工夫を通じて社会的責任を果たしながら利益に繋げているのは、理想的な取り組みと思われます。工場は清掃が徹底されており、粉塵対策工事を進めるなど、従業員への安全に注力していることも印象的でした。節電や節水については注意喚起をするための表示を事業所内の所々に張るような細かな工夫も見られました。中学校や高校からの職場体験の受け入れもしているとのことで、環境に限られない、社会的責任への幅広い取り組みに当社の意識の高さが感じられました。