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原産地証明書の概要(原産地証明書とは何か)





原産地証明書の種類

原産地証明書には種類があります。必要なのはどの原産地証明書なのかを確認した上で取得手続きを進めてください。

1. 非特恵原産地証明書(Non-preferential Certificate of Origin)

「非特恵」、つまり関税優遇(特恵関税の適用)以外の用途に供される原産地証明書です。主に輸入国の法律・規則に基づく要請、契約や信用状(L/C)で必要とされる場合に使います。
輸出国の商工会議所や税関など政府機関で発給されていて、日本では各地の商工会議所で発給されています。

2. 特恵原産地証明書(Preferential Certificate of Origin)

輸入国で関税の優遇を受ける場合に使います。特恵原産地証明書はさらに2種類に分類されます。


(1)EPA原産地証明書
 EPA(経済連携協定)締結相手国の原産品の輸入にあたり特恵関税を適用するために使います。各EPAには原産地証明書発給機関が定められていて、日本では大半のEPAで日本商工会議所が発給機関に指定されています。ただし、日シンガポール協定の原産地証明書は各地の商工会議所が発給しているほか、EPAの中には日EU協定やCPTPPなど事業者自身(輸出者や生産者など)が証明者と定められていて、日本商工会議所で発給を行っていないものもあります。
 日本商工会議所が発給するEPA原産地証明書は法律で「第一種特定原産地証明書」という名称が付けられていることから、特定原産地証明書と呼ばれることもあります。同様に法律上の名称で紹介すると、経済産業省から認定を受けた認定輸出者が作成するEPA原産地証明書は「第二種特定原産地証明書」、認定なしで輸出者や生産者などが作成するEPA原産地証明書は「原産品申告書」となります。


(2)一般特恵原産地証明書
 開発途上国を原産地とする商品の関税優遇を受けるために使います。一般特恵関税制度(GSP:Generalized System of Preferences)と呼ばれる国際的な制度に基づくもので、GSP原産地証明書と呼ばれたり、原産地証明書の様式名からForm Aと呼ばれたりすることもあります。
 一般特恵関税制度のもと、開発途上国の商品に特恵関税を付与しているのですが、後発開発途上国に認定された国の商品に対してはさらに優遇した特別特恵関税を付与しています。
 なお、日本は開発途上国ではないため、日本から輸出する際に一般特恵原産地証明書は発給されません。


日本で原産地証明書を取得するには

1. 非特恵原産地証明書の取得手続き

 2020年以降、オンライン発給(貿易関係証明発給システム)がスタートしています。商工会議所によっては紙発給のみのところもありますので、ご利用の商工会議所で確認してください。


1.
貿易登録
申請予定の商工会議所に貿易登録を行います。同時に、申請を行う際の提出資料が真実であることなどを誓約します。
2.
原産地の確認
日本産であることの判断基準は次のとおりです。
A.
完全生産品
日本で生まれ育った動物、収穫された植物など、日本で生産が完結している商品
B.
実質的変更基準を満たす産品
原則として、商品のHSコード上4桁が、その原材料のHSコード上4桁から変わるだけの加工又は製造が日本でなされているもの
3.
証明書入力
輸出者情報、インボイス情報など、必要項目を入力します。 ※窓口申請する場合は、事前に証明用紙の購入が必要です。
4.
必要書類を揃えて申請
証明依頼書、原産地証明書に加え、コマーシャルインボイスなどの典拠書類を提出します。

参考:東京商工会議所 証明センター


2. EPA原産地証明書の取得手続き

(1)第一種特定原産地証明書

 日本商工会議所で第一種特定原産地証明書の申請を行う場合は、オンライン発給システム(第一種特定原産地証明書発給システム)を使います。


1.
HSコードの確認
輸出入者間でHSコードの認識に相違がないか確認します。原産地証明書に記載するHSコードが輸入国の見解と異なると原産地証明書が使えない場合があります。 輸入国で事前教示(輸入国税関が輸入に先立ちHSコードや原産地の特定をする制度)を利用するのがおすすめです。
2.
関税メリットの確認
関税減免対象品かどうか確認します。EPA原産地証明書があっても関税減免が受けられない商品もあります。
3.
原産地規則(原産品の認定ルール)を調べる
利用するEPAごとに細かいルールは異なりますが、概ね以下のとおりです。

A.
完全生産品
一つのEPA締約国で生まれ育った動物、収穫された植物など、その国で生産が完結している商品
B.
原産材料のみから生産される産品
EPA締約国の原産材料のみを使用してその国で生産される商品
C.
実質的変更基準を満たす産品
EPA締約国以外の国の材料やEPA締約国の原産品かどうか不明な材料(非原産材料)を用いて、この非原産材料に実質的な変更を加える加工・製造をEPA締約国で行った商品

具体的にどのような実質的な変更が必要なのかはHSコードごとに定められていて、次の基準があります。

  • 関税分類変更基準
    商品のHSコードが生産に使用した非原産材料のHSコードと異なる番号となっていれば十分な生産・加工が行われた原産品とする基準
  • 付加価値基準
    商品を生産する際の付加価値を金額で算出し、一定の割合を満たしていれば原産品とする基準
  • 加工工程基準
    商品を生産する際に特定の加工工程が行われていれば原産品とする基準
4.
根拠書類の用意
原産品であることが客観的に分かるような書類を用意します。
5.
日本商工会議所への企業登録
企業登録を行うことで、オンライン発給システムを利用するためのID・PWが付与されます。
6.
日本商工会議所への原産品判定依頼
利用するEPA、原産地基準など必要項目を入力し、上記④で用意した根拠書類を添付して判定依頼を行います(原産品であると判定されると番号が付与されます)。
7.
日本商工会議所への原産地証明書発給申請
輸出者情報、インボイス情報など、必要事項を入力の上、原産地証明書の発給申請を行います。

参考:日本商工会議所 EPAに基づく特定原産地証明書発給事業


(2)原産品申告書

 日EU協定、CPTPPのように事業者自身が証明者となる制度を自己申告制度と言います。自己申告制度を利用する場合も①~④は(1)第一種特定原産地証明書の場合と同じですが、原産品申告書は事業者自身が作成します。
 原産品申告書に記載すべき項目はEPAによって異なるため、下記税関サイトなどで確認してください。


参考:税関原産地規則ポータル EPAの自己申告制度を利用した日本からの輸出について








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