中小企業のためのウェブサイトの分析・改善

第5回 ウェブサイト分析がもたらす価値

2016年10月11日
東京商工会議所
掲載:東商新聞 2016年6月10日号

ウェブサイトを改善することで、顧客の満足度を上げ、ビジネスの拡大を見込める「ウェブサイトの分析や改善」。アクセスログのデータを活用することでわかるサイト利用者の実態とニーズをもとに、それにあったサイト改善を行う方法について、具体的に解説します。(全6回)

分析から得られる3つの気付き


 ウェブサイトを分析しても、ビジネスの改善に活かすことができなければ意味がありません。前回は分析の手法を紹介しましたが、今回は分析からどう気づきを得るか、またその気づきをどう改善に活かすかを紹介します。

 分析から分かることは「サイトの良いところがみつかる」「サイトの悪いところがみつかる」「特定の傾向(例:週末の方が訪問数が多い)が発見される」の3つに集約されます。考え方は非常にシンプルで、良いところをどう増やすか、悪いところをどう減らすか、傾向をどう活用するか、たったこれだけです。では、どうしたらこういった「気づき」が得られるのか、3つの考え方を紹介します。

(1)他ページとの「差」で見る

 例えば、サイトからの離脱を防止するために「直帰率(1ページだけ見て離脱してしまう割合)」を改善するとします。そのためにはまず直帰率が高いページと低いページを特定し、自分の目で該当するページを確認します。この時に大切なのは、直帰率が高いページは「なぜ高いのか?」という観点で確認して直帰率が高いページの共通項を発見し、直帰率が低いページとの差を見つけることです。例えば「ページが長いほど直帰率が高い」「文章だけのページは直帰率が高い」「ページの下の方に次に進むべきページを案内しているほうが直帰率は低い」といった気づきが発見できるかもしれません。こういった気づきを発見できれば、後は悪い部分を直し(今回の例では、長いページは分割する、定期的に画像や見出しを追加するなど)良い部分を悪いページに反映することで改善ができます。数値と人間の目の両方を使って改善案を考えます。

(2)同業他社との比較を行う

 よほどユニークなビジネスやサービスを提供してない限り、同業他社が存在するのではないでしょうか?利用しているユーザー像も近いので、同業他社のサイトは必ず参考にしましょう。自社サイトと比較して、使いやすい部分・使いにくい部分を発見します。そのためには「シナリオ」を立てて自社サイトと同業他社サイトを比較します。「購入した商品は返品・返金可能なのか?」「自分が住んでいる場所に今日注文したら、いつまでに届くのかを調べたい」といった形です。その結果、自社で分かりにくいところがあれば直し、他社で良い部分があれば積極的に取り込みましょう。アイデアに困ったら、まずは同業他社をチェック!をオススメします。

(3)「スクリーンショット」を保存する

 皆さんもパソコンやスマートフォンを普段から使っていると思います。ニュースアプリやソーシャルネットワークなどを活用している方も多いのではないでしょうか。ウェブサイトの改善案を考える上で大切なのは「施策の引き出し」をたくさん用意しておくことです。普段の仕事と関係なくても、例えば、よくできているフォームや分かりやすいデザインがあったら、その画面のスクリーンショットを保存しておきましょう。ここで貯めたスクリーンショットが改善案を考える上で重要な「ネタ」になります。

 

 

まとめ


 ウェブサイトの分析はあくまで手段であり、改善施策を反映して実行する(その結果サイトが改善される)ことがゴールです。ぜひ、分析だけで終わらないように、改善施策の考え方を理解しておきましょう。


執筆者:小川 卓
ウェブアナリスト・経営コンサルタント。リクルート、サイバーエージェント、アマゾンジャパンなどで勤務後、独立。現在は、中小企業から大企業まで様々なサイトのコンサルティングを実施。

掲載:東商新聞 2016年6月10日号

以上