日本経済を読み解く おさらい!経済統計データの基本

第8回 今や海外の主要指標が読めなければ…

2014年6月30日
東京商工会議所
掲載:東商新聞 2013年6月20日号

多くの経済活動を定量的に示す統計データの読み方の基本を、時事的な話題とともに解説します。(全8回)

 「アメリカがくしゃみをすれば日本が風邪を引く」。こんな冗談ともつかぬ言い草があります。これに倣って言えば、いまやユーロがつまずけば日本はケガをし、中国がしゃっくりをすれば日本の脈拍数は一気に上がります。
 つまり、経済社会が急速にグローバル化している中では、海外の経済情勢が直接日本経済に重大なインパクトを与えるのです。2008年のリーマンショックや、ギリシャ、ポルトガル、スペインなど欧州周縁国の財政逼迫、さらには中国の経済成長率の鈍化が日本の経済、株式市場に与えた影響を振り返ってみればわかります。
 私たちが企業、家計を取り巻く経済環境の有り様をチェックするために、海外の主要経済データについての基礎知識は不可欠です。実際、株式投資の世界では毎月初旬に明らかになる米国の雇用データの動向は極めて重大な関心を持って注視されています。
 今回は、米国の経済指標中でも特にわが国経済に対して重要な意味を持つ、雇用や消費、景気指数に関するデータについてご紹介、ご説明します。

●米雇用統計(農業部門を除く雇用者数の前月比での増減状況他)
 原則として米労働省が月初の第一金曜日に前月分のデータを発表します(第一金曜日が1日になる場合は翌週)。米国の景気動向を先行的に示すとても重要なデータです。前月比で15万人程度増加するのが景気に対して中立的な水準だとされます。つまり、たとえ増加していても、この水準を下回ると景気後退の兆しを示すとみなされるのです。
 日本で考えられる以上に米国では、雇用関連データは重要な意味を持ちます。それは、米国では企業の業績変動に応じて雇用状況はとても敏感に動くからです。端的に言うと、業績悪化に対して企業は即刻レイオフなどを実施します。このため日本よりはるかに雇用データは企業業績に連動するという特性を持つのです。
 さらに、この雇用者数データに先行するデータとして注目度が高いのがADP雇用統計です。これは、米国の給与計算請負会社であるADP(Automatic Data Processing)という民間企業が毎月、給与計算データをもとに作成する雇用者数の増減予測です。

●消費者信頼感指数 
 米コンファレンスボード(CB)が毎月25日~月末に発表します。現在・将来の景況感や雇用判断、所得などについて、消費者に対して行ったアンケートを基に作成されています。いわば消費者マインドを指数化したものです。
 とくに米国ではGDPの70%を個人消費が占めるなど、景気に対して個人消費が与える影響がとても高く、注目度が高いデータとして知られます。毎月下旬半ば以降に前月分が発表されます。指数が上昇すると米国の個人消費が増えることが予想され、わが国の対米輸出が増えるという連想が働きます。

●ISM製造業景気指数
 ISM(米サプライ管理協会)が翌月第一営業日に発表するデータです。製造業350社程度の購買担当役員に実施したアンケートによって作成されます。
 生産、雇用、在庫、受注、商品価格、輸出入などにつき、1ヶ月前に比べ好転したか、悪化したかを答えてもらうという方法によっています。企業の業況を判断するためのデータとして重要です。指数が50を上回ってくると景気拡大、それを切ってくれば景気後退の兆候であると判断されます。


執筆者
株式会社金融データシステム 代表取締役 角川 総一

掲載:東商新聞 2013年6月20日号

以上