企業健康診断のススメ

第6回 事業再生に成功するポイント

2013年8月16日
東京商工会議所
掲載:東商新聞 2012年7月10日号

中小企業の事業再生に向けた取り組みを具体的な事例を交えて説明します。(全6回)

 5回にわたり、中小企業の事業再生に向けた取り組みを、具体的な事例を交えて説明してきました。最終回の今回は、中小企業が事業再生に成功するための5つのポイントを挙げたいと思います。

1.再生に向けた強い意思と覚悟
 まずは、経営者の事業再生に向けた強い意思と覚悟が何よりも必要です。なぜなら、再生計画を立案するのも、その計画を実行するのも、最終的には経営者本人となるからです。反省すべきは反省し、覚悟を持ちながら、経営者が自社の現状と改善策を十分に認識した上で、具体的な行動計画を作り、これらを着実に実行に移して行けるかどうかが最大のポイントとなります。

2.苦境に陥った原因の把握とその対策
 次に、自社が苦境に陥った原因(窮境原因)は、そもそもどこにあり、同じ失敗を繰り返さないために、その原因を取り除くことが可能かどうか、という視点が必要になります。窮境原因を正確に把握し、それを根本的に除去するための対策を見出せるかどうかが、事業再生の成功を握る重要な鍵となるのです。

3.社内外との情報共有と透明性の確保
 再生計画の立案とその実践にあたっては、社内一丸となって取り組むことが望まれます。また、金融機関の支援・協力を得るためにも、計画の内容及びその進捗状況を適宜開示する必要があります。一般的に、苦境に陥った会社の場合、正確な情報が内外の関係者にタイムリーに伝わらず、疑心暗鬼を生じさせていることも多いため、それを払拭することが重要になるのです。
 事業再生という難局を乗り越えるためには、経営者の意気込みだけでは難しく、内外関係者からの支援・協力が不可欠です。そのためには、必要な情報の共有化を図り、常に透明性をもって対応することが大切になります。

4.将来的な「事業性」の見極め
 「事業性がある」とは、たとえ今は赤字でも、売上改善策や経費削減策を具体的に十分検討して実行することにより、将来的に安定した営業利益を確保できる、ということを言います。逆に言えば、本当に継続的な利益を確保できる対策になっているかどうかを、実現可能性の観点から客観的に判断し、自社の身の丈に合った事業再生の道筋を模索して行くことが必要となります。この見極めができていれば、会社は自ずと再生への第一歩を歩み出せるはずです。

5.金融機関から支援と協力を引き出す
 事業再生に取り組むには、金融機関からの支援・協力が不可欠です。一時的な返済猶予、返済ピッチの緩和、一時的な運転資金対応など、金融面での支援・協力をお願いする局面が多数生じます。前述のように、経営者が真摯に事業再生への強い意思を示し、誠意をもって適時適切に情報開示することが、金融機関、特に主要行からの理解と支援を得るためには、不可欠な取り組みとなります。

6.最後に
 中小企業にとって、事業再生への道のりは険しいものです。しかし、相談を重ねる中で、経営者の意思と覚悟が固まり、事業改善が一歩ずつ前進することが、再生支援に携わる私共にとっては、この上ない喜びです。

 再生支援協議会では、様々な理由で苦境に陥った企業からの経営相談に無料で応じております。是非、お気軽にご相談ください。

(東京都中小企業再生支援協議会 マネージャー・公認会計士 相澤 啓太 3283-7425)


執筆者
東京都中小企業再生支援協議会

掲載:東商新聞 2012年7月10日号

以上