新卒者等採用動向調査について
平成15年3月17日 東京商工会議所 |
東京商工会議所(山口信夫会頭)では、厳しい雇用環境の中、企業の新卒者等採用動向を探るため、このたび会員企業3,499社を対象に調査を実施し、結果をとりまとめた。 調査期間は平成15年1月20日~1月31日。回答企業数989社(回答率28.3%)。 調査結果の概要は以下のとおり。
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新卒者等採用動向調査結果
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問1 2003年4月入社の新卒採用計画 * 回答企業989社のうち、「採用計画あり」と回答した企業は66.0%(653社、前年比 3.8%減) 、他方、「採用計画なし」と回答した企業は33.7%(333社、前年比3.5% 増)であった。 * 採用に至ったのは612社で、「採用計画あり」と回答した653社の93.7%(前年比 1.1%増)で あった。 * 新卒者を「予定どおり確保できた」企業は67.1%(438社、前年比3.3%増)、「予定どおりでは ないが確保できた」とする企業は26.6%(174社、前年比2.2%減)であった。 * これに対し、新卒者を「一人も確保できなかった」と回答した企業は5.8%(38社前年比 0.3%減) であった。 (回答対象企業数:989社)
採用計画あり: (回答対象企業数:653社)
((1)予定どおり採用できた企業の採用人数)
((2)予定人数ではないが採用できた企業の採用人数)
問1-2 2002年4月(昨年)の新卒者採用人数との増減比較 * 「新卒者を確保できた」企業612社のうち、2002年4月入社(前年)と2003年4月入社 の採用 予定数の比較で、2003年4月入社の方が前年を「上回った」と回答する企業は 38.4%(235 社、前年比4.7%減)で、「下回った」と回答する企業は34.8%(213社、前年比1.0%減)で あった。 * また、「前年度と同程度」と回答した企業は24.7%(151社、前年比3.6%増)であった。 (回答対象企業数:612社)
問1-3 採用活動に利用した募集ツールの状況(複数回答) * 「採用計画のある」企業653社の利用募集ツールについては、「学校への求人票の送付」(425社、 65.1%)が第1位で、次いで「会社説明会の開催」(326社、49.9%)、「自社ホームページでの エントリー受付」(293社、44.9%)の順となった。 * 採用人数と募集ツールの関連をみると、1名~2名の採用では半数以上の企業(51.1%)が「学 校への求人票の送付」を利用し、3名以上の採用になると、「学校への求 人票の送付」に加え、 「会社説明会の開催」の利用が多くなった。また、21名以上の採用になると「会社説明会の開催」 や「就職情報サイトへの参加」の利用が「学校への求人票の送付」より多くなった。(参考1) (回答対象企業数:653社、複数回答可)
問1-4 効果があった募集ツールと効果がなかった募集ツール(複数回答) * 「採用計画のある」企業653社のうち、特に効果があった利用募集ツールとしては第1位が「就職 情報サイトへの参加」(50.8% 前年比10.3%増)、第2位が「合同会社説明会への参加」 (29.8%、前年比 12.2%減)と、昨年と順位が入れ替わった。 * これに対し、期待したほど効果がなかった募集ツールは、「新聞求人欄への掲載」が、33.3%、 「学校への求人票の送付」25.9%となった。 (回答対象企業数653社:複数回答可) (%表示、利用した募集ツールに対して)
問1-5 新卒者を予定どおり確保できなかった理由 * 予定どおりではないが確保できた」企業と「一人も確保できなかった」企業215社の「確保できな かった」理由について、「いい人材がいない」が30.7%と最も多い回答で、また、「学生の辞退」 も19.1%あった。 (回答対象企業数:215社)
問1-6 新卒者一人採用するにあたっての費用 * 一人当たりの採用に伴う費用は、顕著に集中した額はなかったが、30万円未満の額を記載した 企業が過半数(52.3%)を越えた。 * 費用額を単純平均で算出したところ、308、513円であった。 (回答対象企業数:653社)
※一人採用するにあたっての費用の平均額(単純平均)308,513円(52.4%) 問2-1 2004年4月(来年)の新卒者採用予定 * 「採用予定あり」と回答した企業は、現時点(1月下旬)で、48.0%(475社)で前年同期比3.1 %減少している一方で、「採用予定なし」は、16.5%(163社)の前年比2.2%増となった。 * 「採用をまだ決めていない」とする企業は35.0%(346社 前年比1.1%増)であった。 (回答対象企業数:989社)
問2-2 2004年4月(来年)入社の採用活動開始時期 * 2004年4月(来年)の新卒者採用で「採用計画あり」と回答した475社のうち、2003年1月~3月 と回答した企業が47.6%(226社 前年比5.2%増)と最も多かった。また、2002年12月以前 と回答した企業も前年比3.2%の増で、12.2%であった。 * 4月以前の開始が全体の59.8%と昨年に比して8.4%増えており、採用活動の早期化 が一層 顕著になった。 (回答対象企業数:475社)
問3 新卒者採用にあたっての重視するポイント * 新卒者を採用するにあたり重視するポイントとして、「積極性」(377社、38.1%)が最も多く、次 いで、「コミュニケーション能力」(168社、17.0%)、「常識・マナー」(129社、13.0%)の順と なった。 (回答対象企業数:989社)
問4 インターネット利用状況 * 企業の採用活動にインターネットを利用したか否かについては、回答企業989社のうち「利用して いる」と回答した企業は58.4%(578社)、「以前から利用していない」と回答した企業は34.6% (342社)、「以前は利用したが今は利用していない」と回答した企業は4.9%(48社)であった。 (回答対象企業数:989社)
問5-1 「インターンシップ制度」の導入 * インターシップ制度の導入について、「考えていない」とする企業は66.6%(659社)と多く、「既に 導入している」と回答した企業は15.4%(152社)、「職種、時期があえば導入したい」とする企業 は16.5%(163社)となった。 (回答対象企業数:989社)
問5-2 「インターンシップ制度」導入への具体的条件(自由記入) * 「職種・期間などの条件が合えば導入したい」と回答した163社のうち、具体的導入条件としては、 「受入時期・期間」(43社)、「受入部署の理解と協力」(39社)、「職種の一致」 (33社)、などがあ げられた。 (自由回答)
問6-1 ここ1~2年の中途採用募集状況 * 回答企業989社のここ1~2年の中途採用状況については、「中途採用している」と回答 した企業 は80.4%(795社、前年比2.3%増)であった。問1.の2003年4月入社の新卒採用計画で「採 用計画あり」の回答66.0%と比べると、中途採用をしている企業は非常に多かった。 * また、「採用計画なし」と回答した333社においても、「中途採用をする」とする企業は、前年調査に 比して4.6%増の79.3%(264社)となり(参考4)、求人需要は増加 していた。 (回答対象企業数:989社)
問6-2 中途採用をする理由(複数回答) * ここ1~2年の間、中途採用をしている795社のうち、中途採用する理由としては、「即戦力として 採用」するとした回答が75.3%(599社)と最も多かった。ついで「欠員補充」が58.6%(466社 )、「いい人材がいればいつでも採用(通年採用)」と回答した企業は31.9%(254社)となった。 (回答対象企業数:795社、複数回答可)
問7-1 新卒者の通年採用
問7-2 通年採用制度の導入に伴うコスト * 通年採用制度に前向きな企業188社のうち、無回答が42.0%にのぼった。 * 回答いただいた109社の内訳では、40万円未満で半数を越えていた。 (回答対象企業数:188社)
問8 最近の採用に関する悩み * 最近の採用に関する悩み等を自由記入で聞いたところ、「学生の就業意識の低下」、「やる気のな さ」、「学力の低下」、「就職難の割には危機感のない学生が多い」など、学生サイドの質の低下を 指摘する企業が57社あった。また「優秀な学生の確保の難しさ」(24社)、「内定辞退者の増加」 (17社)、「定着率の低さ」(11社)など、学生の動向に関する悩みが圧倒的であった。 * その他、「母集団確保(応募者数の減少)」(27社)、「採用活動の早期化・二極化」(23社)、「経営 環境悪化に伴う採用数の減少」(16社)、「エントリーシートの信ぴょう性」(7社)といった回答があ った。 (自由回答)
(参考1) *採用人数における募集ツール(回答対象企業数438社:複数回答)
(参考2) *採用人数における使用募集ツールの数(回答対象企業数438社:複数回答)
(参考3) *採用人数における採用時期(回答対象企業数:438社)
(参考4) *2003年4月の新卒採用計画はないが中途採用はする (回答対象企業数:333社のうち、264社回答、複数回答)
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