平成１４年４月１２日
東京商工会議所

　東京商工会議所（山口信夫会頭）は、本年４月２日から９日に実施した「新入社員研修」に参加した中堅・中小企業２４１社の新入社員６２３名を対象に行った意識調査結果を別紙のとおりとりまとめた。（有効回答５８７名、９４.２％）

　この調査は毎年実施しているもので、長引く景気低迷のなか厳しい就職戦線をくぐり抜けてきた新入社員の就業意識・仕事観などを聞いた。

　調査結果の主な点は次のとおり。

中堅・中小企業新入社員の意識調査結果

調査の概要

【調査対象】 東京商工会議所が開催した社員研修を受講した中堅・中小企業

２４１社の新入社員　６２３名

【調査期間】 平成１４年４月２日～９日

【有効回答】 男性 ３７２名・女性 ２１５名　　　　

計 　 ５８７名（有効回答率 ９４.２％）

【アンケ－ト調査結果概要】

　　　詳細データは問１～１３の質問事項をクリックしてください。

１．就職観・仕事観（設問事項＝４問）

（問１）入社した会社を選んだ理由

• 入社理由では、昨年、一昨年と同様、「自分の能力・個性が活かせそう」(51.4%)、「仕事の内容がおもしろそう」(51.4%)が最も多く、これに「職場の雰囲気」（42.3％）が続いている。ここ数年来、「会社」志向から「仕事」志向へ、「企業依存」型から「個人自立」型へと就職に対する考え方がシフトし、定着してきている。

（問２）今の会社でいつまで働きたいか　

• 全体では約３割が「とくに考えていない」としながらも、「チャンスがあれば転職」(25.1%)、「将来は独立」(14.8%)と、転職・独立を望む人が約４割おり、この傾向は年々高まっている。
• 女性では、結婚や出産等を機に「時期をみて退職」(17.3%)を考える人が昨年より２.７ポイント増加した一方で、何らかの形で仕事を続けたいと考える人が約4割（44.8%）と、昨年との比較で９.５ポイント増加。二極分化する傾向がみられるなか、女性のキャリア志向は依然として根強い。

（問３）希望する賃金体系　

• 「能力主義型賃金体系」と答えた人が約7割と圧倒的に多く、「年功序列型賃金体系」を大きく上回った。年功要素の強い賃金体系から脱却し、成果・業績主義を基調とした賃金制度を目指す企業が増えているなか、新入社員も一定の理解を示し、実績・成果が賃金へと反映される賃金体系を望む傾向が年々高まりをみせている。
• 男女別にみると、男性75.7%に対し女性65.9%と、男性の方が「能力主義」を望む声が強く、学歴別にみると、学歴が高くなるにつれて、「能力主義」を望む声が強くなっている。　

（問４）目指す社員像のタイプ

• 全体では、「専門分野で秀でたタイプ」(30.7％)、「人間関係を大事にするタイプ」(28.6%)、「様々な分野で活躍できるタイプ」（24.7％）、の順で多い。スペシャリストという自己のキャリアへのこだわりが伺える一方で、対人関係に苦手意識をもっている最近の若者気質が垣間見える。
• 男女別にみると、男性では、昨年と同様、「スペシャリストタイプ」（32.3%）が最も多く、これに対し、女性では、「スペシャリストタイプ」(27.9%)と「人間関係重視」(27.4％)が拮抗し、「職場を明るくするタイプ」は、昨年より７．１ポイント増加。社員の選別化が厳しくなるに伴い、「自己のキャリア志向」を強める男性と、「自己のキャリア志向」と「人間関係重視」の二極分化が強まる女性との違いが浮き彫りになっている。
• 学歴別にみると、高卒では、「人間関係重視」が最も多く、逆に、大卒になると、「スペシャリスト」が多く、高学歴になるに従ってよりキャリア志向が強くなっている。
  
  

２．就職活動について（設問事項＝４問）

（問５）会社選択で役に立った情報源 　

• 会社選択にあたり役に立った情報源は、「インターネット」（63.0％）が昨年比１０．１ポイントの増加で最も多く、昨年まで首位であった「学校の就職部」（52.4％）をはじめて上回った。
• 特に大学院・大卒では、「インターネット」利用が約８割と最も多く、いまや就職活動の情報源の主要なツールとして定着してきている。

（問６）就職活動で苦労したこと　

• ５年連続で「採用枠が少なく競争が激しかった」(71.1%)が最も多く、景気低迷や企業業績の悪化等による企業側の厳選採用の姿勢が、就職戦線の厳しさに拍車をかけている。これに次いで、「内定が遅く活動期間が長かった」(41.7%)、「学歴の壁を感じた」(33.0%)の順で続いている。
• 特に女性では、「採用枠が少なく競争が激しかった」が77.0％と、男性(67.7%)より多く、女性の厳しい就職状況を際立たせている。
• 学歴別でみると、「採用枠が少なく、競争が激しかった」は、大卒、短大卒で多く、「学歴の壁を感じた」は、高専卒、高卒で目立った。

（問７）就職活動中、訪問した企業数

• 全体の６１.５％が９社以下で、学歴別では、大卒の約３割が２０社以上。

平均訪問社数　９．５社（Ｈ13年　１０．１社／Ｈ12年　１１．２社）

（問８）内定がでた時期