中小企業の資金繰り等に関するアンケート調査結果
(4~6月期)


・調査期間 平成13年6月5日~10日
・調査対象 東京商工会議所会員企業(資本金3億円以下の中小企業)476社
・調査方法 23支部の経営指導員を通じた聴き取り調査
・回答数 466社(回答率97.9%)



Ⅰ.調査結果概要

 平成13年4~6月期の資金繰り(平成13年1~3月期に比べた平成13年4~6月期の状況)は「好転した」と回答する中小企業は7.1%と、前回調査(平成12年10~12月期に比べた平成13年1~3月期の状況)の5.1%から2.0ポイント増加、「悪化した」と回答する企業は前回から5.0ポイント減少し26.4%と、資金繰りにやや改善の傾向がみられた。
民間金融機関の貸出姿勢は、「厳しい」(「更に厳しくなった」5.7%と「相変わらず厳しい」52.8%の合計)と回答する割合が借入れをしている企業の58.5%となり、前回調査(60.4%)からはやや減少した。「厳しい」と感じる主な理由は、「金融機関の貸出姿勢の変化」をあげている割合が高く、約半数の企業から回答を得た。
貸し渋りによる企業経営への影響については、「すでに限界にきており、経営に深刻な影響が出ている」「いずれ経営に影響が出ると思う」と回答した割合は、前回調査(72.5%)から1.7ポイント増加し74.2%と回答企業の大部分を占め、経営環境の厳しさへの不安を反映する結果となった。
 

Ⅱ.回答企業の概要について

製造業 建設業 卸売業 小売業 サービス業

合計

97社

40

69

152

108

466

20.8%

8.6

14.8

32.6

23.2

100.0



Ⅲ.調査結果

〔質問1〕

前期(平成13年1~3月期)に比べた今期(平成13年4~6月期)の資金繰り状況はどうですか。

○ 資金繰りが「好転した」と回答する中小企業は、前回(平成12年10~12月期)調査より2.0ポイント増加し7.1%、一方「悪化した」と回答する企業は前回より5.0ポイント減り26.4%と、資金繰りにやや改善の傾向がみられた。

  1.好転した 2.変わらない 3.悪化した 4.無回答 合 計
H13.6月期

33社(7.1%)

302(64.8)

123(26.4)

8(1.7)

466

H13.3月期

23社(5.1%)

277(61.3)

142(31.4)

10(2.2)

452



〔質問2-1〕

民間金融機関の最近の貸出姿勢は、平成13年1~3月期と比べて変化がありましたか。

○ 民間金融機関の貸出姿勢について、「借入れしていない」「わからない」「無回答」の企業を除く229社をみると、「更に厳しくなった」が5.7%、「相変わらず厳しい」は52.8%と、貸出姿勢を「厳しい」と感じている企業は前回(62.8%)から4.3ポイントと、わずかながら減少したものの、依然として5割を超えている。


○ 産業別にみると、「更に厳しくなった」と回答する割合が製造業では2.1ポイント増加した一方、「緩やかになった」とする割合が前回調査に比べ5.8ポイント増加しており業種内でのばらつきがみられる。卸売業、小売業、サービス業はいずれも「更に厳しくなった」とする企業の割合が減り、「緩やかになった」とする企業の割合が増加しているが、「相変わらず厳しい」とする企業が最も多く半数を超えている。建設業は「緩やかになった」とする企業は0ポイントであったが、「更に厳しくなった」と回答した企業は7.1ポイント減少し、7.7ポイントになった。

    さらに厳しくなった 相変わらず厳しい 厳しくない 緩くなった
全業種 H13.6(229社) 5.7 52.8 35.4 6.1
  H13.3(217社) 9.7 50.7 35.9 3.7
製造業 H13.6(53社) 3.8 49.1 39.6 7.6
  H13.3(58社) 1.7 53.5 43.1 1.7
建設業 H13.6(26社) 7.7 53.9 38.5 0.0
  H13.3(27社) 14.8 51.9 22.2 11.1
卸売業 H13.6(38社) 5.3 55.3 34.2 5.3
  H13.3(40社) 10.0 47.5 40.0 2.5
小売業 H13.6(65社) 4.6 52.3 33.9 9.2
  H13.3(56社) 10.7 50.0 35.7 3.6
サービス業 H13.6(47社) 8.5 55.3 31.9 4.3
  H13.3(36社) 16.7 50.0 30.6 2.8

〔質問2-2〕

その理由は主に次のどのような理由によるものと思われますか。

  (質問2-1で「さらに厳しくなった」「相変わらず厳しい」と回答した134社・複数回答)

○ 民間金融機関の貸出姿勢を厳しい(「更に厳しくなった」「相変わらず厳しい」の合計)と回答する企業のうち、厳しいと感じる主な理由として「金融機関の貸出姿勢の変化」と回答する企業が4.4ポイント増加し約半数を占めているほか、自社の経営の悪化をあげる割合が多くなっている。

  H13.6

件数(134社に占める割合)

H13.3

件数(131社に占める割合)

1.金融機関の貸し出し姿勢の変化 72件(53.3%) 68件(48.9%)
2.自社の経営の悪化 30件(22.2%) 27件(19.4%)
3.業界・地域における景況の悪化 23件(17.0%) 27件(19.4%)
4.その他 4件( 3.0%) 6件( 4.3%)
5.無回答 6件( 4.4%) 11件( 7.9%)

〔質問2-3〕

貸し渋りが経営にどの程度影響を及ぼしていますか。

  (質問2-1で「さらに厳しくなった」「相変わらず厳しい」と回答した134社)

○ 民間金融機関の貸出姿勢を厳しい(「更に厳しくなった」「相変わらず厳しい」の合計)と回答する企業のうち、「経営に深刻な影響が出ている」と回答する企業の割合は17.9%と前回(14.5%)に比べ若干増加している。「このままの状態が続くと、いずれ経営に影響が出ると思う」と回答する企業は54.5%にのぼり、貸し渋りによる経営への影響を懸念している企業の割合が前回調査に続き7割を超えた。

 

H13.6

H13.3

1.すでに限界にきており、経営に深刻な影響が出ている 24社(17.9%) 19社(14.5%)
2.このままの状態が続くと、いずれ経営に影響が出ると思う 73社(54.5%) 76社(58.0%)
3.貸し渋りに対して、当面は何とか対応できる 31社(23.1%) 35社(26.7%)
4.わからない 3 社(2.2%) 1 社(0.8%)
5.無回答 3社( 2.2%) 0社( 0.0%)

合    計 

134件 131件