中小企業の資金繰り等に関するアンケート調査結果
(10~12月期)


・調査期間 平成13年12月5日~10日
・調査対象 東京商工会議所会員企業(資本金3億円以下の中小企業)476社
・調査方法 23支部の経営指導員を通じた聴き取り調査
・回答数 459社(回答率96.4%)



Ⅰ.調査結果概要

 平成13年10~12月期の資金繰り(平成13年7~9月期に比べた平成13年10~12月期の状況)は「悪化した」と回答する企業は前回から0.6ポイント増加し32.0%と前回に続いて3割を超え、一部に改善の傾向が見られるものの全体としては厳しい状況が続いている。
 民間金融機関の貸出姿勢は、「厳しい」(「更に厳しくなった」5.7%と「相変わらず厳しい」20.9%の合計)と回答する割合が26.6%となり、全体の4分の1を上回っている。「厳しい」と感じる主な理由は、「金融機関の貸出姿勢の変化」をあげている割合が前回より4.4ポイント増加し45.5%となっているほか、「業界・地域における景況の悪化」とする企業も前回調査から4.8ポイント増えている。
 貸し渋りによる企業経営への影響については、「すでに限界にきており、経営に深刻な影響が出ている」「いずれ経営に影響が出ると思う」と回答した割合は、前回調査(77.4%)から2.1ポイント増加して79.5%と回答企業の大部分を占め、引き続き経営環境の厳しさへの不安が増している結果となった。
 

Ⅱ.回答企業の概要について

製造業 建設業 卸売業 小売業 サービス業

合計

98社

40

68

147

106

459

21.4%

8.7

14.8

32.0

23.1

100.0



Ⅲ.調査結果

〔質問1-1〕

前期(平成13年7~9月期)に比べた今期(平成13年10~12月期)の資金繰り状況はどうですか。

○資金繰りが「好転した」と回答する中小企業は、前回調査(平成13年7~9月期)の2.4ポイント増加して6.5%、一方「悪化した」と回答する企業は前回から0.6ポイント増加し32.0%と前回に続いて3割を超え、全体としては厳しい状況が続いている。

  1.好転した 2.変わらない 3.悪化した 4.無回答 合 計
H13.12月期

30社(6.5%)

276(60.1)

147(32.0)

6(1.3)

459

H13.9月期

19社(4.1%)

281(60.4)

146(31.4)

19(4.1)

465



〔質問1-2〕

民間金融機関の最近の貸出姿勢は、平成13年7~9月期と比べて変化がありましたか。

○民間金融機関の貸出姿勢について、「更に厳しくなった」が5.7%、「相変わらず厳しい」は20.9%と、貸出姿勢を「厳しい」と感じている企業の割合は26.6%となり、全体の4分の1を上回っている。


○産業別にみると、「更に厳しくなった」と回答する企業は建設業で4.5ポイント、卸売業で3.0ポイント減少しており、貸出姿勢の厳しさに落ち着きを見せている。サービス業では「更に厳しくなった」とする企業は2.8ポイント増えているが、「相変わらず厳しい」とする企業は3.8ポイント減少しておりサービス業全体としては改善傾向にある。
※なお、前回の調査から分析対象をすべての回答企業とした。

    さらに厳しくなった 相変わらず厳しい どちらとも言えない 緩くなった
全業種 H13.12(459社) 5.7 20.9 23.3 3.1
  H13.9(465社) 5.6 21.9 20.2 3.0
製造業 H13.12(98社) 7.1 24.5 29.6 3.1
  H13.9(98社) 7.1 21.4 27.6 4.1
建設業 H13.12(40社) 5.0 25.0 27.5 7.5
  H13.9(42社) 9.5 23.8 23.8 7.1
卸売業 H13.12(68社) 4.4 26.5 26.5 2.9
  H13.9(68社) 7.4 25.0 26.5 2.9
小売業 H13.12(147社) 6.1 17.7 17.7 1.4
  H13.9(151社) 5.3 21.2 13.9 2.6
サービス業 H13.12(106社) 4.7 17.0 21.7 3.8
  H13.9(106社) 1.9 20.8 17.0 0.9

〔質問1-3-1〕

その理由は主に次のどのような理由によるものと思われますか。

  (質問1-2で「さらに厳しくなった」「相変わらず厳しい」と回答した122社・複数回答)

○民間金融機関の貸出姿勢を厳しい(「更に厳しくなった」「相変わらず厳しい」の合計)と回答する企業のうち、厳しいと感じる主な理由として「金融機関の貸出姿勢の変化」と回答する企業が4.4ポイント、「業界・地域における景況の悪化」とする企業が4.8%それぞれ増加する一方、「自社の経営の悪化」をあげる企業が5.3ポイント減少し、外的な要因を指摘する割合が多い。

  H13.12

件数(割る122社に占め合)

H13.9

件数(128社に占める割合)

1.金融機関の貸し出し姿勢の変化 71件(45.5%) 65件(41.1%)
2.自社の経営の悪化 43件(27.6%) 52件(32.9%)
3.業界・地域における景況の悪化 41件(26.3%) 34件(21.5%)
4.その他 1件( 0.6%) 5件( 3.2%)
5.無回答 0件( 0.0%) 2件( 1.3%)

〔質問1-3-2〕

貸し渋りが経営にどの程度影響を及ぼしていますか。

  (質問1-2で「さらに厳しくなった」「相変わらず厳しい」と回答した122社)

○民間金融機関の貸出姿勢を厳しい(「更に厳しくなった」「相変わらず厳しい」の合計)と回答する企業のうち、「経営に深刻な影響が出ている」と回答する企業の割合は23.8 %と前回(25.8%)に比べ2.0 ポイント減少したが、「このままの状態が続くと、いずれ経営に影響が出ると思う」と回答する企業は4.1 ポイント増加して55.7%にのぼり、貸し渋りによる経営への影響を懸念している企業の割合が前回調査に続き7割を超えた。

 

H13.12

H13.9

1.すでに限界にきており、経営に深刻な影響が出ている 29社(23.8%) 33社(25.8%)
2.このままの状態が続くと、いずれ経営に影響が出ると思う 68社(55.7%) 66社(51.6%)
3.貸し渋りに対して、当面は何とか対応できる 22社(18.0%) 28社(21.9%)
4.わからない 1 社(0.8%) 1 社(0.8%)
5.無回答 2社(1.6%) 0 社(0.0%)

合    計 

122件 128件