新卒者等採用動向調査について |
平成14年3月8日 東京商工会議所 |
東京商工会議所(山口信夫会頭)では、厳しい雇用環境の中、企業の新卒者等採用動向を探るため、このたび会員企業3,527社を対象に調査を実施し、結果をとりまとめた。 調査期間は平成14年1月22日~1月30日。回答企業数917社(回答率26.0%)。 調査結果の概要は以下のとおり。
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新卒者等採用動向調査結果
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問1 2002年4月入社の新卒採用計画 回答企業917社のうち、「採用計画あり」と回答した企業は69.8%(640社)、他方、「採用計画なし」と回答した企業は30.2%(277社)であった。 「採用計画あり」と回答した640社のうち、新卒者を「予定どおり確保できた」企業は63.8%(408社)、「予定どおりではないが確保できた」とする企業は28.8%(184社)であった。 これに対し、新卒者を「一人も確保できなかった」と回答した企業は39社(6.1%)あった。 (回答対象企業数:917社)
採用計画あり:
((1)予定どおり採用できた企業の採用人数)
((2)予定人数ではないが採用できた企業の採用人数)
問2 2001年4月(昨年)の新卒者採用人数との増減比較 「新卒者を確保できた」592社のうち、2001年4月入社(前年)と2002年4月入社の採用予定数の比較では、2002年4月入社の方が前年を「上回った」と回答する企業(255社、43.1%)が、「下回った」と回答する企業(212社、35.8%)を8ポイント上回った。また、「前年度と同程度」と回答した企業は21.1%(125社)であった。 (回答対象企業数:592社)
問3 採用活動に利用した募集ツールの状況(複数回答) 「採用計画のある」企業640社の利用募集ツールについては、「学校への求人票の送付」(462社、72.2%)が第1位で、次いで「会社説明会の開催」(316社、49.4%)、「学校就職部への訪問」(275社、43.0%)の順となった。近年流行の「就職情報サイト」は、「合同会社説明会への参加」と同様の第4位(269社、42.0%)であった。 採用人数と募集ツールの関連をみると、採用人数の多い企業は母集団形成を図るために、「就職情報サイト」を利用しているほか、自社ホームページでのエントリー受付をしている企業が多い。一方、採用人数が少ない企業は、「求人情報誌への参加」や「学校への求人票の送付」を利用しているケースが多い(参考1)。 また、5名以下の少人数採用企業でも複数(3つ以上)の募集ツールを利用している企業が多い(参考2)。 (回答対象企業数:640社、複数回答可)
問4 効果があった募集ツールと効果がなかった募集ツール(複数回答) 「採用計画のある」企業640社のうち、特に効果があった利用募集ツールとしては「合同会社説明会への参加」(113社、42.0%)が第1位で、「就職情報サイトへの参加」(109社、40.5%)が第2位であった。これに対し、期待したほど効果がなかった募集ツールは、「学校への求人票の送付」(135社、29.2%)、「求人情報誌への参加」(43社、28.3%)であった。 (対象企業数640:複数回答可) (%表示、利用した募集ツールに対して)
問5 新卒者を予定どおり確保できなかった理由 「予定どおりではないが確保できた」企業と「一人も確保できなかった」企業223社の「確保できなかった」理由については、「いい人材がいない」と回答した企業が半数(105社、47.1%)近くを占めていた。 (回答対象企業数:223社)
問6 2003年4月(来年)の新卒者採用予定 「採用予定あり」と回答した企業は、現時点(1月下旬)で、51.1%(469社)に過ぎず、「採用をまだ決めていない」とする企業は33.9%(311社)にのぼった。一方、「採用予定なし」と回答した企業は、14.3%(131社)であった。 (回答対象企業数:917社)
問7 2003年4月(来年)入社の採用活動開始時期 2003年4月(来年)の新卒者採用で「採用計画あり」と回答した469社のうち、2002年1月~3月と回答した企業が42.4%(199社)と最も多かった。また、2001年12月以前と回答した企業も1割程度(9.0%、42社)あった。 (回答対象企業数:469社)
問8 新卒者採用にあたっての重視するポイント(複数回答) 新卒者を採用するにあたり、重視するポイントとしては、「積極性」(745社、81.2%)が第1位で最も多く、次いで、「常識・マナー」(606社、66.1%)、「健康・体力」(549社、59.9%)の順となった。 (回答対象企業数:917社、複数回答可)
問9 インターネット利用状況 企業の採用活動にインターネットを利用したか否かについては、回答企業917社のうち「利用している」と回答した企業は56.9%(522社)、「以前から利用していない」と回答した企業は37.1%(340社)、「以前は利用したが今は利用していない」と回答した企業は3.3%(30社)であった。 (回答対象企業数:917社)
問10 採用活動にインターネットを利用しない理由(複数回答) インターネットを採用活動に「利用していない」企業370社の理由としては、「インターネットを利用しなくても母集団が確保できる」と回答した企業が31.6%(117社)、次いで「インターネットを扱う担当者が不足している」と回答した企業が23.8%(88社)、「コストに見合う効果が期待できない」と回答した企業が22.4%(83社)であった。 (回答対象企業数:370社、複数回答可)
問11 「インターンシップ制度」の導入 学生が在学中に職場体験をする「インターンシップ制度」の導入については、「考えていない」と回答した企業が約7割(67.9%、623社)にのぼった。また、「条件が合えば導入したい」とする企業が約2割(17.9%、164社)、「既に導入している」と回答した企業は約1割(12.2%、112社)にとどまった。 (回答対象企業数:917社)
問12 「インターンシップ制度」導入への具体的条件(自由記入) 「職種・期間などの条件が合えば導入したい」と回答した164社のうち、具体的導入条件としては、「受入時期・期間」(27社)、「職種の一致」(19社)、「受入部署の理解と協力」(10社)、「指導者の不足」(4社)などが挙げられた。 (自由回答)
問13 ここ1~2年の中途採用募集状況 回答企業917社のここ1~2年の中途採用状況については、「中途採用している」と回答した企業は約8割(78.1%、716社)にのぼった。 問1.の2002年4月入社の新卒採用計画で「採用計画なし」と回答した企業277社(30.2%)と比べると、中途採用をしている企業は非常に多い。 また、「採用計画なし」と回答した277社のうち、「中途採用をする」と回答した企業は、74.7%(207社)あった(参考4)。 (回答対象企業数:917社)
問14 中途採用をする理由(複数回答) ここ1~2年の間、中途採用をしている716社のうち、中途採用する理由としては、「即戦力の確保」(611社、85.3%)が最も多かった。また、「いい人材がいればいつでも採用(通年採用)」と回答した企業は285社(39.8%)あり、潜在的求人需要も約4割にのぼった。 (回答対象企業数:716社、複数回答可)
問15 最近の採用に関する悩み等(自由記入) 最近の採用に関する悩み等を自由記入で聞いたところ、「母集団(応募者数)の減少」を挙げる企業(54社)が最も多く、次いで「学生の就業意識の低下」、「やる気のなさ」、「学力の低下」、「就職難の割には危機感のない学生が多い」など、学生サイドの質の低下を指摘する企業も41社あり、その結果、「優秀な学生の確保の難しさ」を感じている企業が14社あった。 また、「採用活動の早期化・二極化」(17社)と、その関連としての「内定辞退者の増加」(10社)や「ネットエントリーの信ぴょう性(インターネットを通じて安易にエントリーする気質)」(7社)などを挙げる企業もあった。一方、採用後の「定着率の低さ」を挙げた企業も17社あり、フリーター感覚で就職する学生の存在も窺わせた。 更に世相を反映してか、「経営環境の悪化による採用者の減少」、「業界の魅力がなくなり希望者が減少(建設業)」、「不人気業種である(不動産業)」、「景気低迷のため新卒者を採用できない(鉄鋼業)」といった回答もあった。 (自由回答)
(参考1) *採用人数における募集ツール(回答対象企業数408社:複数回答)
(参考2) *採用人数における使用募集ツールの数(回答対象企業数408社:複数回答)
(参考3) *採用人数における採用時期(回答対象企業数:408社)
(参考4) *2002年4月の新卒採用計画はないが中途採用はする (回答対象企業数:277社のうち、207社回答、複数回答)
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