1.調査目的 | 東京商工会議所では、平成5年4月に会員中小企業135社を対象とした社会貢献活動に関するヒアリングを実施しているが、5年を経過した本年において活動や意識がどのように変化しているかを把握し、今後の活動の参考とするため、前回調査とほぼ同内容のアンケート調査を実施したものである。 | |
2.調査対象 | 会員データから無作為に抽出した従業員500人未満の企業3,000社および前回ヒアリング企業135社を合わせた計3,135社 | |
3.調査時期 | 平成10年8月17日~31日 | |
4.調査方法 | アンケート用紙を調査対象企業に郵送 | |
5.回答数 | 360社(回収率11.5%) | |
6.結果概要 | |
(1)業種構成(構成比)
(2)回答企業における売上高の状況(前年度との比較)
【社会貢献活動の実態および意識について】
(1)社会貢献活動実施の有無
○回答企業の90%は何らかのの社会貢献活動を実施しており、社会貢献活動も企業活動の一部として定着していることがうかがえる。
(2)社業と社会貢献活動との関係
○企業施設を通じての活動は本業での社会貢献活動に含まれるため、本業を通じての活動は45%、本業以外の活動が55%となっている。前回調査同様、中小企業においても、本業以外の社会貢献活動に積極的に取り組んでいることがうかがえる。
(3)社会貢献活動と業績との関連性
○前回調査と比較して「業績の変化に関係なく活動を継続する」企業のポイントが減少し、「業績が悪化すれば活動を中止する」企業のポイントが増加している。現在の景気低迷を反映しての回答と思われるが、社会貢献活動も業績とは無関係でないとする回答が約6割を占めることとなった。
(4)活動内容
〔回答の多かった社会貢献活動〕
前 回 調 査 | 今 回 調 査 | |
1位 | 地域行事(祭り、運動会、盆踊りなど)の主催・協力 | 町内会やその他市民団体などの活動への支援・協力 |
2位 | 町内会やその他市民団体などの活動への支援・協力 | 地域行事(祭り、運動会、盆踊りなど)の主催・協力 |
3位 | 業種団体や商店街などの活動や行事への支援・協力 | ゴミ・廃棄物処理での積極的な対応 |
4位 | 赤い羽根共同募金など既存の募金活動への支援・協力 | 業種団体や商店街などの活動や行事への支援・協力 |
5位 | 高齢者の積極的な雇用 | 赤い羽根共同募金など既存の募金活動への支援・協力 |
○分野別では、地域協力が32%を占め、前回調査同様、中小企業における社会貢献活動の中心は地域協力であることがうかがえる。特に、「町内会やその他市民団体などの活動への支援・協力」、「地域行事(祭り、運動会、盆踊りなど)の主催・協力」、「業種団体や商店街などの活動や行事への支援・協力」などは回答の多かった活動として前回調査同様、上位5番目までに入るなど、その代表例となっている。
一方、環境問題への取り組みが前回調査より増加しており、回答の多かった活動においても第3番目に指摘されるなど、中小企業においても環境問題への対応が積極的になってきたことがうかがえる。
(5)社会貢献活動で期待する効果
○前回調査とほぼ同様、「見返りを求めるべきではないし、期待しない」企業が約4割を占めた。一方「企業イメージや社会的信頼の向上」を求める企業が前回調査より8ポイント増え、今回一番多い回答となったことは、社会貢献活動も企業活動とは無関係ではないという意識が増加している傾向と言えるだろう。
(6)社会貢献活動をすすめるうえで必要とする条件
○前回調査と同様、「社員の理解とコンセンサスの確立」を求める企業が約5割を占め一番多い回答となった。
一方、前回調査とは指摘順は逆転しているものの、「経営者層の理解とコンセンサスの確立」、「寄附金への税制面での優遇措置」と続いており、社会貢献活動を進めるうえで必要な三条件となっていることがうかがえる。
(7)社会貢献活動に対する考え方・意識
○特筆すべきは、前回調査・今回調査とも「今後も含め、社会貢献活動は全く必要ない」と回答した企業がなかったことである。
一方、「是非必要であり、今後は従来以上に積極的に取り組まねばならない」とした企業のポイントが大幅に減少しており、今回、新たな回答項目とした「必要ではあるが、今の経済状況では無理である」とした企業のポイントが22%あり、現在の経済状況の厳しさをうかがわせる。
【まとめ】
1 | 中小企業における社会貢献活動は、企業活動として定着している。但し、実態や意識において、業績や経済状況の影響を受ける傾向が見られる。 |
2 | 中小企業における社会貢献活動の中心は、「地域協力」である。但し、「環境問題に関する取り組み」も積極的になってきている。 |
3 | 中小企業における社会貢献活動で一番に期待するものは、「企業イメージや社会的信頼の向上」であり、社会貢献活動も企業経営における一つのツールになってきている。 |