中小企業の資金繰り等に関するアンケート調査結果
(7~9月期)


・調査期間 平成12年9月5日~10日
・調査対象 東京商工会議所会員企業(資本金3億円以下の中小企業)476社
・調査方法 23支部の経営指導員を通じた聴き取り調査
・回答数 452社(回答率95.0%)



Ⅰ.調査結果概要

 平成12年7~9月期の資金繰り(平成12年4~6月期に比べた平成12年7~9月期の状況)は「変わらない」と回答する企業の割合が約7割を占めているが、「悪化した」としている中小企業は26.8%で、前回調査(平成12年1~3月期に比べた平成12年4~6月期の状況)の23.1%から3.7ポイント増加した。
 民間金融機関の貸出姿勢は、「厳しい」(「更に厳しくなった」5.8%と「相変わらず厳しい」58.0%の合計)と回答する割合は、前回調査の53.1%から10.7ポイント増加し、借入れをしている企業の63.8%となった。そのうち、「厳しい」と感じる主な理由として、「金融機関の貸出姿勢の変化」による厳しさをあげている割合が高く43.2%となっている。
 貸し渋りによる企業経営への影響については、「すでに限界にきており、経営に深刻な影響が出ている」「いずれ経営に影響が出ると思う」と回答した割合が62.9%と、前回調査の56.4%から6.5ポイントの悪化、6割にのぼる企業が経営環境の厳しさに不安を募らせている。

Ⅱ.回答企業の概要について

製造業 建設業 卸売業 小売業 サービス業

合計

93社

46

71

151

91

452

20.6%

10.2

15.7

33.4

20.1

100



Ⅲ.調査結果

〔質問1〕

前期(平成12年4~6月期)に比べた今期(平成12年7~9月期)の資金繰り状況はどうですか。

○ 7割近くの企業は「変わらない」と回答しているが、平成12年4~6月期に比べて、資金繰りが「悪化した」と答えている中小企業は26.8%で、前回の23.1%よりも3.7ポイント増加した。

  1.好転した 2.変わらない 3.悪化した 4.無回答 合 計
H12.9月期

15社(3.3%)

306(67.7)

121(26.8)

10(2.2)

452

H12.6月期

18社(4.0%)

314(69.2)

105(23.1)

17(3.7)

454



〔質問2-1〕

民間金融機関の最近の貸出姿勢は、平成12年4~6月期と比べて変化がありましたか。

○ 民間金融機関の貸出姿勢について、「借入れしていない」「わからない」「無回答」の企業を除く224社をみると、「更に厳しくなった」が5.8%で、前回の4.5%から1.3ポイント増加、また「相変わらず厳しい」は58.0%で、前回の48.6%から9.4ポイント増加しており、貸出姿勢を「厳しい」と感じている企業は6割を超え、厳しい傾向が若干強まっている。

○ 産業別にみると、「相変わらず厳しい」と回答した割合が全産業とも増加、卸売業を除く4業種で「厳しい」(「更に厳しくなった」「相変わらず厳しい」の合計)と回答する割合は半数を超え、特に建設業、小売業では「厳しい」と感じている企業の割合が高く、それぞれ75.1%、70.4%と悪化の度合いが増している。一方、卸売業では、「緩くなった」と回答した割合が前回から4.6ポイント増加の4.6%と一部改善の兆しはみられるが、「厳しくない」と回答する割合がどの業種も減少しており、全体的に貸出姿勢は厳しい傾向となっている。

    さらに厳しくなった 相変わらず厳しい 厳しくない 緩くなった
全業種 H12.9(224社) 5.8 58.0 32.1 4.0
  H12.6 (220社) 4.5 48.6 41.4 5.5
製造業 H12.9 ( 55社) 0.0 54.6 41.8 3.6
  H12.6 ( 54社) 3.7 35.2 50.0 11.1
建設業 H12.9 ( 32社) 6.3 68.8 18.8 6.3
  H12.6 ( 30社) 6.7 60.0 30.0 3.3
卸売業 H12.9 ( 44社) 4.5 56.8 34.1 4.6
  H12.6 ( 40社) 7.5 55.0 37.5 0.0
小売業 H12.9 ( 56社) 10.7 60.7 25.0 3.6
  H12.6 ( 59社) 3.4 50.8 39.0 6.8
サービス業 H12.9 ( 37社) 8.1 51.4 37.8 2.7
  H12.6 ( 37社) 2.7 48.6 45.9 2.7

〔質問2-2〕

その理由は主に次のどのような理由によるものと思われますか。

  (質問2-1で「さらに厳しくなった」「相変わらず厳しい」と回答した143社・複数回答)

○ 民間金融機関の貸出姿勢を厳しい(「更に厳しくなった」「相変わらず厳しい」の合計)と回答する企業のうち、厳しいと感じる主な理由として「金融機関の貸出姿勢の変化」と回答する企業が43.2%で、次いで「自社の経営の悪化」が28.4%となっており、「その他」には、「金利の上昇」という回答があげられている。

  H12.9

件数(143社に占める割合)

H12.6

件数(117社に占める割合)

1.金融機関の貸し出し姿勢の変化 67件(43.2%) 53件(45.3%)
2.自社の経営の悪化 44件(28.4%) 32件(27.4%)
3.業界・地域における景況の悪化 32件(20.6%) 29件(24.8%)
4.その他 9件( 5.8%) 9件( 7.7%)
5.無回答 3件( 1.9%) 5件( 4.3%)

〔質問2-3〕

貸し渋りが経営にどの程度影響を及ぼしていますか。

  (質問2-1で「さらに厳しくなった」「相変わらず厳しい」と回答した143社)

○ 民間金融機関の貸出姿勢を厳しい(「更に厳しくなった」「相変わらず厳しい」の合計)と回答する企業のうち、「経営に深刻な影響が出ている」と回答する企業の割合は11.2%(前回11.1%)と横ばい、「このままの状態が続くと、いずれ経営に影響が出ると思う」と回答する企業は半数を超え、51.7%(前回45.3%)と貸し渋りによる経営への影響を懸念している企業の割合が増加し、6割にのぼる企業が経営環境の厳しさに不安を募らせている。

 

H12.9

H12.6

1.すでに限界にきており、経営に深刻な影響が出ている 16社(11.2%) 13社(11.1%)
2.このままの状態が続くと、いずれ経営に影響が出ると思う 74社(51.7%) 53社(45.3%)
3.貸し渋りに対して、当面は何とか対応できる 48社(33.6%) 45社(38.5%)
4.わからない 5社( 3.5%) 4社( 3.4%)
5.無回答 0社( 0.0%) 2社( 1.7%)

合    計 

143件 117件