シェアリング・エコノミー

第1回 シェアリング・エコノミーとは?

2017年8月1日
東京商工会議所
掲載:東商新聞 2017年3月10日号

 シェアリング・エコノミーとは、個人が所有する資産のうち、使っていない部分や時間を、インターネットを介して貸し借りするサービスです。スマートフォンの普及により、シリコンバレーを起点に世界中に爆発的に広がりました。その仕組みや、社会に与える影響、可能性について解説します。

 シェアリング・エコノミーの代名詞である「Uber(ウーバー)」「Airbnb(エアービーアンドビー)」。Uberは時価総額約7兆6800億円、Airbnbは約3兆4000億円を超え、時代を代表する企業として急成長しています。
 シェアリング・エコノミーとは、個人が所有する資産のうち、使っていない部分や時間(遊休資産)を、インターネットを介して貸し借りするサービスのことです。これらはスマートフォンの普及により、手軽にマッチングできるようになったことから、米シリコンバレーを起点に世界中へ爆発的に広がりました。これらの日本国内市場規模は2014年度に約233億円でしたが、18年度までに462億円まで拡大すると予測されています。また、世界市場規模は13年で約1兆6900億円、25年までに約37兆9200億円へ急速に拡大すると見込まれています。


具体的にどういうもの?


 日本でも有名な民泊仲介サイト「Airbnb」を例に見ていきましょう。同サイトは、空き家や空き部屋を宿泊施設として貸し借りできるものです。例えば、上京した息子が使っていた部屋を、「Airbnb」に登録し、貸し出すとします。利用ルールや値段をサイトに掲載すると、利用希望者から予約が入ります。サイトを介して住所を知らせるなどのやりとりを行い、当日は宿泊受け入れを行うだけ。支払いはサイト側が処理し、直接のお金のやりとりはありません。また利用者と全く顔を合わさずに貸し出せるケースも多く、言語が通じない相手でも最低限のやりとりでできる気軽さが、普及拡大を後押ししています。
 「Uber」は自家用車を利用したサービスです。ドライバーは空いている時間をタクシーとして提供し、利用する側はタクシーよりも安価に利用できるメリットがあります。このように個人と個人が直接取引するもの(CtoC)から、中小印刷企業の空き時間を集約して大型発注に対応する企業と企業が取引するもの(BtoB)まで、その種類は多岐にわたります。空いた時間と資産をインターネットで効率よく結びつけることで、利用者はより安価に、提供者はより保有リスクを下げる、「双方良し」の関係が成り立ちます。

 

 

信頼で成り立つ仕組み


 気になるのは安全性や信頼の担保です。実際、シェアリング・エコノミーのサービスは、双方が身の危険を伴う可能性があるため、各国の規制との調整など課題は多いといえるでしょう。一方、双方が事前に利用の可否を選択できる仕組みにより、ミスマッチや悪用を未然に防ぐ効果を生んでいます。さらに信頼の蓄積により、提供者は利用者との交流を深め多彩なサービスを提供できる可能性が広がり、利用者は豊かな選択肢を低コストで楽しめるようになります。よって、シェアリング・エコノミーは単なる貸し借りサービスではなく、双方の信頼に基づき、より多様で情緒ある人生の選択肢を提供するものであるともいえるのです。そして大事なのは、これらがインターネットを介したサービスであるため、国を超えた存在になりつつある「超国家プラットフォーム」として拡大傾向にあり、それゆえ各国での調整が増えていることです。次回は遊休資産活用の原理とさらに潜む可能性をご紹介します。



執筆者:尾原 和啓
著作家・IT評論家。経済産業省対外通商政策委員、産業総合研究所人工知能センターアドバイザーも務める。

掲載:東商新聞 2017年3月10日号

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