東京商工会議所

株式会社シンギー

運動を促す動画の配信を通じて
コロナ禍でも効果的に
従業員の健康を支援

  • 運動
  • 女性の健康
  • 喫煙

株式会社シンギー

本社: 東京都千代田区五番町5-5 ヒューリック五番町ビル8F

代表者名: 代表取締役 藍澤 良友 氏

設立: 1997年

従業員数: 23名

事業内容: 健康食品・サプリメントのOEM受託製造、化粧品のOEM受託製造、自社ブランド商品の製造、販売

専門家派遣制度を利用した期間

2022年9月~2023年3月

支援専門家

健康運動指導士

専門家派遣制度を利用したきっかけ

コロナ禍において、従業員の健康を支援できる方法を知りたい。

健康食品、サプリメント、化粧品などを製造販売するシンギー。中国・天津に工場を構え、自社のオリジナル製品の製造と販売、OEM受託製造を行っている。従業員は20代・30代がそれぞれ10名ずつ、40代が3名と、若いメンバーが活躍する会社だ。
同社は2022年に経済産業省の「健康経営優良法人」認定を取得している。健康食品を扱う会社ということもあって、「従業員の健康意識は高いし、少なくとも健康に関する知識は豊富な会社だと思います」と代表取締役の藍澤良友氏は言う。
「週に1回、健康に関連する勉強会を開催しています。テーマはさまざまで、例えば、どんな生活習慣だとどういった疾病のリスクが高まるのか、それを改善・予防するためにはどうすればいいのか。漢方理論を学ぶ回もあれば、乳酸菌について学んだり、最新の研究結果をシェアして新しい健康食品のヒントにしたり、といった具合です」(藍澤氏)
そのような同社だが、コロナ禍で従業員の半数以上がリモートワークを実施するようになり、顔を合わせなくなった従業員達の健康状態が気になっていた。そのような折、健康経営エキスパートアドバイザーであり、健康運動指導士の竹田大介氏に出会った。藍澤氏は、コロナ禍でも従業員の健康をサポートできる取組の方法をアドバイスしてもらえればと思い、竹田氏を通じて専門家派遣制度に申し込んだ。

代表取締役 藍澤 良友 氏(左)
                        総合管理部 係長 小道世 健 氏(右)
                        総合管理部 石橋 悠理 氏(中央)
代表取締役 藍澤 良友 氏(左)
総合管理部 係長 小道世 健 氏(右)
総合管理部 石橋 悠理 氏(中央)
専門家派遣による支援と取組
  • ● 従業員の運動を促す動画を配信
  • ● 女性特有の健康課題についてセミナーを実施
  • ● 禁煙を促す声掛けを実施

専門家の竹田氏(健康運動指導士)は、従業員を対象に実施した健康経営の事前アンケートの結果から、運動の習慣が少ないこと、及びストレスを感じている従業員が複数いることを指摘した。これに対して、竹田氏が作成した運動を促す動画を全従業員へ配信。具体的なエクササイズ方法を紹介することで、運動不足の解消と併せてストレスの解消を図った。コロナ禍で出社する機会が減っていること、一堂に会しての運動イベントやセミナーの実施は難しいことを踏まえて、各自が自宅等で、コロナへの感染リスクなく取り組めるように配慮をした。
また、従業員の4割が女性であるにも関わらず、女性特有の健康課題についての情報発信や学びの場が設けられていなかったため、女性従業員を対象にセミナーを実施。子宮体がん、子宮頸がん、乳がんといった女性特有の疾患の説明と早期受診の促しを行い、講師は社内の管理栄養士が務めた。
さらに、積極的に行ったのが禁煙を促す取組だ。喫煙者が7〜8人と、全体の3割ほどいたが、「認定取得を目指すことを理由に積極的に声掛けを行った」と、健康経営の推進を担当した小道世氏は言う。声掛けは基本的に、テレワーク用に導入しているコミュニケーションツールを利用して行った。
「喫煙者に対しては、『認定があるので、みなさん“気合い”でタバコをやめましょう』と声掛けをしました(笑)。もちろん気持ちの部分も大きかったと思いますが、これまでも喫煙のリスクについては情報発信をしてきましたし、従業員は仕事柄、そのあたりの知識は十分に持っていましたから、それが禁煙しようという気持ちにつながったのではないかと思います」(小道世氏)

取組による効果、今後の展望
  • ● 従業員の運動不足を解消した。
  • ● 女性特有のがん検診を受ける従業員が増えた。
  • ● 喫煙率が低下した。

対面でのコミュニケーションが取りづらいコロナ禍でも、オンラインを活用して運動を促す動画を配信したことで、運動機会を提供することができた。健康経営の事後アンケートによると、直近1週間で週2日以上運動を行った人の割合が増えており、”こころの健康”や”ウェルビーイング”の指標も改善していることから、動画配信が従業員の運動不足の解消と、それによるストレスの解消につながったと言えそうだ。
また、女性特有の健康課題に関してのセミナーを行ったことで、健康診断の際、女性特有のがん検診を受診する従業員が増えた。検診にかかる費用はすべて会社が負担していることも、受診の後押しになったはずだ。
喫煙者は減少。3人が禁煙に成功した。コロナ禍で、喫煙者はコロナ罹患時に肺炎になるリスクが高いといった状況なども、禁煙につながったと言えそうだ。
前年に続き2023年の経済産業省の「健康経営優良法人」認定も取得。認定のロゴマークは従業員の採用活動にも活用している。「若い人ほど、働きやすさや福利厚生を重要視すると感じているので、認定を取得していることは、求職者からポジティブに捉えられていると思います」と藍澤氏は言い、一定の効果を感じているようだ。
今後は、「従業員同士が自発的に運動を行うことで、健康になるだけでなく、社内コミュニケーションが活性化することを期待している」と藍澤氏。実は、専門家派遣制度の利用と時を同じくして、偶然にもプロのシュートボクサーが入社。格闘家であり体づくりのプロフェッショナルがメンバーに加わったことで、社内では現在、筋トレブームが発生している。
「従業員のデスクを見渡すと、プロテインが5、6個置いてあります(笑)。これまでも、ボウリングなど、スポーツアミューズメント施設に遊びに行ったりと、従業員同士が運動したりコミュニケーションを図る際にはその費用を会社が一部負担していました。コロナ禍では利用する従業員がいませんでしたが、やっとコロナ禍が明けましたから、積極的に活用して欲しいですね」(藍澤氏)
現在盛り上がっている気運を、さらに継続・発展させて、従業員がより健康に働ける環境を整えていきたいと笑顔を見せた。

経済産業省の「健康経営優良法人」認定を取得
経済産業省の「健康経営優良法人」認定を取得

健康経営エキスパートアドバイザーより

  • 従業員の運動不足解消が第一の課題でしたが、コロナ禍でリモートワークを実施しており会社に集まる機会がない、また集まれないといった状況の中、運動するモチベーションを高める動画や、自宅で効果的に運動を行うための動画を作成し、全従業員に配信して頂きました。
    その結果、運動日数が改善し、支援が必要な程度の心理的苦痛を感じる割合も減少する結果が得られ、運動不足とストレスの解消につながり、その結果従業員の健康に対する意識が変わり、がん検診受診率の向上や喫煙率の減少にもつながったものと思います。
    これからも、従業員の健康促進のため、健康経営を推進して頂けると幸いです。
  • 竹田 大介 氏(健康運動指導士)
(取材:2023年11月)