東京商工会議所

東京西サトー製品販売株式会社

仕事と治療の両立支援制度の創設など
思いやりの経営で社員の信頼を獲得

  • 組織・体制づくり
  • 健康診断
  • こころの健康

東京西サトー製品販売株式会社

本社: 東京都立川市富士見町1-3-14

代表者名: 代表取締役 横川 みどり 氏

設立: 1981年

従業員数: 43名

事業内容: バーコードプリンタ等電子機器器具の提案・販売、ネット販売事業等

 幅広い業界に向けたバーコードプリンタやRFIDシステムの導入販売を核に、ネット販売事業も展開。

専門家派遣制度を利用した期間

2018年11月~2019年3月

支援専門家

社会保険労務士

専門家派遣制度を利用したきっかけ

健康優良企業「金の認定」取得を目指して、社内体制を整備したい。

「中小企業は社員一人の役割が大きく、家族みたいなもの。『煙草はやめましょう』とか、『健康診断はちゃんと受けましたか』とか、つい心配してしまいます」
同社の横川みどり社長は、“お互いを思いやる経営”を実践し続けている。その様子を、マーケティング部課長の黒瀬由美氏は、「みんな社長が好きで、社長の思いを知るほどに、まじめに働こうと思うのです」と笑顔で語る。
健康診断の全員受診に向けたサポート、禁煙の勧め、歩数計の配布のほか、保育園を併設し子育て世代が勤務できる体制を整えるなど、個々の社員の事情に即した働き方の提供を行い、働き手から信頼される会社作りを行っている。
この健康経営の取組を客観的に社内外へアピールできるよう、健康経営に関する各種認定を積極的に目指すことにした。もともと独自に取組を進めていたことで順調に健康優良企業「銀の認定」や「健康経営優良法人」を取得し、次に健康優良企業「金の認定」を目指すこととしたが、「金の認定」の申請要件に高いハードルを感じた。「会社がうまく回っていればOKと、様々な支援制度について明文化していない点もあったからです」と横川社長。そこで、専門家派遣により、誰もが分かる規定、制度づくりによる社内体制の整備を進めることにした。

禁煙週間のポスター
禁煙週間のポスター
代表取締役 横川 みどり 氏(右)/ マーケティング部課長 黒瀬 由美 氏(左)
代表取締役 横川 みどり 氏(右)
マーケティング部課長 黒瀬 由美 氏(左)
専門家派遣による支援と取組
  • ● 定期健康診断後の保健指導導入と再検査の受診勧奨の実施
  • ● メンタルヘルス対策の強化とその取組の明文化
  • ● 仕事と治療の両立支援制度の創設

「金の認定」では、メンタルヘルス対策や仕事と治療の両立支援など幅広い取組が必要で、多くの取組で会社の制度の有無が問われる。
同社を担当した専門家、吉野美奈子氏(社会保険労務士)は、「金の認定」で定められている項目の内容と、同社の実践を照らし合わせ、要件を満たす項目と不足する項目を整理した。その結果、同社の課題として、定期健診後のフォロー、メンタルヘルス対策の強化、仕事と治療の両立支援制度の創設の3点が抽出され、これらの解決のため支援を進めることとなった。
まず、定期健診後のフォローについては、健診後の保健指導や再検査の受診勧奨が十分に行われているとは言えない状況であった。そこで、小規模事業場を対象に産業医による保健指導を行う地域産業保健センター(北多摩地域産業保健センター)のサービスの紹介や、再検査の受診勧奨メールの発信、特定保健指導の実施方法に関する助言を行い、健診受診後のフォロー体制を整えた。
メンタルヘルス対策については、既に実施していたストレスチェックをより効果的に行うため、全社員に対してメンタルヘルス研修を実施した。さらに、同社のメンタルヘルス対策の取組を明文化し、広く社内外へ周知するため、専門家の助言のもと「東京西サトーメンタルヘルス不調者への対応方針」を作成した。
仕事と治療の両立支援については、制度設計から支援し、「両立支援プラン」を明文化して、「両立支援勤務情報ご提供書」「治療の状況伺い」「職場復帰可否ご意見伺い」「面接指導申出書」などの書式を整備した。
その他、「金の認定」取得に向け、「40歳以上の被扶養配偶者に対する健康診断の受診勧奨」の提案や、「傷病に関わる社会保険制度の周知」文書の作成も行った。

取組による効果、今後の展望
  • ● 健康経営の取組の充実とともに社内制度の整備が進んだ。
  • ● 健康優良企業「金の認定」、健康経営優良法人「ブライト500」に認定されたことで、対外的なイメージアップに成功し、良い人材の確保にもつながった。

専門家のサポートにより社内の制度整備が進み、健康経営への取組が一段と充実した。2019年に健康優良企業「金の認定」を取得し、2021年で3年目となった。また、2020年からは健康経営優良法人「ブライト500」にも認定された。
認定取得により、同社で実践している健康経営の様子をより明確に発信できるようになり、その効果は求人に対する応募に顕著に表れた。2020年に社員を2名募集したところ、なんと300名近い応募があったという。10数名だった社員は現在40名を超えるまでになった。
採用者数以外にも良い点があったと黒瀬氏は説明する。
「発信した情報を見ての応募なので、皆さん業務はもちろん、健康的な働き方に対する意識が高く、コミュニケーションがとりやすいです」
その後も、オフィス建て替えに伴う全面禁煙化の実現、運動習慣の定着に向けたヨガ教室の実施や立川市のスポーツ大会への参加など、社員の健康を一番に考えた取組を推進している。
「日々の出勤率が良く、皆が健康なことが何より嬉しい」と横川社長は笑う。

ヨガ教室の実施風景
ヨガ教室の実施風景
「Sport in Life」ののぼりの前で
「Sport in Life」ののぼりの前で

健康経営エキスパートアドバイザーより

  • 同社は、支援前から熱心に健康経営に取り組まれていたので、既存の取り組みは継続し、改善や制度整備が必要な点を重点的に支援しました。また50人未満の事業場のため、協会けんぽや地域産業保健センターなど公的支援の活用を勧めました。これからも従業員の増加に合わせて健康経営の担当者を増やし、部門ごとに担当者を置き、部門間で取り組みに差がでないよう、そして楽しみながら健康経営を進めてください。
  • 吉野 美奈子 氏(社会保険労務士)
(取材:2021年10月)