東京商工会議所

東京紙パルプインターナショナル株式会社

プロが持つ深い健康情報が従業員の意識改革を促進
経営陣のやる気もますます向上

  • 運動
  • 栄養・食生活

東京紙パルプインターナショナル株式会社

本社: 東京都中央区日本橋本町1-6-5 ツカモトビル6階

代表者名: 代表取締役社長 佐藤 潤 氏

設立: 1986年

従業員数: 36名

事業内容: 紙、パルプ、関連原材料・製品の卸売

 大王製紙を親会社とし、紙やパルプに関する原材料や製品を輸出入する専門商社。

専門家派遣制度を利用した期間

2020年12月~2021年3月

支援専門家

・社会保険労務士
・産業医

専門家派遣制度を利用したきっかけ

自社の取組が世の中の健康経営の流れに合ったものとなっているか、助言を受けたい。

親会社の大王製紙(株)が健康経営優良法人(大規模法人部門)において連続して「ホワイト500」に認定されたことを受け、同社も2020年に衛生委員会を立ち上げ、健康企業宣言を行い、社員の心と身体の健康維持へ積極的に動きだした。就業時間中は禁煙だが、当時は男性社員の半数近くが喫煙者だったという。
そこで、専務取締役の爲明直樹氏をリーダーに、禁煙のサポートから始まり、血圧計の設置、階段利用の促進、さらに毎月の健康セミナーの開催などの様々な取組を進めてきた。
このように自主的な取組を行いながらも、同社は常に問題意識を持ち、社員の健康推進にとって、より有効な情報やサポート方法を模索し続けていた。「キャッチしていない情報はないか」「世の中の動きに沿った支援を進めるため専門家のアドバイスを受けたい」という思いを持っていたところ、東京商工会議所の案内で、健康経営エキスパートアドバイザーの存在を知り、専門家派遣制度の利用に至った。
また、健康企業宣言「銀の認定」を目指すにあたり、そのアドバイスも期待した。

専務取締役 爲明 直樹 氏
専務取締役 爲明 直樹 氏
同社では競争しながら歩数を伸ばすゲーム感覚のウォーキングアプリアプリも活用
同社では競争しながら歩数を伸ばす
ゲーム感覚のウォーキングアプリも活用
専門家派遣による支援と取組
  • ● 健康課題の整理と取組のプランニング
  • ● 生活習慣病の予防に向けた運動や食事に関するセミナーの実施

専門家の太田広江氏(社会保険労務士)は、まず同社の取組についてヒアリングし、課題を整理して、プランニングを行った。その結果、特に、生活習慣病の予防を意識した食生活に関する深い知識の提供が健康に関する意識向上につながるとの考えから、医療関係者によるセミナーを提案した。
そこで、坂本宣明氏(産業医)が、「運動・食事」をテーマにしたセミナーを開催した。コロナ禍で同社はテレワークを実施していこともあり、オンラインでのセミナーとなった。運動習慣や、食生活(塩分摂取など)、アルコール、喫煙など、生活習慣の違いによる疾病の例や死亡例など、豊富なデータを用いた解説により、社員が知識を深める貴重な機会となった。
爲明氏は、「運動や食事によって、体重別にどのくらいカロリーが減らせるか、エレベーターではなく階段を使う意義、歩く意義などを、専門的なデータをもとに解説してくださったのがとても役に立ちました。我々が持っていない情報であり、プロは違うと感じました」と振り返る。

取組による効果、今後の展望
  • ● 生活習慣病予防に対する社員の意識が高まり、喫煙者も減少した。
  • ● 社員の健康づくりのためにさらなる取組を進めていく意欲が向上した。

産業医による医療データに基づいた解説は、意識を高める大きなきっかけとなった。現在は喫煙者を2名にまで減らすことができている。
さらに、健康優良企業「銀の認定」申請にかかわるアドバイスも受け、「アドバイザーの方から、社員の健康に配慮した取組を行うことは、その企業の経営を良くすることにつながるのだ、という信念が伝わってきました 」と爲明氏は感想を話す。
専門家派遣制度利用を経て、社員の健康の重要性を再確認した同社は、その他の取組も積極的に実施している。コロナ禍においては、検温・アルコール消毒、1日3回の執務スペース消毒など、従業員の健康を守る体制を整えた。さらに、今、特に力を入れているのはメンタルヘルスのサポートである。事業所の人数は50人に満たないが、年1回ストレスチェックを実施し、全体の結果を見て、問題が起きていないかチェックするようにしている。
「コロナ禍でメンタルの問題が出やすくなっているので、在宅でも会社にいても、上司は部下に声がけし、大きな声であいさつすることを心がけています」
爲明氏は、「基本が大切」と強調し、身体と心の両面からバランスを取って、社員の健康維持をサポートしたいと締めくくった。

オフィス入口に設置された非接触の体温測定とアルコール消毒設備
オフィス入口に設置された非接触の体温測定とアルコール消毒設備

健康経営エキスパートアドバイザーより

  • 同社では、専務取締役の爲明様が先頭に立って自ら健康に関するセミナーの講師をされるなど大変積極的に活動されており、従業員の方たちもセミナーや歩数競争の参加率が高く、会社がひとつになって健康経営に取り組んでいる様子がとても印象的でした。 働く従業員一人ひとりが自身の健康、また、周りの大切な人の健康に気をつけながら、楽しく健康づくりへの取組みができる環境を企業が整えていくことで、経営の安定や成長につながると思うので、PDCAを回しながら継続し改善をしていくことが大切だと感じます。
  • 太田 広江 氏(社会保険労務士)
  • 今回、産業医の立場から健康経営活動を支援しました。既に自主的な健康づくり活動を行っており、例えば様々な健康情報を定期的に社員様に提供していました。私が実施した健康セミナーでは、社長様をはじめ多くの社員の皆様が参加してくださり、健康への関心がとても高い会社であることが強く伝わってきました。 健康づくりには継続的な取り組みが大切です。今後もこの健康経営活動が続くことを心より祈念しています。
  • 坂本 宣明 氏(産業医)
(取材:2021年10月)