東京商工会議所

株式会社シーズコア

従業員による手づくり昼食に、
健康レシピを導入
屋内禁煙の徹底により、受動喫煙対策を強化

  • 喫煙
  • こころの健康
  • 食生活

株式会社シーズコア

本社: 東京都荒川区西日暮里2-10-2 日暮里レーベル102号室

代表者名: 代表取締役 細野 大樹 氏

設立: 2019年

従業員数: 7名

事業内容: フィットネス業界専門の広告代理店、ブランディング業務、マーケティング業務全般、セールスプロモーション企画・実施、WEBマーケティング

専門家派遣制度を利用した期間

2022年9月~2023年3月

支援専門家

健康運動指導士

専門家派遣制度を利用したきっかけ

従業員により健康になってもらうために、会社として何ができるかを知りたい。

フィットネス業界に特化した広告代理店であるシーズコア。多店舗を展開する大手企業から、個人経営の小さな店舗まで、フィットネス関連企業のさまざまな販促媒体を手掛けている。チラシやポスター、看板、ウェブ広告用のバナーやランディングページの制作などが主な業務だ。
健康や運動と関連がある企業と取引をする同社では、専門家派遣制度を利用する以前から、従業員の健康を支援する取組を行っていた。従業員のフィットネスジム会費の30%(毎月上限5,000円)を補助したり、月500円の禁煙手当を支給したり、また、従業員が当番制で昼食をつくって皆で一緒に食べたりという取組(食材の購入費は会社が負担)などからも、従業員の健康を大切にしてきたことがわかる。
そんな同社が健康経営という考え方を知ったきっかけは、健康経営エキスパートアドバイザーで健康運動指導士である竹田大介氏と知り合ったことだ。
「竹田先生に出会って初めて健康経営という考え方を知りました。弊社の従業員は20〜30代が主力ということもあってか、それまで特に健康問題があったわけではありません。また、スポーツトレーナーなど、運動や健康への感度が高い人との接点が多いので、従業員の健康意識も低い方ではなかったと思います。それでも、健康経営に取り組むことによって従業員がより健康になれるなら、やってみて損はないだろうと。会社として、さらにどんな取組ができるのかを知りたくて、専門家派遣制度を利用することにしました」と、代表取締役の細野大樹氏は振り返る。

代表取締役 細野 大樹 氏
代表取締役 細野 大樹 氏
専門家派遣による支援と取組
  • ● 屋内禁煙の徹底
  • ● メンタルヘルスに関するリーフレットをもとに、従業員とのミーティングを実施
  • ● 協会けんぽ「季節の健康レシピ」を活用した昼食づくり

専門家の竹田氏(健康運動指導士)が指摘した課題の1つが、受動喫煙対策だ。
同社は7名中2名が喫煙者。オフィスはマンションの一室で、キッチンに設置された換気扇の下でタバコを吸うなど、受動喫煙対策が徹底されているとは言い難い状態だった。そこで屋内を完全禁煙にした。
また、従業員を対象に実施した健康経営の事前アンケートにおいて、支援が必要な程度の心理的苦痛を感じると回答した従業員がいた。そのため、協会けんぽが提供するメンタルヘルスに関するリーフレットを見ながら、従業員との社内ミーティングを実施した。
「これまで従業員のメンタルヘルスに関して、会社として特に何も行っていませんでした。普段、面と向かって仕事のストレスについて聞く機会もなかったため、アンケートによって状況を把握できてよかったと思います」(細野氏)
さらに、「せっかく会社で昼食を作っているなら、レシピをより健康的なものに工夫してはどうか」という竹田氏からのアドバイスで、従業員による昼食づくりの際に協会けんぽの「季節の健康レシピ」を活用。栄養バランスや減塩などの健康に配慮したレシピを活用することで、従業員一人ひとりが食への意識を高めつつ、より健康的な食事をとれるように工夫した。

社内ミーティングでメンタルヘルスについて話し合った
社内ミーティングでメンタルヘルスについて話し合った
協会けんぽ「季節の健康レシピ」を参考につくった昼食「タマネギと豚肉の香り炒め」
協会けんぽ「季節の健康レシピ」を参考につくった昼食「タマネギと豚肉の香り炒め」
取組による効果、今後の展望
  • ● 屋内禁煙を徹底し、受動喫煙を防止する環境が整った。
  • ● 従業員のメンタルヘルス不調が改善した。
  • ● 意識的に野菜をとったり、味付けや調理方法を工夫するなど、食生活への意識が向上した。
  • ● ジム通いを始めるなど、運動の習慣が見られるようになった。

屋内禁煙を行ったことで受動喫煙を防止し、従業員がより健康に働ける環境が整った。
また、専門家派遣制度終了時に行ったアンケートで、支援が必要な程度の心理的苦痛を感じると答えた従業員はおらず、メンタルヘルス不調が改善されたことがわかった。社内でメンタルヘルスについて話し合いの場を持ったことが、改善に結びついたといえそうだ。
さらに、昼食時に協会けんぽの「季節の健康レシピ」を活用するなどの取組によって健康への意識が高まった結果、従業員の食生活への意識も向上した。
「従業員を見ていると、昼食をつくるときに少し野菜を多くしたり、塩分量や油量など、味付けや調理方法に気をつけたりするようになったと感じますね。玄米を食べるようにするなど、食事への意識が高まった気がしています。個人レベルで行動が変わってきていると感じますね」(細野氏)
加えて、一連の取組により、従業員の健康づくりに関する意識が向上したことで、新たにフィットネスジムに通い始めた従業員も出てくるなど、運動への意欲も高まっている。
「今度、取引先関連企業が集まって行うフットサル大会に出場しようと考えています。出場するからには、多少なりとも練習しないといけないよね、と従業員と話しているところです。今後は、会社が主導して、従業員の運動を促進するような取組をできたらと考えています」(細野氏)
専門家派遣制度を利用したことをきっかけに、従業員一人ひとりの健康づくりに関する意識や行動が着実に変化している好例だといえるだろう。

健康経営エキスパートアドバイザーより

  • 今回の取組では、積極的に健康経営を推進して頂いた結果「支援が必要な程度の心理的苦痛を感じる割合」が改善したことは、とても大きな成果だったと思います。それ以外にも、屋内禁煙により受動喫煙がなくなり、食事や運動への意識が改善するなどの素晴らしい成果が出ました。
    「フィットネス業界専門の広告代理店」として健康意識の高いフィットネス業界の方々と日々接しておられると思いますので、これからも健康経営の取組を継続して、従業員の健康を促進し続けて頂けると幸いです。
  • 竹田 大介 氏(健康運動指導士)
(取材:2023年9月)