大メコン圏ビジネス研究会

訪ミャンマー・カンボジア経済ミッション概要報告

 

 

【第5回日本ミャンマー商工会議所ビジネス協議会合同会議】

 

1.開催期日2003年2月10日(月)

 

2.開催場所:ヤンゴン(トレーダーズホテル)

 

3.出席者:約150名(開会式には180名)

 

(1)日本側:高原友生・日本ミャンマー商工会議所ビジネス協議会会長(大メコン圏ビジネス研究会会長)ならびに同会員、アジア国際交流機構・FEC国際親善協会のアセアン調査団(団長:稲森俊介・味の素椛樺k役)、日本経団連関係者およびヤンゴン日本人商工会議所会員の計約80

 

(2)ミャンマー側:ウィン・ミン・ミャンマー日本商工会議所ビジネス協議会会長(ミャンマー連邦商工会議所会頭)はじめ同会員約70名およびエーベル・国家平和開発評議会議長府付大臣をはじめとする政府関係者30名(開会式のみオブザーバー参加)の計約70名(開会式は約100名)

 

4.主要議題および概要

まず開会式において、両会長より挨拶があった後、宮本・駐ミャンマー日本大使から、大変な経済的困難に直面しているミャンマーを古くからの友人である日本として支援したい、ミャンマー側は近々まとめられつつある経済構造調整支援の提案を実行してほしい、との期待が述べられた。続いて基調演説に立ったエーベル大臣は、グローバル化の流れの中で途上国は苦しんでいる、この試練を乗り切るためには地域統合や各国の連携協力が欠かせない、との認識を示した上で、経済構造調整支援プログラムはミャンマーの発展のための環境作りの基礎になるものであり可能なものは全て実施したい、と述べた。

 この後、主に以下5つのテーマでプレゼンテーションと意見交換が行われた。

 

(1)中国の台頭とアジア経済の構造変化

日本側より、中国の驚異的な経済発展の現状を示すとともに、この躍進は、低賃金等の環境を利用した外国資本によるビジネスモデルの成功であると指摘した。他方、法規の不統一、不透明な諸規制、知的財産権にする認識の欠如などを問題点として挙げた。その上で、アジア諸国は中国とどういう関係を築くべきか、よく考える必要があると述べた。

ミャンマー側は、中国の発展は農業振興を重視し生産性が向上した結果だと述べるとともに、ミャンマーが中国と同じ成功体験をするには、電力(中国はSEZ内に十分な電力供給あり)・通信・運輸等のインフラ整備、貿易・関税制度の改善などが不可欠との認識が示された。

自由討議では、まず日本経団連のアジア大洋州委員会代表から、東アジアのバランスある発展のための包括的地域経済連携、多様性のあるFTA、各国における構造改革という3つの視点を持って先ごろASEANとの対話ミッションを始めたとの発言があった。

続いてミャンマー側からなされた中国の発展に関する質問に対し、日本側は、中国は、外資過剰ゆえに民族資本が健全に育つか、国内企業は非効率で潜在的失業率が高いのではないか、中間所得層が健全に育つか、といった疑問を提起した。さらに、多国間連携の際には、自国の計画力・実行力が問われることを忘れるべきでないとのアドバイスもなされた。

 

(2)外国投資誘致

日本側は、先発ASEAN5カ国の経済発展や中国の急速な成長はどのようにして達成されたのかを、外資導入が重要であるという観点から述べた。その点、ミャンマーの賃金水準、英語力、天然資源および社会の安全性などがプラスの要因に挙げられた。なお、海外の投資家は、規制や政策の透明性なども重視していることについて説明がなされた。

ミャンマー側からは、労働力は豊富だが、基礎的なインフラや技術力が不足しているので、その面で外資の導入が望まれるとの希望が述べられた。

 

(3)輸出促進

ミャンマー側より、森林資源や海洋資源など、豊富な未活用の天然資源を生かせれば、日本の食糧安全保障という観点からも好都合ではないか、との説明があった。また、ミャンマーの最大の問題である外貨不足は、技術改善を困難とし不良品率の高止まりが納期の安定を損ない結果として輸出収入(外貨)が減るという悪循環をもたらしていると述べた。

日本側は、前回の合同会議でも提起した問題だと前置きした上で、100ドルの製品がFOB価格で300ドルになってしまっている実例が示され、ミャンマーにおける貿易手続きが分かりにくいと訴えた。また、日本企業が貿易(輸入)を行う際には、品質が良いこと、納期が守られること、そして低廉であることが重要だ、と述べた。

これに続く討議で、日本側からは、観光産業は、外貨を獲得するという意味で輸出産業と考えられる、また経済浮揚に即効性のある産業だ、ミャンマーに豊富にある観光資源を最大限活用して日本人観光客を増やす努力をすべき、との問題提起があった。これに対しミャンマー側は、98年に日本(関空)からの直行便が廃止されるまでは日本人旅行客が最も多かった事実を引きつつ、ビザの廃止か取得簡便化を政府に働きかけていること、および2002年には旅行業協会、ホテル業協会設立などの努力を行っていることを披露し、今後ともプロモーションに力を入れていく方針を説明した。さらに双方とも、特に高速道路等のインフラ整備が欠かせないとの認識で一致した。

 

(4)IT産業の強化と人材育成

日本側より、昨年1月のインターネット自由化がミャンマーにおけるコンピュータの普及を急激に加速させている実態と日本のソフト産業(年間需要)が1000億ドルに達している事実に触れつつ、ミャンマーの将来の外貨獲得手段としてのIT・ソフト産業振興の重要性を訴えた。また、日本としても官民を挙げてソフトウエア技術者の養成に協力していきたいとの意思を表明した。

ミャンマー側は、これまで情報化の流れに遅れをとってきたが、今や年間にIT技術者を大学から3000人、NGO・民間から1500人輩出できるようになった努力をアピールした。また、こうした人材育成に日本の経済産業省、AOTS(海外技術者研修協会)およびJICA等が果たしてきた貢献(E‐ラーニング・センターの設置、奨学金給付など)について報告と謝意表明を行った。

 

(5)民間セクターの発展に商工会議所が果たす役割

日本側より、ミャンマー連邦商工会議所(UMFCCI)が商工業発展のために果たすべき役割として、相談業務部門の設置、日本の政府機関の一層の活用、ビジネスマッチングの推進および人材育成の重要性が強調された。また、JITCO(国際研修協力機構)を利用した実務実習のある研修生派遣をUMFCCIとして推進すべきとの提案がなされた。

ミャンマー側からは、UMFCCIが行ってきた人材開発事業について報告がなされるとともに、今後、同会議所に調査部門を設けたり中小企業の技術訓練機関を新設するなどの機能強化策を考えている旨説明があった。

 

5.付帯活動

 

(1)在ミャンマー日本大使館およびヤンゴン日本人商工会議所との朝食懇談会

宮本大使ならびに古川会頭から、最近のミャンマー情勢、経済事情および進出日系企業の動向等についてブリーフィングを受けた後、意見交換を行った。

 

(2)要人表敬訪問

高原会長以下数名の団員が、211日にミャンマー政府のエーベル国家平和開発評議会議長府付大臣、ソー・ター国家計画・経済開発大臣を表敬訪問した。エーベル大臣は、不十分なインフラの現状を認めつつも、最近できた投資法を活用した日本からの投資に期待を表明した。日本側出席者からは、農産物関連の投資や研修生受入れに関心が示された。

また、ソー・ター大臣からは、日本企業にメリットがあり且つミャンマー経済に貢献するビジネスならば応援する、特に現在極度に外貨不足に陥っているミャンマーでは、輸出企業を優遇せざるを得ないことを理解してほしい旨説明があった。

 

(3)進出日系企業の工場視察

ヤンゴン近郊の工業団地に進出している『TI Garment Co., Ltd.』のYシャツ製造工場を視察・見学した。同社は、昨年7月から稼動開始、580人の従業員を抱え、日産3200枚の全量を日本向けに輸出している。進出動機は、勤勉な労働力と人件費の低さ(ベトナムの1/2、中国の1/51/6)とのことである。

 



【訪カンボジア経済ミッション】

 

1.開催期日:平成15年2月7日(金)

 

2.団の構成(総勢12名)

  高原友生・大メコン圏ビジネス研究会会長(団長)ならびに同会員など

 

3.訪問先:プノンペン

 

4.活動概要

現地の日本大使館・日本企業駐在員よりブリーフィングを受けた後、プノンペン商工会議所との会合を行うとともに政府要人への表敬訪問・懇談を行った。

 

(1)在カンボジア日本大使館およびカンボジア日本人商工会との朝食懇談会

篠原臨時代理大使ならびに西原会長から、最近のカンボジア情勢、経済事情および進出日系企業の動向等についてブリーフィングを受けた後、意見交換を行った。

 

(2)プノンペン商工会議所との会合

プノンペン商工会議所のソーン・ソクナ副会頭から、歓迎挨拶とともにカンボジアへの投資誘致に関するプレゼンテーションが行われた。その中で同副会頭は、農業分野をテコに経済発展を目指したいとする一方、観光資源、豊富な労働力の活用およびカンボジア企業とのJVの有利性を強調した。日本側出席者からは有望な工業分野について質問が出されるなど、活発な議論が行われた。また、同商工会議所は95年に設立されたばかりであり、日本の商工会議所から、特に財政運営のあり方について学びたい、との希望も出された。

会議の終わりに、大メコン圏ビジネス研究会とプノンペン商工会議所の代表は、両国間の一層のビジネス拡大を進める観点から、経済界相互の情報交流、セミナー開催、両国政府への共同意見提言などを行うことを約した協力協定の覚書に署名を行った。

 

(3)要人表敬訪問

フン・セン首相、ソー・ケン副首相兼内務大臣およびチア・ソパラ・プノンペン市長に会い、それぞれ懇談を行った。3要人とも、一行に対し、日本の経済界が大メコン圏という枠組みでビジネス促進の道を探り始めたことを歓迎するとともに、プノンペン商工会議所との協力協定を評価した。

特にフン・セン首相は、カンボジア発展のため、農業、道路・橋、電力供給、人材育成、工業および観光の重点6分野に力を入れたいとし、それらに対する日本からの投資に期待を寄せた。ソー・ケン副首相は、これまでの日本の支援(ODAならびに選挙監視に係る人的支援)がカンボジアの平和維持に貢献していることに謝意を表明した。また、ソパラ市長は、日本の技術をもってすれば豊富な農産物資源を輸出品に変えられるビジネスはいくらでもあるとし、経済レベルに合わせた投資を歓迎する旨を述べた。

                                                                     以 上