小さな会社を強くするマーケティング

最終回 ブランドをつくろう

平成29年2月21日

 地域経済の現場で、次のような声を聞くことがよくある。「品質には自信がある」「技術では引けをとらない」「資源はたくさんある」。
 ただ、この後に決まって続く言葉は、「だけど、うまくいかない」だ。手元の経営者調査のデータをみても、経営者の9割が自社商品の品質に自信を持っている。しかし、9割の中小企業の業況は不振もしくは停滞だ。品質が良いだけでは、経営はうまくいかないということだろう。

ブランドは品質を超える


 突然だが、ここに味と価格が全く同じ「2つの牛肉」があるとしよう。一つのパッケージには「静岡和牛」、もう一つには「松阪牛」と書いてある。
 さて、どちらの牛肉を選ぶだろうか?

 ①どちらでもよい、②静岡和牛、③松阪牛

 同じ味と同じ価格なので、「どちらでもよい」が多くなってもいいはずだが、そうはならない。全国の消費者1000人を対象とした調査結果は以下だ。

 「松阪牛」72.9%、「どちらでもよい」23.4%、「静岡和牛」3.7%

 これがブランドの力だ。品質や価格が全く同じだとしても、選ばれる商品と、選ばれない商品がある。選ばれるのは「強いブランド」だ。
 ブランドは、「タイ・ブレーカー」と言われることがある。タイ・ブレイクとは、テニスで同点のときに、勝ち負けを決める延長戦のこと。つまり、品質が「同点」ならブランド力で勝負が決まるということだ。


モノづくり≠ブランドづくり


 21世紀はブランドづくりの時代だ。モノ中心の時代は終わり、「よいモノをつくれば売れる」は、もはや過去の話。今日、世の中にはモノがあふれ、モノづくりのレベルは上がり、品質が良い商品を提供できる企業は数多い。
 だが、単に品質が良いだけでは、消費者は「買いたい気持ち」にはならない。優秀なモノづくり大企業のいくつかが苦境に陥っているのも、ここに要因があるのかもしれない。我が国のモノづくり力が失われたわけではない。日本企業の技術力は極めて高い。「モノづくりでは勝った」のに「ブランドづくりで負けた」企業が多いのではないか。


強いブランドの条件


 では、どうすれば、強いブランドを生み出すことができるのだろうか?
 筆者が実施した消費者調査の結果をみてみよう。調査データの統計的分析から抽出された「強いブランド」の条件は、以下の4つである。

 ①コンセプトが明確であり、イメージが明快である。
 ②感性に訴求する(デザインが優れている、感性に訴える商品である)
 ③独自のポジションがある(競合商品が少ない、他の商品で代替することは難しい)
 ④低価格ではない(価格以外の魅力で消費者を引き付けている)

 この結果にブランドづくりのヒントがあるはずだ。ブランドは、大企業だけのものでない。規模が小さい、広告宣伝費もない、歴史もない。そんな企業にとっても、ブランドづくりは可能だ。
 もちろん、強いブランドは、成り行き任せではできない。戦略性と創造性を持って、つくりあげるものである。中小企業の積極的なブランド構築への取り組みを期待したい。


  
  


執筆者:岩崎邦彦
静岡県立大学教授・学長補佐・地域経営研究センター長。専攻はマーケティング。著書に「小が大を超えるマーケティングの法則」「引き算する勇気:会社を強くする逆転発想」「小さな会社を強くするブランドづくりの教科書」(いずれも日本経済新聞出版社)などがある。

掲載:東商新聞 2016年10月1日号




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