信用調査のツボ―プロは企業のココを見る

第1回 登記情報から見抜く

平成27年7月28日

信用調査の基礎を学び、取引先の見分け方のスキルアップのポイントを紹介します。(全5回)

よく新聞などで「信用調査会社によると…○×商事が破産しました、負債は50億円です」といった報道がありますが、信用調査会社とはいったいどういった企業なのでしょうか? ある企業が取引を始める場合に、販売先(売掛先)の「信用度」を知る必要があります。通常、企業間取引(BtoB)の場合は、一定期間の掛売りが発生します。これを「信用」といいますが、販売先が必ず払ってくれるのかを売主に代わって調査するのが「信用調査会社」です。帝国データバンクでは全国83拠点にいる1,700人の調査員が年間約130万件の調査を行い、調査結果を「信用調査報告書」や企業の信用度を数値化した「評点」にまとめています。最近では取引の判断にとどまらず、新規開拓などのマーケティングデータ、取引構造や商流分析などのビッグデータも活用されています。
 
本稿では5回にわたって信用調査の基礎を学び、取引先の見分け方のスキルアップを目指します。

基本は「ヒト・モノ・カネ」
 信用調査は①情報収集②分析③判断の3つのプロセスにわかれています。すべてのプロセスは企業の3大経営資源とされる「ヒト・モノ・カネ」を「定量・定性」に分けて、過去、現在、将来の「時系列」に対して行われます(図)。
 例えば「ヒト」=(社長)とすれば、経験年数、年齢などの定量的な判断に加え、「慎重」「積極的」といった定性的な見方が必要です。もちろん、過去の経緯に加えて、これから将来に起こりうる、後継者問題の有無なども予測しなくてはなりません。このように信用調査には幾つかの項目を複数の切り口で判断することが必要と言えます。

登記簿が教える7つのポイント
 最初に確認したいことは「登記」です。国の公開資料である商業登記簿、不動産登記簿ですが、ここには多くの情報が詰まっています。取得するには管轄の法務局へ行くことになります(インターネットによる取得が可能)。商業登記簿の場合は主に5つのポイントを見る必要があります。
①商号の変更が頻繁ではないか。会社の顔でもある商号が、1年の間に2度、3度変更するケース。過去の不祥事を隠す意図や、支払いを滞らせた経緯なども疑われます。
②「資本金」の増資、減資がある。株主の変動による信用の変化や、赤字決算など企業の経営内容の悪化が背景にあるケースがあるので注意が必要です。
③代表取締役、取締役、監査役などの変更。その理由をハッキリさせたい項目です。突然の辞任や、よく知らない人物の就任は内部のトラブルも考えられます。「解任」の場合も慎重に判断すべきです。
④本店所在地の変更が多い。登記を管轄する法務局が変わると、以前の情報が形式上「消える」ことも。
⑤債権譲渡登記、質権設定登記、動産譲渡登記などの設定。これら手続きは、資金調達の選択肢を増やす意図があります。債権の流動化を図り借入をスムーズに行うことが可能な一方で、まれに取引先の債権保全に使われることもあり、確認を怠らないことが必要です。

 また、不動産登記も2つのポイントがあります。
①所有不動産の有無(法人・個人名義)、取得時期。企業の含み益、含み損、資金調達の余裕などが伺えます。所有権の移転などが、重要なシグナルとなるケースも少なくありません。
②根抵当権、抵当権の状況。取引金融機関の把握や、取引姿勢の変化を掴めることもあります。ここに見慣れない債権者が現れることも信用度の変化につながります。

 このように、登記簿は信用調査の入り口ではありますが、情報の宝庫といっても過言ではありません。


執筆者
藤森 徹(ふじもり とおる)

帝国データバンク 東京支社 情報部部長
企業倒産を専門に扱う「情報部」に22年在籍し、数千社の事例を取材した財務内容のほか、「ヒト、モノ、カネ」を切り口に、外部、内部の両面から企業の将来を分析する。週刊エコノミスト、日経新聞電子版「信用調査マンの目」など執筆。

掲載:東商新聞 2014年10月20日号




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