今後の道路政策についての意見
東京商工会議所
日本の国際競争力の低下が指摘される中、首都東京の再生が大きなテーマとなっている。政府においては小泉首相を本部長とした都市再生本部を設置し、大都市圏での大型開発プロジェクトについて検討するとのことである。また、東京都も先般、『首都圏メガロポリス構想』を発表し、国や7都県市が共同で、首都圏メガロポリスの再生に向けた、具体的戦略に取組むことの必要性を強く訴えている。
現状、多くの都市問題を抱える東京であるが、とりわけ道路整備の遅れが、都市再生の緊急課題として指摘されている。東京商工会議所東京再生委員会は、快適な都市づくりを推進し、また東京圏の道路を直接利用している事業者の立場から、今後の道路政策について、下記のとおり意見として述べることとする。
意見
記
1.東京圏への道路整備財源の重点配分
約3,300万人を擁する東京圏が、一体的都市として機能を発揮するためには、広 域的インフラを整備することが重要である。そのためにも、費用便益分析等の事業評 価を徹底した上で、投資効率の高い東京圏への財源の重点配分を行うべきである。
2.道路整備の推進
① 都心通過交通の回避を図る上から、「東京外かく環状道路」「中央環状線」「首都圏 中央連絡自動車道」については、目標期限を定めた上で、早期全線完成を目指す べきである。また、「東京外かく環状道路」の整備手法として地下化案が有力視され ているが、整備方法の違いによる事業費(用地費、建設費等)の多寡、及び地域住 民とのコンセンサスも考慮して、柔軟に対処すべきである。
②道路交通の遮断を取り除き、渋滞解消を図るため、渋滞のボトルネックとなっている 箇所の立体交差事業を推進すべきである。
③渋滞対策の観点から、路上における荷捌きスペース、福祉・介護用車両の駐車スペ ース等の確保を支援すべきである。
④都市計画道路の整備率は東京区部において、55%に留まっているが、早急な整備 と沿道地区のまちづくりとの一体的な整備を図り、東京を魅力ある都市に再生すべ きである。その際、「歩いて楽しい街並みづくり」、「すべての人が公平に使用できる ユニバーサルデザイン」の視点を取り入れるべきである。
⑤公益と私権の調和、情報開示の徹底、PI(パブリック・インボルブメント)の導入等に より、住民・企業・行政が一体となって推進できる道路整備の計画策定・実行システ ムを構築すべきである。
3.交通需要マネジメントの推進
① 環境対策として、ロードプライシングは有効な方策のひとつであると認識している。 但し実施にあたっては、公共性・公平性ならびに環境改善への参加意識の高揚の 観点からも、対象区域・車種・課金時間・課金額など、課金のあり方を慎重に検討 するとともに、課金収入の使途を道路整備、環境対策等に限定するなど、明確にす べきである。
②道路交通を阻害する違法駐車等の取締りを強化すべきである。
4.交通情報通信システムの推進
料金所渋滞の解消に有効なETCの普及促進を図るべきである。そのためにはETC対 応の料金所整備とともに、ETC車載器の導入の費用補助等、普及を促すような施策を 講じるべきである。
東京商工会議所