政策提言・要望

政策提言・要望

「大規模小売店舗立地法第4条の指針再改定案策定に当たって(案)」及び「大規模小売店舗を設置する者が配慮すべき事項に関する指針(再改定案)」に対する意見

2007年1月12日
東京商工会議所

 先般「まちづくり3法」の中心市街地活性化法・都市計画法が改正されたことにより、中心市街地の活性化に向けた環境整備が図られたことについて、政府・経済産業省を始めとした関係各省庁のご努力に感謝申し上げたい。

しかし、今般の法改正を契機に全国の中心市街地がにぎわいを取り戻すためにも、自治体・地域商業者(大型店・商店会)・住民・地権者等様々な主体が一体となったまちづくりを進めていくことが必要である。当商工会議所では、こうした活動を積極的に推進していく所存であり、国としても各地域における取り組みを強力に支援されたい。

これまで、当商工会議所は大規模小売店舗立地法指針については、特に大都市部特有の課題を踏まえた意見を申し述べるとともに、地域商業者の連携・協働の推進について、具体的な活動を進めてきた。

このような立場から、標記2案に対し、以下の通り意見を申し述べる。

提言

1.大型店の社会的責任について
大規模小売店舗を設置する者が配慮すべき事項に関する指針(再改定案)
1ページ(序文)
「関係業界団体において、地域経済団体等への活動の積極的な協力、地域の防犯・防災への対応、退店時における早期の情報提供等、まちづくりへの貢献に関する自主ガイドラインの策定に取り組んできたところであるが、個々の事業者においても自主的な取組を積極的に行うことが強く期待される。このうえで、『コンパクトでにぎわいあふれるまちづくり』を目指し、大型店だけでなく、法運用主体、立地市町村、地域の住民等その他の関係者が連携し、それぞれの立場から積極的な貢献を行い、まちづくりのための多面的、総合的、継続的な取組が推進されることを強く期待する次第である。」

(意見)

本再改定案に大型店の社会的責任について盛り込まれたことを歓迎する。

しかしながら、地域社会における課題は、単に大型店のみの問題にとどまらず、全ての事業者が主体的に取り組み、互いに連携することで解決され、効果を生み出すものと認識する。

現在いくつかの業界団体が自主的なガイドラインの策定を行っているが、業界団体に属さない事業者の取り組みが置き去りにされることがあってはならない。また自治体においても、事業者の社会的責任について規定した条例・ガイドライン策定の動きが活発化しているが、業界団体のガイドラインと自治体の期待する内容に差が生じた場合、事業者の混乱を招くことが危惧される。

常日頃から大型店や商店会等地域商業者が対話を続け、協調関係を築くことが魅力ある地域社会の創造につながるとの考えのもと、東京商工会議所では、日本チェーンストア協会、日本フランチャイズチェーン協会、東京都商店街連合会等とともに「まちづくりと地域商業活性化に向けた商店会・チェーン店関係団体協議会」を設置し、対話を続け、共同宣言を採択するとともに、「協働・連携ガイドブック」を作成し、関係者への意識啓発を行ってきたところである。

国としては、こうした地域商業者のコミュニケーションを重視し、業界ガイドラインや個々の大型店の取り組みに頼るのみならず、自治体・大型店・商店会・住民・地権者等地域のあらゆる主体が協働して地域コミュニティの再生・まちづくりを推進するための枠組みの整備を図り、各地域の自主的な取組を積極的に支援されたい。

また、地域における個々の主体の取り組みを正当に評価・公表する仕組みも必要である。地域貢献の問題については、本指針再改定にとどまらず、継続的に審議されることを望む。

2.併設施設関係について

大規模小売店舗立地法第4条の指針再改定案の策定に当たって(案)

2ページ 1.具体的な改定内容について(1)併設施設関係 ①必要駐車台数について

「併設施設の種類や施設数による類型化が困難であったため、小売店舗に対する併設施設の面積の割合を基準として影響を分析することが適切と考えられること」

(意見)

併設施設については、店舗面積のみならず、営業時間・席数等も集客に与える影響が大きく、必要駐車台数の基準を小売店舗に対する面積割合のみによって策定している点について、課題が残る。

また、地域の状況により地域独自の基準を定めることは可能とされているものの、実際に策定・公表している自治体の数は限定的であり、手続き・計算方法の煩雑さから進んでいないのが現実である。このような状況に配慮し、また設置者の混乱を避けるためにも、ナショナルスタンダードにおいては都市部においても適用可能で、中心市街地活性化法の理念も踏まえ、より中心市街地に立地しやすい基準となるよう継続的に審議されたい。

大規模小売店舗立地法第4条の指針再改定案の策定に当たって(案)

3ページ 2.今後の課題について (1)指針再改定内容の普及等

「設置者が適切な対応策を検討するために一定の準備期間を確保することが必要である。」

(意見)

今回の指針再改定の内容は、駐車場、騒音、廃棄物等、設置者が適切に対応するためには、時間を要する事項が多く、一定の準備期間の確保について指摘されたことを評価する。

今般の指針再改定も含め、大規模小売店舗立地法においては、大型店の設置者のみに所要の措置が求められており、勧告・公表の対象もそこに限定されている。法の枠組みにおいて併設施設の設置者には責任を求められていないのはやむを得ないものであるが、地域の生活環境の保持のためには全ての事業者の理解が必要である。

そのためにも再改定内容の周知については、個別の事業者も確実に内容を把握できるよう、周知方法についても十分に検討されたい。

以上
【本件担当・問い合わせ先】

東京商工会議所
地域振興部 まちづくり担当
TEL 03(3283)7624