日本経済を読み解く おさらい!経済統計データの基本

第1回 貿易統計(通関ベース)・国際収支

平成26年5月30日

多くの経済活動を定量的に示す統計データの読み方の基本を、時事的な話題とともに解説します。(全8回)

今回からスタートする本連載では、多くの経済活動を定量的に示す統計データの読み方の基本を、時事的な話題とともに解説していくことにします。多くの経済活動は事後的に具体的な数値データとして表現されます。経済データを読みこなし、その意味が把握でき、それを経営に活かせることが、今まで以上に多くの経営者に求められています。

●貿易統計(通関ベース)
 数多くある経済統計データの中でも昨年から特に注目度が高くなってきたのが貿易統計です。昨今「貿易赤字」という文字を見る機会が多くなってきました。このことは今、日本経済に大きな地殻変動が起きていることを端的に示しています。
 貿易統計として最も一般的に取り上げられるのが、財務省が調査・発表する通関統計(普通貿易統計)です。様々な財貨(貨物)が税関を通過する時点で集計された輸出入動向(収支)を示します。
 わが国では、輸出金額から輸入金額を引いた貿易収支は長年にわたって黒字を続けてきました。しかし、2011年に32年ぶりに2兆5600億円の赤字となったのに続き、2012年には6兆9000億円という年ベースで過去最大の赤字を記録したのです。これは、貿易で稼ぐというわが国の経済体質が急激に変わってきたことを意味します。
 理由はいくつかあります。1つは、中国、韓国、ブラジルなどの国々が急速に工業化を果たしてきた中で、わが国の電機、自動車、機械、化学製品の輸出競争力が減退してきたこと。2つ目には、長引く円高で為替面から価格競争力を失ってきたこともあげられます。さらには、2011年3月11日の東日本大震災での原発事故で、原子力電力生産が一気に縮小し、それに代わって石炭・石油などを用いた火力発電への依存度が高まったことも大きな理由です。つまりこうした鉱物性燃料の輸入が急増したのです。

●国際収支
 実は、貿易に関する統計は通関ベースでの貿易統計以外にもあります。それは「国際収支統計」です。財務省の委任を受けて日本銀行が毎月作成し、財務省・日銀により発表されます。
 これは日本が海外諸国との間で一定期間に行ったあらゆる経済取引を複式簿記の方式で体系的に分類、集計したものです。これには貿易収支のほか、様々なサービス収支や所得収支、さらには有価証券の売買に伴う資本収支などが計上されています。これによって個別項目ごとにわが国が海外諸国とどのように経済取引を行っているかが総合的に把握できます。
 国際収支統計で今、最も注目されているのが経常収支です。経常収支は、以上で述べた貿易取引のほか、サービス収支、所得収支、経常移転収支などで構成されています。この経常収支の黒字額が、わが国の近年における貿易収支の赤字化によって急速に縮小してきているのです。
 ここで問題になってきているのが世界で最悪の状況にあるわが国の財政逼迫問題です。これまでわが国は毎年のように巨額の経常黒字を稼いできました。これによりわが国は、国内でいわば巨額の内部留保資産を持つにいたったのです。その象徴が家計の金融資産1500兆円です。
 こうした手厚い資産を持っているために、わが国がGDP比2倍以上という世界一の一般政府債務を抱えていても、そのほとんどを国内の家計や企業などからの借り入れで賄えているのです。ところが、貿易収支の赤字定着=経常収支の赤字化が本格的に進むと、政府が発行した巨額の国債が国内では消化出来なくなる恐れがあります。そうすると海外の機関投資家などに買ってもらわなければわが国の財政が成り立たないという事態も想定されるのです。つまり、海外投資家の売買によって日本の国債利回りが変動、それがわが国の財政利払いに大きな影響を与えることも考えられるのです。

 こうした意味からも、これからのわが国の貿易収支の行方には最大の関心を払っておく必要があります。


(株式会社金融データシステム 代表取締役 角川 総一)


執筆者
株式会社金融データシステム 代表取締役 角川 総一

掲載:東商新聞 2013年3月10日号




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