会頭コメント

会頭コメント

平成26年度政府予算案の閣議決定について

2013年12月24日
東京商工会議所

 民間が主役の経済成長を促進し、デフレ脱却・経済再生と財政健全化の両立に強い意欲を示す予算案となった。特に、基礎的財政収支の赤字を改善し、新規国債発行額を今年度当初予算以内に抑え込んだことは、財政健全化目標の達成に向けて一歩前進したものと評価したい。
 震災復興に関しては、確保された総枠25兆円の復興財源を前倒しで執行し、遅れている区画整理事業など地域特性に応じたまちづくりを一層加速化していただきたい。とりわけ、福島については、上積みした福島再生加速化交付金を有効に活用し、国が前面に立って、再生に全力を尽くすようお願いしたい。
 主に医療・環境等の成長分野を対象としたものづくり補助金の創設や海外展開支援策の強化、また、中心市街地・商店街活性化対策など、中小企業や地域の成長を後押しする施策が数多く盛り込まれたことは、我々の要望に沿ったものである。特に小規模事業者にも光を当てたきめ細かな支援策が用意されたことも大変心強い。
 また、2020年オリンピック・パラリンピック東京開催を視野に、防災・減災や立地競争力強化のために真に必要な社会資本の整備費がしっかり確保されたことは、活性化に取り組む各地域にとって朗報であり、着実な執行を期待する。このほか、強い農林水産業の実現や若者・女性の活躍の推進も時宜を得た施策であり、成果が望まれる。
 一方、毎年増大し、30兆円の大台に達した社会保障費については、給付の重点化・効率化を軸に聖域のない改革を断行し、限界に達している中小企業の社会保険料等公的負担の軽減を図る必要がある。
 わが国経済は、総じて回復基調にあるものの、その実感は業種、規模、地域によりまだら模様である。政府は、先にまとめた平成25年度補正予算案および本予算案を早期に成立させ、15カ月予算として間断なく執行することで、消費税率引き上げの影響を最小限に抑えつつ、デフレ脱却と景気回復の道筋を確たるものにすべきである。そして、景気回復の動きを成長軌道に着実に乗せるため、法人実効税率のアジア諸国並み(20%台前半)への引き下げや、規制制度改革の推進など、わが国の競争力を強化する環境整備に努めていただきたい。商工会議所としても、中小企業や地域の新たな挑戦を積極的に支援する所存である。

以上