会頭コメント

会頭コメント

2013年度予算案の閣議決定について

2013年1月29日
東京商工会議所

 経済成長と財政再建の両立という難題に対する工夫がうかがえる予算案となった。公共事業関係費を拡大させる一方、新規国債発行額を今年度当初予算より減額させるなど、メリハリの効いた編成となった点を評価したい。別枠だった基礎年金の国庫負担分を予算案に組み入れて管理することで、国民にとってのわかりやすさも向上した。
 また、優先課題である震災復興に関して、2011~15年度の5年間で19兆円としていた復興予算の総枠を25兆円に拡充したことも適切な対応である。特に被災地で遅れの目立つ都市計画事業等まちづくりの面での進捗を加速させていただきたい。
 中小企業対策では、ものづくりや海外展開等新たな挑戦への支援、また地域商業の機能強化による地域経済の活性化などが盛り込まれたことは、我々の要望に沿ったものである。他方、協会けんぽへの現行特例措置は2年間の継続が決定されたものの、中小企業の社会保険料負担は労使双方において限界に達している。国庫補助率の法定上限(20%)への引き上げなどより、一層の負担軽減を図るべきである。
 日本経済は先行きへの期待感が高まっているものの、足下の景況感は依然として厳しい。政府は、先にまとめた2012年度補正予算案および本予算案を早期に成立させ、15カ月予算として間断なく執行することで、景気浮揚への道筋をしっかりとつけるべきである。そして、大胆な金融政策、中小企業・地域の活性化に資する成長戦略をスピーディーに実行していただきたい。また、同時並行で、規制改革やTPP交渉参加など企業の競争力を高める環境の整備にも勇断をもって取り組み、来年度実質経済成長率の政府見通し2.5%と、デフレ脱却が実現することを期待する。

以上