「経済対策に関する緊急アンケート調査」結果について

 

 政府は不良債権処理の加速化を内外に鮮明にする一方、デフレ対策について政府・与党で検討・議論がなされている。そうした中で、10月10日に株価がバブル崩壊後の最安値を更新するなど、わが国経済の先行きに対する不安感が民間企業の間で著しく高まっている。そこで、東京商工会議所は、主要会員企業の業況および政府の経済対策への期待等について、標記調査を実施した。調査結果概要は以下のとおり。

1.調査方法
 調査期間:平成14年10月17日~10月25日
 調査対象:東京商工会議所会員(部会常任委員及び支部役員) 2,760社
 調査方法:FAXによる調査票の送付・回収
 有効回答数:828社(回答率:30.0%)

2.調査結果概要

(1)景気の現状について
 「景気は非常事態と言い得るほど厳しい状況にある」(25.2%)、「景気は悪化している」(50.2%)と回答した企業が合わせて75.4%と4分の3以上を占め、景気は依然として悪化状況にあると受けとめられている。特に、資本金1億円以下の企業では、「景気は非常事態と言い得るほど厳しい状況にある」と回答した企業が、軒並み3分の1を超え、中小企業の景気状況に対する認識は厳しいものになっているといえる。

(2)回答企業の業績について
 「悪化している」と回答した企業が51.4%と過半数を超えており、依然として企業業績の悪化が止まらない状況である。これを資本金別にみると、資本金額が少ない企業ほど「悪化している」と回答している割合が高く、「資本金1千万円以下」の企業については、74.7%の企業が、「悪化している」と回答している。
 また、「悪化している」と回答した企業に悪化している原因を尋ねたところ、「景気状況の悪化による」(59.6%)と回答した企業が約6割を占め、「構造的要因による」(30.8%)は3割程度となっている。これを業種別にみると、「建設業」、「小売・飲食業」、「不動産業」の8割前後が「景気状況の悪化による」と回答しているのに対し、「製造業」では「構造的要因による」(45.0%)が「景気状況の悪化による」(43.1%)を上回っている。

(3)構造改革と景気回復の関係について
 「構造改革と景気回復の両方を同時に進めるべき」と回答した企業が47.8%と最も多く、次いで「構造改革よりも景気回復を優先すべき」が36.6%で景気回復を求める企業が、合わせて84.4%を占めており、「構造改革なくして景気回復はない」は11.7%と少ない。これを資本金別にみると、「資本金1千万円以下」の企業では、「構造改革よりも景気回復を優先すべき」と回答した企業(45.3%)が「構造改革と景気回復の両方を同時に進めるべき」と回答した企業(40.0%)を上回っている。

(4)重要と考える経済対策について
 「需要喚起策(景気対策)」と回答した企業が83.6%と最も多く、次いで「金融機関への公的資金注入を含む不良債権処理の徹底」(38.2%)、「信用保証枠の拡大策等中小企業金融対策」(32.5%)、「失業対策」(24.8%)と続いている。
 「需要喚起策」の具体策としては、「減税」(62.9%)が6割を超え、また、「規制緩和」(50.6%)も過半数を超えており、次いで「財政出動(公共事業等)」(39.5%)、「金融緩和」(32.1%)の順となっている。
             
              〔本件問い合わせ先〕東京商工会議所 産業政策部 浅野、鈴木 ℡03-3283-7623