Ⅰ.調査結果概要
平成14年1~3月期の資金繰り(平成13年10~12月期に比べた平成14年1~3月期の状況)は、「悪化した」と回答する企業が前回から5.7ポイントあまり増加し、37.7%と前回に続いて3割を超え、3四半期連続での悪化傾向が見られる。
民間金融機関の貸出姿勢は、「厳しい」(「更に厳しくなった」7.4%と「相変わらず厳しい」19.1%の合計)と回答する割合が26.5%となり、前回調査とほぼ同じ割合となっている。「厳しい」と感じる主な理由は、「金融機関の貸出姿勢の変化」をあげている割合が前回より4.2ポイント増加し49.7%となっている一方、「業界・地域における景況の悪化」とする企業は前回調査から4.7ポイント減って21.6%となっている。
貸し渋りによる企業経営への影響については、「すでに限界にきており、経営に深刻な影響が出ている」「いずれ経営に影響が出ると思う」と回答した割合は、前回調査(79.5%)から5.7ポイント減少して73.8%となり、「当面は何とか対応できる」とする企業が6.6ポイント増加し、一部では資金繰りの対策が進んでいる様子が窺われる。
Ⅱ.回答企業の概要について
製造業 |
建設業 |
卸売業 |
小売業 |
サービス業 |
合計
|
95社
|
42
|
70
|
148
|
106
|
461
|
20.6%
|
9.1
|
15.2
|
32.1
|
23.0
|
100.0
|
Ⅲ.調査結果
〔質問1-1〕
前期(平成13年10~12月期)に比べた今期(平成14年1~3月期)の資金繰り状況はどうですか。 |
○資金繰りが「好転した」と回答する中小企業は、前回調査(平成13年10~12月期)の2.4ポイント減少して4.1%、一方「悪化した」と回答する企業は前回から5.7ポイント増加し37.7%と前回に続いて3割を超え、3四半期連続での悪化傾向が見られる。
|
1.好転した |
2.変わらない |
3.悪化した |
4.無回答 |
合 計 |
H14.3月期 |
19社(4.1%)
|
261(56.6)
|
174(37.7)
|
7(1.5)
|
461
|
H13.12月期 |
30社(6.5%)
|
276(60.1)
|
147(32.0)
|
6(1.3)
|
459
|
〔質問1-2〕
民間金融機関の最近の貸出姿勢は、平成13年10~12月期と比べて変化がありましたか。 |
○民間金融機関の貸出姿勢について、「更に厳しくなった」が7.4%、「相変わらず厳しい」は19.1%と、貸出姿勢を「厳しい」と感じている企業の割合は26.5%となり、全体の4分の1を上回り、前回調査とほぼ同じ割合となっている。
○産業別にみると、「更に厳しくなった」と回答する企業は5業種すべてで割合が増えており、特にサービス業では2.8ポイント、建設業では2.1ポイントそれぞれ増加している。他の3業種では「更に厳しくなった」とする企業が増えている一方、「相変わらず厳しい」とする企業は、ほぼ横ばいまたは減少となっている。
|
|
さらに厳しくなった |
相変わらず厳しい |
どちらとも言えない |
緩くなった |
全業種 |
H14.3(461社) |
7.4 |
19.1 |
23.4 |
2.0 |
|
H13.12(459社) |
5.7 |
20.9 |
23.3 |
3.1 |
製造業 |
H14.3(95社) |
8.4 |
20.0 |
30.5 |
3.2 |
|
H13.12(98社) |
7.1 |
24.5 |
29.6 |
3.1 |
建設業 |
H14.3(42社) |
7.1 |
38.1 |
26.2 |
2.4 |
|
H13.12(40社) |
5.0 |
25.0 |
27.5 |
7.5 |
卸売業 |
H14.3(70社) |
5.7 |
27.1 |
25.7 |
4.3 |
|
H13.12(68社) |
4.4 |
26.5 |
26.5 |
2.9 |
小売業 |
H14.3(148社) |
7.4 |
14.2 |
21.6 |
0.7 |
|
H13.12(147社) |
6.1 |
17.7 |
17.7 |
1.4 |
サービス業 |
H14.3(106社) |
7.5 |
12.3 |
17.0 |
0.9 |
|
H13.12(106社) |
4.7 |
17.0 |
21.7 |
3.8 |
〔質問1-3-1〕
その理由は主に次のどのような理由によるものと思われますか。 |
(質問1-2で「さらに厳しくなった」「相変わらず厳しい」と回答した122社・複数回答)
○民間金融機関の貸出姿勢を厳しい(「更に厳しくなった」「相変わらず厳しい」の合計)と回答する企業のうち、厳しいと感じる主な理由として「金融機関の貸出姿勢の変化」と回答する企業が4.2ポイント増加し、約半数の企業が指摘している。「業界・地域における景況の悪化」とする企業は4.7ポイント減少し、「金融機関の貸出姿勢の変化」が貸出姿勢の厳しさに繋がっていると見る企業が多い。
|
H14.3 件数(割る122社に占め合)
|
H13.12 件数(割る122社に占め合)
|
1.金融機関の貸し出し姿勢の変化 |
76件(49.7%) |
71件(45.5%) |
2.自社の経営の悪化 |
41件(26.8%) |
43件(27.6%) |
3.業界・地域における景況の悪化 |
33件(21.6%) |
41件(26.3%) |
4.その他 |
3件( 2.0%) |
1件( 0.6%) |
5.無回答 |
0件( 0.0%) |
0件( 0.0%) |
〔質問1-3-2〕
(質問1-2で「さらに厳しくなった」「相変わらず厳しい」と回答した122社)
○民間金融機関の貸出姿勢を厳しい(「更に厳しくなった」「相変わらず厳しい」の合計)と回答する企業のうち、「経営に深刻な影響が出ている」と回答する企業の割合は29.5%と前回(23.8%)に比べ5.7
ポイント増加したが、一方で「貸し渋りに対して、当面は何とか対応できる」と回答する企業は6.6
ポイント増加して24.6%にのぼり、貸し渋りによる経営への影響において2極分化の様相を呈している。
|
H14.3
|
H13.12
|
1.すでに限界にきており、経営に深刻な影響が出ている |
36社(29.5%) |
29社(23.8%) |
2.このままの状態が続くと、いずれ経営に影響が出ると思う |
54社(44.3%) |
68社(55.7%) |
3.貸し渋りに対して、当面は何とか対応できる |
30社(24.6%) |
22社(18.0%) |
4.わからない |
2社(1.6%) |
1
社(0.8%) |
5.無回答 |
0社(0.0%) |
2社(1.6%) |
合 計
|
122件 |
122件 |
|前のページへ|
東京商工会議所
無断転載、無断複製を禁止します。
|