中小企業の資金繰り等に関するアンケート調査結果
(1~3月期)


・調査期間 平成14年3月12日~17日
・調査対象 東京商工会議所会員企業(資本金3億円以下の中小企業)476社
・調査方法 23支部の経営指導員を通じた聴き取り調査
・回答数 461社(回答率96.8%)



Ⅰ.調査結果概要

 平成14年1~3月期の資金繰り(平成13年10~12月期に比べた平成14年1~3月期の状況)は、「悪化した」と回答する企業が前回から5.7ポイントあまり増加し、37.7%と前回に続いて3割を超え、3四半期連続での悪化傾向が見られる。
 民間金融機関の貸出姿勢は、「厳しい」(「更に厳しくなった」7.4%と「相変わらず厳しい」19.1%の合計)と回答する割合が26.5%となり、前回調査とほぼ同じ割合となっている。「厳しい」と感じる主な理由は、「金融機関の貸出姿勢の変化」をあげている割合が前回より4.2ポイント増加し49.7%となっている一方、「業界・地域における景況の悪化」とする企業は前回調査から4.7ポイント減って21.6%となっている。
 貸し渋りによる企業経営への影響については、「すでに限界にきており、経営に深刻な影響が出ている」「いずれ経営に影響が出ると思う」と回答した割合は、前回調査(79.5%)から5.7ポイント減少して73.8%となり、「当面は何とか対応できる」とする企業が6.6ポイント増加し、一部では資金繰りの対策が進んでいる様子が窺われる。
 

Ⅱ.回答企業の概要について

製造業 建設業 卸売業 小売業 サービス業

合計

95社

42

70

148

106

461

20.6%

9.1

15.2

32.1

23.0

100.0



Ⅲ.調査結果

〔質問1-1〕

前期(平成13年10~12月期)に比べた今期(平成14年1~3月期)の資金繰り状況はどうですか。

○資金繰りが「好転した」と回答する中小企業は、前回調査(平成13年10~12月期)の2.4ポイント減少して4.1%、一方「悪化した」と回答する企業は前回から5.7ポイント増加し37.7%と前回に続いて3割を超え、3四半期連続での悪化傾向が見られる。

  1.好転した 2.変わらない 3.悪化した 4.無回答 合 計
H14.3月期

19社(4.1%)

261(56.6)

174(37.7)

7(1.5)

461

H13.12月期

30社(6.5%)

276(60.1)

147(32.0)

6(1.3)

459



〔質問1-2〕

民間金融機関の最近の貸出姿勢は、平成13年10~12月期と比べて変化がありましたか。

○民間金融機関の貸出姿勢について、「更に厳しくなった」が7.4%、「相変わらず厳しい」は19.1%と、貸出姿勢を「厳しい」と感じている企業の割合は26.5%となり、全体の4分の1を上回り、前回調査とほぼ同じ割合となっている。


○産業別にみると、「更に厳しくなった」と回答する企業は5業種すべてで割合が増えており、特にサービス業では2.8ポイント、建設業では2.1ポイントそれぞれ増加している。他の3業種では「更に厳しくなった」とする企業が増えている一方、「相変わらず厳しい」とする企業は、ほぼ横ばいまたは減少となっている。

    さらに厳しくなった 相変わらず厳しい どちらとも言えない 緩くなった
全業種 H14.3(461社) 7.4 19.1 23.4 2.0
  H13.12(459社) 5.7 20.9 23.3 3.1
製造業 H14.3(95社) 8.4 20.0 30.5 3.2
  H13.12(98社) 7.1 24.5 29.6 3.1
建設業 H14.3(42社) 7.1 38.1 26.2 2.4
  H13.12(40社) 5.0 25.0 27.5 7.5
卸売業 H14.3(70社) 5.7 27.1 25.7 4.3
  H13.12(68社) 4.4 26.5 26.5 2.9
小売業 H14.3(148社) 7.4 14.2 21.6 0.7
  H13.12(147社) 6.1 17.7 17.7 1.4
サービス業 H14.3(106社) 7.5 12.3 17.0 0.9
  H13.12(106社) 4.7 17.0 21.7 3.8

〔質問1-3-1〕

その理由は主に次のどのような理由によるものと思われますか。

  (質問1-2で「さらに厳しくなった」「相変わらず厳しい」と回答した122社・複数回答)

○民間金融機関の貸出姿勢を厳しい(「更に厳しくなった」「相変わらず厳しい」の合計)と回答する企業のうち、厳しいと感じる主な理由として「金融機関の貸出姿勢の変化」と回答する企業が4.2ポイント増加し、約半数の企業が指摘している。「業界・地域における景況の悪化」とする企業は4.7ポイント減少し、「金融機関の貸出姿勢の変化」が貸出姿勢の厳しさに繋がっていると見る企業が多い。

  H14.3

件数(割る122社に占め合)

H13.12

件数(割る122社に占め合)

1.金融機関の貸し出し姿勢の変化 76件(49.7%) 71件(45.5%)
2.自社の経営の悪化 41件(26.8%) 43件(27.6%)
3.業界・地域における景況の悪化 33件(21.6%) 41件(26.3%)
4.その他 3件( 2.0%) 1件( 0.6%)
5.無回答 0件( 0.0%) 0件( 0.0%)

〔質問1-3-2〕

貸し渋りが経営にどの程度影響を及ぼしていますか。

  (質問1-2で「さらに厳しくなった」「相変わらず厳しい」と回答した122社)

○民間金融機関の貸出姿勢を厳しい(「更に厳しくなった」「相変わらず厳しい」の合計)と回答する企業のうち、「経営に深刻な影響が出ている」と回答する企業の割合は29.5%と前回(23.8%)に比べ5.7 ポイント増加したが、一方で「貸し渋りに対して、当面は何とか対応できる」と回答する企業は6.6 ポイント増加して24.6%にのぼり、貸し渋りによる経営への影響において2極分化の様相を呈している。

 

H14.3

H13.12

1.すでに限界にきており、経営に深刻な影響が出ている 36社(29.5%) 29社(23.8%)
2.このままの状態が続くと、いずれ経営に影響が出ると思う 54社(44.3%) 68社(55.7%)
3.貸し渋りに対して、当面は何とか対応できる 30社(24.6%) 22社(18.0%)
4.わからない 2社(1.6%) 1 社(0.8%)
5.無回答 0社(0.0%) 2社(1.6%)

合    計 

122件 122件


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