中小企業の資金繰り等に関するアンケート調査結果
(7~9月期)


・調査期間 平成13年9月5日~10日
・調査対象 東京商工会議所会員企業(資本金3億円以下の中小企業)476社
・調査方法 23支部の経営指導員を通じた聴き取り調査
・回答数 465社(回答率97.7%)



Ⅰ.調査結果概要

 平成13年7~9月期の資金繰り(平成13年4~6月期に比べた平成13年7~9月期の状況)は「好転した」と回答する中小企業は4.1%と、前回調査(平成13年1~3月期に比べた平成13年4~6月期の状況)の7.1%から3.0ポイント減少、「悪化した」と回答する企業は前回から5.0ポイント増加し31.4%と、資金繰りにやや悪化の傾向がみられた。
 民間金融機関の貸出姿勢は、「厳しい」(「更に厳しくなった」5.6%と「相変わらず厳しい」21.9%の合計)と回答する割合が27.5%となり、全体の4分の1を上回っている。「厳しい」と感じる主な理由は、「金融機関の貸出姿勢の変化」をあげている割合が高くなっているが、「自社の経営の悪化」とする企業も前回調査から10ポイント以上増えている。
 貸し渋りによる企業経営への影響については、「すでに限界にきており、経営に深刻な影響が出ている」「いずれ経営に影響が出ると思う」と回答した割合は、前回調査(72.4%)から5.0ポイント増加し77.4%と回答企業の大部分を占め、経営環境の厳しさへの不安が増している結果となった。
 

Ⅱ.回答企業の概要について

製造業 建設業 卸売業 小売業 サービス業

合計

98社

42

68

151

106

465

21.1%

9.0

14.6

32.5

22.8

100.0



Ⅲ.調査結果

〔質問1〕

前期(平成13年4~6月期)に比べた今期(平成13年7~9月期)の資金繰り状況はどうですか。

○ 資金繰りが「好転した」と回答する中小企業は、前回(平成13年4~6月期)調査より3.0ポイント減少し4.1%、一方「悪化した」と回答する企業は前回より5.0ポイント増加し31.4%と、資金繰りにやや悪化の傾向がみられた。

  1.好転した 2.変わらない 3.悪化した 4.無回答 合 計
H13.9月期

19社(4.1%)

281(60.4)

146(31.4)

19(4.1)

465

H13.6月期

33社(7.1%)

302(64.8)

123(26.4)

8(1.7)

466



〔質問2-1〕

民間金融機関の最近の貸出姿勢は、平成13年4~6月期と比べて変化がありましたか。

○ 民間金融機関の貸出姿勢について、「更に厳しくなった」が5.6%、「相変わらず厳しい」は21.9%と、貸出姿勢を「厳しい」と感じている企業の割合は27.5%となり、全体の4分の1を上回っている。前回調査と比べると、「相変わらず厳しい」とする企業は4.1ポイント減少したものの、「更に厳しくなった」と回答した企業の割合は前回の2倍となっている。


○ 産業別にみると、サービス業を除く4業種で「更に厳しくなった」とする割合が増えている。特に製造業では5ポイント、建設業と卸売業では4.5ポイントと大幅に上昇している。また、「相変わらず厳しい」と回答した企業はいずれの業種でも減少しており、「どちらとも言えない」とする企業の割合が製造業、卸売業、サービス業で増加している。「緩くなった」とする企業の割合は建設業で7.1ポイントと改善幅が大きいが、小売業で1.3ポイント、サービス業で1ポイントそれぞれ減少している。
※なお、今回の調査から分析対象をすべての回答企業とした。

    さらに厳しくなった 相変わらず厳しい どちらとも言えない 緩くなった
全業種 H13.9(465社) 5.6 21.9 20.2 3.0
  H13.6(466社) 2.8 26.0 17.4 3.0
製造業 H13.9(98社) 7.1 21.4 27.6 4.1
  H13.6(97社) 2.1 26.8 21.6 4.1
建設業 H13.9(42社) 9.5 23.8 23.8 7.1
  H13.6(40社) 5.0 35.0 25.0 0.0
卸売業 H13.9(68社) 7.4 25.0 26.5 2.9
  H13.6(69社) 2.9 30.4 18.8 2.9
小売業 H13.9(151社) 5.3 21.2 13.9 2.6
  H13.6(152社) 2.0 22.4 14.5 3.9
サービス業 H13.9(106社) 1.9 20.8 17.0 0.9
  H13.6(108社) 3.7 24.1 13.9 1.9

〔質問2-2〕

その理由は主に次のどのような理由によるものと思われますか。

  (質問2-1で「さらに厳しくなった」「相変わらず厳しい」と回答した128社・複数回答)

○ 民間金融機関の貸出姿勢を厳しい(「更に厳しくなった」「相変わらず厳しい」の合計)と回答する企業のうち、厳しいと感じる主な理由として「金融機関の貸出姿勢の変化」と回答する企業が12.2ポイント減少する一方、「自社の経営の悪化」をあげる企業が10.7ポイント増加し個別企業における経営状況の悪化が見られる。

  H13.9

件数(128社に占める割合)

H13.6

件数(134社に占める割合)

1.金融機関の貸し出し姿勢の変化 65件(41.1%) 72件(53.3%)
2.自社の経営の悪化 52件(32.9%) 30件(22.2%)
3.業界・地域における景況の悪化 34件(21.5%) 23件(17.0%)
4.その他 5件( 3.2%) 4件( 3.0%)
5.無回答 2件( 1.3%) 6件( 4.4%)

〔質問2-3〕

貸し渋りが経営にどの程度影響を及ぼしていますか。

  (質問2-1で「さらに厳しくなった」「相変わらず厳しい」と回答した128社)

○ 民間金融機関の貸出姿勢を厳しい(「更に厳しくなった」「相変わらず厳しい」の合計)と回答する企業のうち、「経営に深刻な影響が出ている」と回答する企業の割合は25.8 %と前回(17.9 %)に比べ7.9 ポイント増え悪化度合いが大幅に強まっている。「このままの状態が続くと、いずれ経営に影響が出ると思う」と回答する企業は51.6%にのぼり、貸し渋りによる経営への影響を懸念している企業の割合が前回調査に続き7割を超えた。

 

H13.9

H13.6

1.すでに限界にきており、経営に深刻な影響が出ている 33社(25.8%) 24社(17.9%)
2.このままの状態が続くと、いずれ経営に影響が出ると思う 66社(51.6%) 73社(54.5%)
3.貸し渋りに対して、当面は何とか対応できる 28社(21.9%) 31社(23.1%)
4.わからない 1 社(0.8%) 3 社(2.2%)
5.無回答 0 社(0.0%) 3社( 2.2%)

合    計 

128件 134件