中小企業の資金繰り等に関するアンケート調査結果
(10~12月期)

・調査期間
・調査対象
・調査方法
・回答数


Ⅰ.調査結果概要

1 7~9月期に比べて、資金繰りが「悪化した」としている中小企業は25.6%で、前回調査(4~6月期に対する7~9月期の資金繰り状況)の36.0%から、10.4ポイント低下した。
 民間金融機関の貸出姿勢は、「緩くなった」が20.5%で前回の2.7 %から17.8ポイント上昇した。また「さらに厳しくなった」が8.2 %で前回の14.1%から5.9 ポイント、「相変わらず厳しい」が41.0%で前回の54.0%から13ポイント、それぞれ低下しているものの、依然として「厳しい」という回答(「さらに厳しくなった」と「相変わらず厳しい」の合計)は約5割と高い水準となっている。
 貸し渋りによる企業経営への影響については、「このままの状態が続くと、いずれ経営に影響が出ると思う」は42.4%で、前回の44.4%から2.0 ポイント低下しているものの、「すでに限界にきており、経営に深刻な影響が出ている」が18.2%で、前回の16.9%から1.3 ポイントと、わずかではあるが上昇しており、先行き予想を含め依然厳しい経営環境が続いていることを示している。

2 本年10月から、新たに創設された「中小企業金融安定化特別保証制度」については、回答企 業の約8割が知っており、その半数が「利用した」としている。
 その取扱い金融機関は、信用金庫が最も多く53.7%、次いで都市銀行の28.4%となっており、信用金庫と都市銀行で全体の約8割を占めている。
 また、「金融機関が同制度を利用して、既存の借入の返済に充当するよう要請があった」という中小企業は15.0%あった。


Ⅱ.回答企業の概要について

製造業

建設業

卸売業

小売業

サービス業

合計

98社

44

68

135

85

430

22.8%

10.2

15.8

31.4

19.8

100



Ⅲ.調査結果

〔質問1〕

前期(7~9月期)と比べた今期(10~12月期)の資金繰り状況はどうですか。

○ 7~9月期に比べて、資金繰りがさらに「悪化した」と答えている中小企業は25.6%で、前回の36.0%よりも、10.4ポイント低下している。

 

1.好転した

2.変わらない

3.悪化した

4.無回答

合 計

H10.12月期

33件(7.7)

251(58.4)

110(25.6)

36(8.4)

430

H10.9月期

12件(2.7)

259(58.6)

159(36.0)

12(2.7)

442

H10.6月期

12件(2.7)

266(60.2)

141(31.9)

23(5.2)

442



〔質問2-1〕

民間金融機関の最近の貸出姿勢は、7~9月期と比べて変化がありましたか。

○ 民間金融機関の貸出姿勢について、「借入していない・わからない」「無回答」の企業を除く268 社をみると、「緩くなった」が20.5%で前回の2.7 %から17.8ポイント上昇している。また「さらに厳しくなった」が8.2 %で前回の14.1%から5.9 ポイント、「相変わらず厳しい」が41.0%で前回の54.0%から13ポイント、それぞれ低下しているものの、依然として「厳しい」という回答(「さらに厳しくなった」と「相変わらず厳しい」の合計)は約5割と高い水準となっている。
 業種別にみると、「厳しい」という回答は前回と比較すると全業種で低下している。しかし、卸売業とサービス業は「さらに厳しくなった」とする値がそれぞれ20.0%と14.6%で、他の3業種に比べて突出して高い値となっている。

 

 

さらに厳しくなった

相変わらず厳しい

厳しくない

緩くなった

 

全業種

H10.12(268社)

8.2

41.0

30.2

20.5

100%

H10.9 (261社)

14.1

54.0

29.1

2.7

100%

H10.6 (257社)

12.1

57.6

27.6

2.7

100%

製造業

H10.12( 64社)

3.1

32.8

35.9

28.1

100%

H10.9 ( 66社)

10.6

42.4

45.5

1.5

100%

H10.6 ( 63社)

12.7

46.0

38.1

3.2

100%

建設業

H10.12( 29社)

0.0

55.2

27.6

17.2

100%

H10.9 ( 29社)

24.1

48.3

24.1

3.4

100%

H10.6 ( 26社)

15.4

50.0

34.6

0.0

100%

卸売業

H10.12( 50社)

20.0

40.0

20.0

20.0

100%

H10.9 ( 48社)

25.0

58.3

14.6

2.1

100%

H10.6 ( 54社)

24.1

57.4

14.8

3.7

100%

小売業

H10.12( 77社)

3.9

42.9

33.8

19.5

100%

H10.9 ( 82社)

8.5

59.8

28.0

3.7

100%

H10.6 ( 73社)

4.1

67.1

26.0

2.7

100%

サービス業

H10.12( 48社)

14.6

41.7

29.2

14.6

100%

H10.9 ( 36社)

11.1

61.1

25.0

2.8

100%

H10.6 ( 41社)

7.3

63.4

26.8

2.4

100%

〔質問2-2〕

貸し渋りが経営にどの程度影響を及ぼしていますか。

  (質問2-1で「さらに厳しくなった」「相変わらず厳しい」と回答した 132社)

○ 「このままの状態が続くと、いずれ経営に影響が出ると思う」は42.4%で、前回の44.4%から2.0 ポイント低下してはいるものの、「すでに限界にきており、経営に深刻な影響が出ている」が18.2%で、前回の16.9%から1.3 ポイント上昇している(2期連続の上昇)。
 業種別に見ると、「経営に深刻な影響が出ている」は建設業以外全ての業種で前回よりも上昇しており、特に卸売業は30.0%と前回の22.5%から7.5 ポイントの上昇となっている。

(上段は件数、下段は%)

 

H10.12

H10.9

H10.6

1.すでに限界にきており、経営に深刻な影響が出ている

24
18.2
30
16.9
24
13.4

2.このままの状態が続くと、いずれ経営に影響が出ると思う

56
42.4
79
44.4
91
50.8

3.貸し渋りに対して、当面は何とか対応できる

47
35.6
61
34.3
59
33.0

4.わからない

5
3.8
0
0.0
2
1.1

5.無回答

0
0.0
8
4.5
3
1.7

合    計 

132件 178件 179件

 「影響が出ている」「いずれ影響が出る」と回答した企業の業種別割合

 

 

経営に深刻な影響が出ている

いずれ経営に影響が出ると思う

全業種

H10.12( 80社)

18.2

42.4

H10.9 (109社)

16.8

44.3

H10.6 (115社)

13.4

50.8

製造業

H10.12( 12社)

21.7

30.4

H10.9 ( 19社)

20.0

34.3

H10.6 ( 25社)

10.8

56.8

建設業

H10.12( 9社)

0.0

56.3

H10.9 ( 13社)

14.3

47.6

H10.6 ( 13社)

11.8

64.7

卸売業

H10.12( 19社)

30.0

33.3

H10.9 ( 21社)

22.5

35.0

H10.6 ( 27社)

20.5

40.9

小売業

H10.12( 25社)

13.9

55.6

H10.9 ( 35社)

12.5

50.0

H10.6 ( 32社)

11.5

50.0

サービス業

H10.12( 15社)

18.5

37.0

H10.9 ( 19社)

15.4

57.7

H10.6 ( 18社)

10.3

51.7

   (  )内は「影響が出ている」もしくは「いずれ影響が出る」と回答した企業の総数


〔質問3-1〕

「中小企業金融安定化特別保証制度」を知っていましたか。

○ 10月から、新たに創設された「中小企業金融安定化特別保証制度」を知っていた中小企業は79.1%と、ほとんどの中小企業は同制度の存在を認知している。

 

件 数

1.はい

340

79.1

2.いいえ

86

20.0

3.無回答

8

0.9

合  計

430

100


〔質問3-2〕

「中小企業金融安定化特別保証制度」を利用しましたか。

(質問3-1で「はい」と回答した 340社)

○ 「中小企業金融安定化特別保証制度」の利用状況については、49.1%となっている。

 

件 数

1.はい

167

49.1

2.いいえ

173

50.9

合  計

340

100

〔質問3-3〕

その取扱い金融機関はどこですか。

(質問3-2で「はい」と回答した 167社)

○ その取扱い金融機関については、信用金庫が最も多く53.7%、次いで都市銀行の28.4%となっており、この2者で全体の約8割を占めている。

 

件 数

1.都市銀行

49

28.0

2.地方銀行

15

8.6

3.信用金庫

94

53.7

4.信用組合

13

7.4

5.政府系金融機関

3

1.7

6.信託銀行

1

0.6

合  計

175

100

(重複回答あり)

〔質問3-4〕

認定要件はどれに該当しましたか。

  (質問3-2で「はい」と回答した 167社)

○ この特別保証制度の申込みに際しての認定要件については、「その他、継続的に利用している借入金の借入条件が悪化し、資金調達に支障を来している」が最も多く33.5%、以下「担保評価額の減少により、新たな資金調達が困難になっている」が21.6%、 「必要額の借入が困難で、資金調達のために預金取崩しや資産売却を行っている」16.2%、「金融機関との新規取引等の理由により、必要額の調達が困難となっている」12.6%の順となっている。

認 定 要 件

件数

1.取引金融機関からの借入金利が、最近1年間で悪化している

15

9.0

2.最近の借入金残高及び割引手形残高に対し、担保設定額の比率が増加している

14

8.4

3.最近の固定長期適合率が上昇している

6

3.6

4.必要額の借入が困難で、資金調達のために預金取崩や資産売却を行っている

27

16.2

5.回収条件や支払条件の変更を余儀なくされている

14

8.4

6.継続的な短期借入金について、借入金額の減少や利用継続の停止等を余儀なくされている

11

6.6

7.担保評価額の減少により、新たな資金調達が困難になっている

36

21.6

8.金融機関との新規取引等の理由により、必要額の調達が困難となっている

21

12.6

9.その他、継続的に利用している借入金の借入条件が悪化し、資金調達に支障を来している

56

33.5

10.無回答

18

10.8

合  計(重複回答あり)

218

 


〔質問3-5〕

取引金融機関より、この制度を利用して、既存の借入の返済に充当するよう要請がありましたか。

  (質問3-2で「はい」と回答した 167社)

○ 「金融機関が同制度を利用して、既存の借入の返済に充当するよう要請があった」という中小企業は15.0%(25件)あった。

 

件 数

1.はい

25

15.0

2.いいえ

137

82.0

3.無回答

5

3.0

合  計

167

100

〔質問3-6〕

○ 少数ではあるが、次のような意見があった。
 ・金融機関から、特別保証制度を使って返済するよう要請があった。
 ・特別保証制度を使った借入返済は、広く行われている。
 ・特別保証制度は企業より金融機関のためのものかも。
 ・特別保証制度を使った場合は銀行金利を下げる措置が必要。
 ・保証枠の増額
 ・保証期間の延長
 ・思ったより簡単に借りられて、良い制度だと思った。