中小企業の資金繰り等に関するアンケート調査結果(1~3月期)

・調査期間
・調査対象
・調査方法
・回答数


Ⅰ.調査結果概要

  1.  10~12月期に比べて資金繰りが「悪化した」としている中小企業は27.5%で、前回調査(7~9月期に対する10~12月期の資金繰り状況)の25.6%から1.9ポイント上昇した。民間金融機関の貸出姿勢は、「厳しい」という回答(「更に厳しくなった」と「相変わらず厳しい」の合計)が46.4%で、前回の49.2%から2.8ポイントわずかながら低下したものの、相変わらず「厳しい」という状況は続いている。
     貸し渋りによる企業経営への影響については、「このままの状態が続くと、いずれ経営に影響が出ると思う」が48.1%で、前回の42.4%から5.7ポイント上昇しており、依然として厳しい経営環境が続いている。
  2. 「中小企業金融安定化特別保証制度」については、これまでに「利用した」と回答した中小企業は187社(回答企業の42.1%)で、前回(12月5日時点)の167社から20社増えた。 特別保証制度を利用した融資の返済にあたって据置期間を設けたかどうかについては、36.9%が「据置期間を設けた」としている。
     一方、据置期間を設けなかった108社の理由をみると、「返済の見通しが既に立っているから」が最も多く37.0%、次いで「据置期間経過後の返済が多額になるから」の35.2%となっているものの、「据置期間があることを知らなかったから」(14.8%)や「取扱金融機関から据置期間の設定を断られたから」(6.5%)と回答した中小企業もあった。


Ⅱ.回答企業の概要について

製造業

建設業

卸売業

小売業

サービス業

合計

98社

48

71

138

89

444

22.1%

10.8

16.0

31.1

20.0

100



Ⅲ.調査結果

〔質問1〕

前期(10~12月期)に比べた今期(1~3月期)の資金繰り状況はどうですか。

○ 10~12月期に比べて、資金繰りがさらに「悪化した」と答えている中小企業は27.5%で、前回の25.6%よりも1.9ポイント上昇した。

 

1.好転した

2.変わらない

3.悪化した

4.無回答

合計

H11.3月期

21件(4.7)

286(64.4)

122(27.5)

15(3.4)

444

H10.12月期

33件(7.7)

251(58.4)

110(25.6)

36(8.4)

430



〔質問2-1〕

民間金融機関の最近の貸出姿勢は、10~12月期と比べて変化がありましたか。

○ 民間金融機関の貸出姿勢について、「借入れしていない・わからない」「無回答」の企業を除く233社をみると、「更に厳しくなった」が2.6%で、前回の8.2%から5.6ポイント低下したものの、「相変わらず厳しい」が43.8%で、前回の41.0%から2.8ポイント上昇した。
 業種別にみると、「厳しい」という回答は前回と比較すると全業種で低下している。しかし、卸売業とサービス業は「さらに厳しくなった」とする値がそれぞれ20.0%と14.6%で、他の3業種に比べて突出して高い値となっている。

○ 業種別にみると、前回よりも「更に厳しくなった」の割合が上昇したのは、建設業だけで、他の業種は低下している。また、「相変わらず厳しい」は建設業、卸売業、小売業で上昇しており、特に卸売業は前回の40.0%から18.0ポイント上昇し、58.0%となった。

 

 

さらに厳しくなった

相変わらず厳しい

厳しくない

緩くなった

 

全業種

H11.3 (233社)

2.6

43.8

36.9

16.7

100%

H10.12(268社)

8.2

41.0

30.2

20.5

100%

製造業

H11.3 (57社)

1.7

28.1

43.9

26.3

100%

H10.12( 64社)

3.1

32.8

35.9

28.1

100%

建設業

H11.3 (233社)

3.1

56.3

31.3

9.4

100%

H10.12( 29社)

0.0

55.2

27.6

17.2

100%

卸売業

H11.3 (50社)

4.0

58.0

32.0

6.0

100%

H10.12( 50社)

20.0

40.0

20.0

20.0

100%

小売業

H11.3 (233社)

0.0

43.4

40.7

16.9

100%

H10.12( 77社)

3.9

42.9

33.8

19.5

100%

サービス業

H11.3 (35社)

5.7

40.0

31.4

22.9

100%

H10.12( 48社)

14.6

41.7

29.2

14.6

100%

〔質問2-2〕

貸し渋りが経営にどの程度影響を及ぼしていますか。

  (質問2-1で「さらに厳しくなった」「相変わらず厳しい」と回答した 108社)

○ 「すでに限界にきており、経営に深刻な影響が出ている」は12.0%で、前回の18.2%から6.2ポイント低下した。しかし、「このままの状態が続くと、いずれ経営に影響が出ると思う」は前回の42.4%から5.7ポイント上昇し48.1%になった。

 

H11.3

H10.12

1.すでに限界にきており、経営に深刻な影響が出ている

13社
12.0(%)
24社
18.2(%)

2.このままの状態が続くと、いずれ経営に影響が出ると思う

52
48.1
56
42.4

3.貸し渋りに対して、当面は何とか対応できる

36
33.3
47
35.6

4.わからない

4
3.7
5
3.8

5.無回答

3
2.8
0
0.0

合    計 

108件 132件

〔質問3-1〕

「中小企業金融安定化特別保証制度」を利用しましたか。また、近々利用する予定がありますか。

○ 「中小企業金融安定化特別保証制度」をこれまでに「利用した」と回答した企業は187社(回答企業の42.1%)で、前回(12月時点)の167社から20社(前回比16.9%増)増えた。また、「近々利用する予定がある」と回答した企業は44社(回答企業の約1割)で、この内訳は新規利用が32社、再利用が12社となっている。

〔質問3-2〕

「中小企業金融安定化特別保証制度」を利用した融資の返済にあたって、据置期間をどのくらい設けましたか。

(質問3-1で「はい」と回答した 187社)

○ 融資の返済にあたって、「据置期間を設けた」と回答した企業は69社(36.9%)で、その内訳は「6ヶ月以内」が35社、「6ヶ月超~1年以内」が34社だった。

 

件 数

1.6ヶ月以内

35

18.7

2.6ヶ月超から年以内

34

18.2

3.設けていない

108

57.8

4.無回答

10

5.3

合  計

187

100

〔質問3-3〕

据置期間を設けなかった理由は何ですか。

(質問3-2で据置期間を「設けていない」と回答した108社)

○ 据置期間を設けなかった理由は、「返済の見通しが既に立っているから」が最も多く37.0%、次いで「据置期間経過後の返済が多額になるから」の35.2%となっている。一方、割合が少ないものの、「据置期間があることを知らなかったから」(14.8%)や「取扱金融機関から据置期間の設定を断られたから」(6.5%)と回答した企業もあった。

 

件 数

1. 返済の見通しが既に立っているから

40

37.0

2. 据置期間経過後の返済が多額になるから

38

35.2

3. 取扱金融機関から据置期間の設定を断られたから

7

6.5

4. 据置期間があることを知らなかったから

16

14.8

5. 無回答

7

6.5

合  計

108

100

(重複回答あり)

〔質問3-4〕

「中小企業金融安定化特別保証制度」の無担保保証の限度額5000万円について、どう思いますか。

  (無回答を除いた344社)

無担保保証の限度額5000万円については、「もっと拡大すべき」が80社(23.3%)、「このままでよい」が255社(74.1%)となっている。

件数

もっと拡大すべき

80

23.3

2.このままでよい

255

74.1

3.縮小すべき

6

3.6

合  計

344

100