中小企業の資金繰り等に関するアンケート調査結果
(4~6月期)


・調査期間 平成12年6月5日~10日
・調査対象 東京商工会議所会員企業(資本金3億円以下の中小企業)476社
・調査方法 23支部の経営指導員を通じた聴き取り調査
・回答数 454社(回答率95.4%)



Ⅰ.調査結果概要

 平成12年4~6月期の資金繰り(平成12年1~3月期に比べた平成12年4~6月期の状況)は「悪化した」としている中小企業は23.1%で、前回調査(平成11年10~12月期に比べた平成12年1~3月期の状況)の29.0%から5.9ポイント改善したが、「変わらない」と回答する企業の割合が約7割を占めている。
民間金融機関の貸出姿勢は、「厳しい」(「更に厳しくなった」4.5%と「相変わらず厳しい」48.6%の合計)と回答する割合は53.1%で、前回の56.3%から3.2ポイント減少している。しかし、借入れをしている企業の半数以上が厳しいと回答しており、「自社の経営の悪化」というよりも「金融機関の貸出姿勢の変化」による厳しさを理由にあげている割合が高い。
貸し渋りによる企業経営への影響については、「すでに限界にきており、経営に深刻な影響が出ている」「いずれ経営に影響が出ると思う」と回答した割合が56.4%と、前回調査の62.7%から6.3ポイント改善してはいるものの、5割を超す企業は依然として経営環境の厳しさに不安を抱く状況が続いている。

Ⅱ.回答企業の概要について

製造業 建設業 卸売業 小売業 サービス業

合計

98社

47

70

146

93

454

21.6%

10.3

15.4

32.2

20.5

100



Ⅲ.調査結果

〔質問1〕

前期(平成12年1~3月期)に比べた今期(平成12年4~6月期)の資金繰り状況はどうですか。

○ 平成12年1~3月期に比べて、資金繰りが「悪化した」と答えている中小企業は23.1%で、前回の29.0%よりも5.9ポイント改善、7割近くの企業は「変わらない」と回答している。

  1.好転した 2.変わらない 3.悪化した 4.無回答 合 計
H12.6月期

18社(4.0%)

314(69.2)

105(23.1)

17(3.7)

454

H12.3月期

11社(2.3%)

295(66.7)

128(29.0)

9(2.0)

442



〔質問2-1〕

民間金融機関の最近の貸出姿勢は、平成12年1~3月期と比べて変化がありましたか。

○ 民間金融機関の貸出姿勢について、「借入れしていない」「わからない」「無回答」の企業を除く220社をみると、「更に厳しくなった」が4.5%で、前回の8.8%から4.3ポイント減少、一方「厳しくない」は41.4%で、前回の37.0%から4.4ポイント増加しているが、貸出姿勢を「厳しい」と感じている企業は半数以上(53.1%)で、厳しい状況が続いている。

○ 産業別にみると、「更に厳しくなった」と回答した割合が全産業とも若干減少しているが、製造業を除く4業種で「厳しい」(「更に厳しくなった」「相変わらず厳しい」の合計)と回答する割合は依然として半数を超えている。中でも建設業は66.7%、卸売業では62.5%と「厳しい」と感じている企業の割合は高く、いまだ改善の傾向がみられない。一方、小売業では、「緩くなった」と回答した割合が6.8%と前回の2.2%から4.6ポイント増加、製造業では「厳しくない」と回答した割合が前回43.2%から6.8ポイント増加し5割に達するなどわずかながら改善をみせた。厳しいところは厳しく、緩やかなところは緩やかな状況が続くといった二極化の傾向が続いている。

    さらに厳しくなった 相変わらず厳しい 厳しくない 緩くなった
全業種 H12.6 (220社) 4.5 48.6 41.4 5.5
  H12.3 (181社) 8.8 47.5 37.0 6.6
製造業 H12.6( 54社) 3.7 35.2 50.0 11.1
  H12.3( 44社) 9.1 31.8 43.2 15.9
建設業 H12.6 (30社) 6.7 60.0 30.0 3.3
  H12.3 ( 29社) 10.3 58.6 27.6 3.4
卸売業 H12.6 (40社) 7.5 55.0 37.5 0.0
  H12.3 (33社) 15.2 45.5 33.3 6.1
小売業 H12.6 (59社) 3.4 50.8 39.0 6.8
  H12.3 ( 46社) 6.5 56.5 34.8 2.2
サービス業 H12.6 (37社) 2.7 48.6 45.9 2.7
  H12.3 ( 29社) 3.4 48.3 44.8 3.4

〔質問2-2〕

その理由は主に次のどのような理由によるものと思われますか。

  (質問2-1で「さらに厳しくなった」「相変わらず厳しい」と回答した117社・複数回答)

○ 民間金融機関の貸出姿勢を厳しい(「更に厳しくなった」「相変わらず厳しい」の合計)と回答する企業のうち4割を超す企業が、厳しいと感じる主な理由として「金融機関の貸出姿勢の変化」をあげ、次いで「自社の経営の悪化」(27.4%)となっている。「その他」の回答では、「借入過多」、「担保余力の不足」等があげられた。

 

H12.6
(117社に占める割合)

1.金融機関の貸し出し姿勢の変化 53件(45.3%)
2.自社の経営の悪化 32件(27.4%)
3.業界・地域における景況の悪化 29件(24.8%)
4.その他 9件(7.7%)
5.無回答 5件(4.3%)

〔質問2-3〕

貸し渋りが経営にどの程度影響を及ぼしていますか。

  (質問2-1で「さらに厳しくなった」「相変わらず厳しい」と回答した117社)

○ 「経営に深刻な影響が出ている」は11.1%(前回13.7%)、「このままの状態が続くと、いずれ経営に影響が出ると思う」は45.3%(前回49.0%)と貸し渋りによる経営への影響を懸念している割合は前回調査より若干減少しているが、5割を超す企業は依然として経営環境の厳しさに不安を抱く状況が続いている。

 

H12.6

H12.3

1.すでに限界にきており、経営に深刻な影響が出ている 13社(11.1%) 14社(13.7%)
2.このままの状態が続くと、いずれ経営に影響が出ると思う 53社(45.3%) 50社(49.0%)
3.貸し渋りに対して、当面は何とか対応できる 45社(38.5%) 31社(30.4%)
4.わからない 4社(3.4%) 2社(2.0%)
5.無回答 2社(1.7%) 5社(4.9%)

合    計 

117件 102件