会頭コメント

会頭コメント

第2次森内閣の発足について

2000年7月4日
東京商工会議所

1.新内閣は、小渕内閣を継承した前内閣に比し、本格的な「森政権」の政策を世に問う内閣である。総選挙ではともかくも与党は信任され、森首相は国民の付託を受けて本格的な政権をめざすべきである。新内閣の顔ぶれをみると、まずサミットを目前に控えての外相、蔵相等の再任は当然の流れだろう。官房長官が交代し、IT(情報技術)担当相の新設や民間の女性の起用に新味もみられるが、全体として党内事情を優先した実務型内閣の印象が強い。斬新な政策を打ち出し、国民の期待に応えてほしい。
事実上年末までの短期内閣にはなるが、省庁が再編されるからといって、現政権の理念や政策の継続性が断絶するわけではない。強いリーダーシップを発揮して、山積する問題を処理・解決することが森首相の責務であり、また同時に国民の政治への信頼を回復する唯一の道である。

2.新内閣には、まずようやく上向いてきた景気を着実に回復軌道に乗せることに全力を挙げてもらいたい。引き続き機動的な経済運営に心がけてほしい。依然として低迷している個人消費の背景には雇用不安があり、雇用の創出あるいは適正な再配置を伴った経済再生が不可欠であり、今月にも発足する産業新生会議ではIT社会への対応とともに主要テーマとして取り組むべきだろう。
 また、中小企業対策については、創造性や機動力を生かした支援の枠組みはすでに出来たが、今後の本格・継続支援が何より大事だ。引き続き万全を期してほしい。
 なお、いつまでも財政に依存出来ない現状は国民も理解している。現在は二兎を追う選択は慎むべきだが、いずれ財政改革と新たな社会保障制度についても、しっかりとしたビジョンを描く時期を視野に入れておく必要がある。

以上