会頭コメント

会頭コメント

7~9月期GDP速報について

2000年12月4日
東京商工会議所

 7~9月期のGDPが前期比0.2%を記録し、3四半期連続でプラス成長になったのは、景気が回復基調にあることを示すものとして、一応は歓迎する。民間設備投資が堅調に伸びているのは、概ね合理化がすすんだ製造部門のIT(情報技術)関係投資を中心に支えられたものだろう。しかし、構造転換の遅れている非製造部門はまだ低迷が続く可能性が強く、決して楽観はできない。
 また、相変わらず個人消費が横ばいである。先日発表の失業率が依然として高い水準にあることと相俟って、デフレ不況の根本原因である国民の将来不安が解消していないことを示している。
 一方、公共投資の落ち込みも地方経済にとっては、今後ボディーブローのように活力を奪う要因になる。
 総じてフローの改善はみられるものの、不良債権の処理などストック・デフレが解消していないので、信用収縮も含めて経済全体が拡大を躊躇しているのが現状であると思う。
 当面は、先に成立した本年度補正予算を早期に、かつ効果的に執行し、景気の回復基調を維持し、着実に回復軌道に乗せていくことが重要である。

以上