会頭コメント

会頭コメント

株価12,000円割れについて

2001年3月13日
東京商工会議所

 平均株価が12,000円を割り込んだのは憂慮すべき事態だ。与党のまとめた緊急経済対策が発表されたにもかかわらず、株価の低迷に歯止めがかからなかったのは、不透明な政局が対策の実効性に不安を生じさせたためだろう。
 何よりも株価低迷の原因は、まず日本経済の実態がよくない上に米国景気減速の影響も含めて先行きに懸念があることをそのまま反映したものになっていること、そして金融機関の不良債権の処理が終わっていないという事実があることである。
 即効性のある対策を検討するのも無駄ではないが、日本経済がまさにデフレ・スパイラルの入り口に立っている現在、問われているのは実行力である。従って、まず求めたいのは、速やかに政局の安定を図り、景気の本格的な自律回復に向けて挙国一致で取り組むことである。そして、中小企業に対する配慮と失業対策について安全網(セーフティーネット)を整備することを条件に、不良債権の処理を粛々とすすめていくことである。
 その上で政府は、経済再建のグランドデザインを示し、国民に将来へ向けての安心感を与えることが何よりも重要である。先の緊急経済対策も、方向性は間違っていないので、政治のリーダーシップの下で果敢に実行すべきである。
 さらに、財政政策を後押しするには金融政策の実行も不可欠である。日銀は、政府と緊密な連携をとりながら、さらなる金融緩和を含めて可能な限りの手段を講じてもらいたい。

以上