ミスを防ぐ仕事術

第3回 「もっとしっかりしろ!」がミスを増やす

平成29年9月26日

 日々の仕事につきものの様々なミス。がんばってなくそうとしているのに、なかなかなくならないものです。というのも、我々の脳自体がミスを起こしやすいメカニズムになっているのです。なぜミスが起きるのか、脳のメカニズムとともに解説し、ミスを防ぐ対策を紹介します。

ワーキングメモリを支える「注意」


 ある商談に部下と同行した帰り、商談について部下と話していると、「え?何を聞いていたんだ?!」ということばかり。先方が話した重要なポイントを捉え損なうミスをしていました。
 こんなとき、「もっとしっかり聞かないとダメだぞ」とついつい叱ってしまいがちですが、これが実はさらに部下のミスを増やす危険があります。
 なぜなら、その一言が部下のワーキングメモリを圧迫してしまうからです。
 「ワーキングメモリ」は第1回で紹介したように、「脳のメモ帳」に例えられる記憶の一つで、一時的に情報を蓄えておく作業領域です。
 すぐに覚えてくれる便利な記憶である一方、その容量は小さく、そこから溢れるとすぐに忘れる困った記憶です。
 このワーキングメモリを支え、その限界にもなっているのが「注意」。
 あなたは今この文章を読んでいますが、まさに「注意」をここに向けています。この「注意」を使って、ワーキングメモリは情報を覚えているのです。


「注意」は貴重な限られた資源


 このことを実感してもらうために、次の文章を読んでみてください。
 「上司の木下課長に呼ばれ、高橋工業宛に会社案内のPDFを送ってほしいと依頼されました。自分の机に戻ると、見積もりを待ちわびていた渡辺金属から新着メールの通知。見積もりの結果次第では、いまいち営業担当者が信用できない城島産業と仕事をしないといけません。期待と不安でメールを開き、添付されていたファイルを開こうと思った瞬間に電話が入りました。佐藤通信から上田先輩宛でした。電話をつなぎ終えるとスマホのライン通知。学生時代の悪友、広瀬から飲みの誘いでした」
 さて、会社案内をどこに送らないといけなかったか、思い出せますか?
 おそらく頭の中がゴチャゴチャして思い出せないでしょう。文章を読んでいる間も、社名や人名で頭がいっぱいになる感覚があったかもしれません。
 図の中にある「腕」が「注意」を表します。この「腕」でワーキングメモリは覚えるのです。しかし、「腕」の数に限りがあるため、他のものに注意が向いたり、新たな情報が入ってきて何かをつかもうとすると、今つかんでいるものを放さざるをえなくなって、忘れてしまうのです。
 また、何かを覚えておくため、もしくは何かが気になって「腕」が占拠されると、他のことに注意が向かずに大事なことを見落としてしまいます。

 
 

ワーキングメモリの負荷を減らす


 冒頭の話に戻ると、部下のワーキングメモリは新たな情報に「腕」が占拠されて、得意先の話に向ける「腕」=注意が足りなかったのかもしれません。
 こんな状態で「もっとしっかり聞け!」なんて言っても、そのことにまた貴重な「腕」がとられて、ますます相手の話を聞くための「腕」が少なくなってミスが起こりやすくなります。
 ここで必要なのは、ワーキングメモリの負荷を減らし、使える「腕」の数を増やすこと。例えば、商談中にきちんとメモをとりながら聞くだけでも、ワーキングメモリの負荷は減らせます。
 叱ることが悪いわけではありませんが、部下のワーキングメモリの状態を意識し、できるだけその負荷を減らすアドバイスが有効なのです。



執筆者:宇都出 雅巳
トレスペクト教育研究所代表。速読・記憶法や心理技法の実践体験に、認知科学の知見を取り入れた学習法を確立し、伝えている。

掲載:東商新聞 2017年4月10日号




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