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企業向け新型コロナウイルス対策情報   第60回 後遺症を抱える従業員の職場復帰への配慮

2021年12月27日
東京商工会議所

東京商工会議所では、新型コロナウイルスが感染拡大する中、企業での対策に活用できる情報として、産業医有志グループ(※)より提供される「企業向け新型コロナウィルス対策情報」を配信(不定期)しております。

本対策情報は、産業医有志グループ(今井・櫻木・田原・守田・五十嵐)が作成し、和田耕治先生(国際医療福祉大学・公衆衛生学教授)のサポートも受けております。詳細は本ページ下部の「文責」をご覧ください。

健康経営倶楽部マガジン臨時号             2021/12/27
                     東京商工会議所 ビジネス交流部
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        企業向け新型コロナウイルス対策情報
     第60回 後遺症を抱える従業員の職場復帰への配慮
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経営者・総務人事担当者のみなさま、新型コロナウイルス後遺症を抱える
従業員の職場復帰時の対応について検討されていますでしょうか?

1.課題の背景:新型コロナウイルス感染症にかかった者の一部に様々な
「後遺症」を認めることがわかっています。日本の調査では、診断されて6ヶ
月後にも罹患者全体の10%以上に疲労感・倦怠感、息苦しさ、睡眠症状、
思考力・集中力低下などが認められました。
基本的には時間とともに症状は軽快すると考えられますが、後遺症と仕事内容に
よっては就労にも影響を及ぼします。そこで、後遺症を抱える従業員の職場復帰
の対応について進め方を整理しておくとよいでしょう。
(下図は参考資料2より)
参考資料 6)図①

2.企業でできる対策
○主治医に問い合わせて、医学的な情報を入手する
〇新型コロナウイルス後遺症について理解する
〇必要な就業上の配慮事項を検討する
〇配慮が長期化する場合の労務管理上の取り扱いを検討する

1)主治医に問い合わせて、医学的な情報を入手する
後遺症を抱える従業員の症状が業務に支障をきたしそうな場合には、主治医と連携して
医学的な情報を入手することが大切です。
その場合には勤務情報を主治医に提供することで、主治医から職務の実態に見合った
必要な配慮に関する情報を得られることでしょう
(下図)。
参考資料 7)図②

主治医と連携した職場復帰支援の流れ

厚生労働省から「勤務情報を主治医に提供する際の様式例」が公開されていますので、
ご活用ください(参考情報3)。以下が、情報提供する際の項目です。

・職務内容      ・勤務形態      ・勤務時間   
・通勤方法や通勤時間 ・休業可能期間    ・有給休暇日数 
・利用可能な制度(時間単位の有給休暇、短時間勤務制度やテレワークなど)

2)新型コロナウイルス後遺症について理解する
復職者を受け入れるにあたって、職場側が後遺症について理解することも大切です。
第44回情報配信 「新型コロナウイルス後遺症について」もご参照ください(参考情報 4)

□感染者の 3 人に 1 人に何らかの症状が後遺症としてみられる可能性がある
□症状によっては数カ月も遷延することがある
□軽症者、若年層においても後遺症が問題となる場合がある

3)必要な就業上の配慮事項を検討する
後遺症を抱える従業員が職場復帰する際には、業務により症状が増悪しないように、
もしくは症状によって業務に支障をきたさないように、就業上の配慮を検討する
必要があります。主治医からの診断書や、(産業医契約のある事業所では)産業医等の
意見も参考にしながら、本人、職場の上司、人事労務担当者などの関係者で協議をして
就業上の配慮事項を決めることが望ましいでしょう。
また、その際には、以下の3つの視点で配慮の内容を構造化すると整理しやすいので
ご参照ください(参考資料5)。

1)後遺症によって従業員の安全が確保できない状況への配慮
例:筋力低下の続く従業員に、高所作業に就かないようにする

2)後遺症によって働くことに支障をきたさないような配慮
例:疲労感の続く従業員に、適宜休憩所利用を許可する
 息切れが続く従業員に、事業所から最寄りの駐車場の利用を許可する

3)後遺症によって業務を行うのに必要な能力が損なわれた場合の配慮
例:味覚作業が続く調理担当の従業員に、症状が回復するまで別の業務に就いてもらう

また、基本的には時間とともに後遺症は軽快していくと考えられますので、定期的に
(例:月に一度)就業上の配慮事項を見直す機会を設けると良いでしょう。

4)配慮が長期化する場合の労務管理上の取り扱いを検討する
症状によっては数カ月に渡って遷延する可能性があります。この間、漫然と配慮が
長期化する状況も好ましくなく、後遺症が長期化する際の労務管理上の取り扱いに
ついてもよく検討しておく必要があります。

□配慮継続の必要性につき、定期的に(例:月に1回)主治医や産業医等の意見を聴く
□配慮した結果として、職場内で他の従業員に過度な負担がかかっていないか、不満が
 起きていないかなど、不公平な配慮になっていないか確認する
□短時間勤務、フレックス勤務、特別休暇、在宅勤務など、既存の制度の中で適用可能な
 ものがないか検討する

【文責】五十嵐 侑(五十嵐労働衛生コンサルティング合同会社)
※本文章は、産業医有志グループ(今井・櫻木・田原・守田・五十嵐)で作成しました。
和田耕治先生(国際医療福祉大学・公衆衛生学教授)のサポートも受けております。

OHサポート株式会社(代表/産業医 今井 鉄平)では、経営者・総務担当者向けに必要な感染拡大防止策情報を随時配信しています。本情報は著作権フリーですので、ぜひお知り合いの経営者に拡散をお願いします。

また、動画配信も行っております。参考情報リンク参照。

※本情報配信に関するご意見・ご要望は、こちらまでお寄せください。
covid-19@ohsupports.com

※これまでに配信しましたバックナンバーは、参考情報リンク参照。

以上
【本件担当・問い合わせ先】

東京商工会議所
ビジネス交流部 会員交流センター