会頭コメント

会頭コメント

令和4年度政府予算案の閣議決定について

2021年12月24日
東京商工会議所

 コロナ禍で顕在化した様々な経済社会課題の解決と経済力強化を目指す幅広い政策が盛り込まれた大型の予算編成となった。早期成立を図り、中小企業等を対象とする「事業復活支援金」などを含む令和3年度補正予算とともに、スピード感をもって切れ目なく着実に実行していただきたい。

 新型コロナ感染拡大の抑制を図ることは当然ながら、経済社会活動が停止しないよう、今後の感染拡大に備えた医療提供体制の整備やPCR検査等検査体制の確保、ワクチン追加接種の迅速かつ計画的な実施および経口治療薬の開発・供給を急ぎ実現されたい。

 飲食や宿泊、観光など、長引くコロナの影響で疲弊の度を深める中小企業がある一方で、環境変化に対する自己変革力を発揮して事業再構築等に取り組もうとする事業者も存在する。困窮する事業者に対する最大限の支援はもとより、事業者の新分野展開や業態転換など新たな挑戦への後押しとなる各種施策を力強く進められたい。

 成長と分配の好循環実現に向け、中小企業の生産性向上が不可欠である。そのためのデジタル化投資、研究開発の促進、海外展開等に対する支援に取り組むことが打ち出されており心強い。また、昨今の資源価格高騰等により、9割以上の中小企業がコスト増の影響を受けているが、価格転嫁が難しい中で企業収益が圧迫されている。この点、賃上げに必要な原資の確保にもつながる取引価格適正化や価格交渉力強化支援などの事業環境整備が盛り込まれたことを高く評価する。

 なお、今後とも増加することが確実な社会保障費については、依然として切り込み不足の感が否めない。国民の将来不安を払拭しうる全世代型社会保障制度を構築するため、世代間のバランス確保と応能負担の視点に立った抜本改革に引き続き取り組んでいただきたい。

以上