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企業向け新型コロナウイルス対策情報  第44回 新型コロナウイルス後遺症について

2021年4月5日
東京商工会議所

東京商工会議所では、新型コロナウイルスが感染拡大する中、企業での対策に活用できる情報として、産業医有志グループ(※)より提供される「企業向け新型コロナウィルス対策情報」を配信(不定期)しております。

本対策情報は、産業医有志グループ(今井・櫻木・田原・守田・五十嵐)が作成し、厚生労働省新型コロナウイルス対策本部クラスター対策班・和田耕治先生(国際医療福祉大学・公衆衛生学教授)のサポートも受けたものです。詳細は本ページ下部の「文責」をご覧ください。

健康経営倶楽部マガジン臨時号                2021/04/05
                     東京商工会議所 ビジネス交流部

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         企業向け新型コロナウイルス対策情報
        第44回 新型コロナウイルス後遺症について

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※健康経営倶楽部マガジンの臨時号として、新型コロナウイルスの感染拡大防止に向けて、
 企業での取り組みに活用できる情報を、ご登録の皆様に不定期に配信しています。

【下記コンテンツについて】
 産業医有志グループ(今井・櫻木・田原・守田・五十嵐)で作成の上、
 国際医療福祉大学・公衆衛生学教授 和田耕治先生(元 厚生労働省新型
 コロナウイルス対策本部クラスター対策班)のサポートも受けています。

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企業の経営者・担当者のみなさま、新型コロナウイルスに感染した後に、患者によっては
急性期の症状が遷延する(いわゆる後遺症が残る)ことが分かってきております。
今後、後遺症に悩む従業員が職場で発生する可能性もありますので、まずは現時点で
分かっていることを整理しておきましょう。

1.課題の背景:
新型コロナウイルスに感染した後、ほとんどの人は通常の健康状態に戻る一方で、
回復した後も数週~数ヶ月間様々な症状が続く人がいます。症状の程度にも個人差
があり、中には従前通りの業務に就くことが困難なケースもあるかもしれません。
また、どこに相談したらよいか分からず、問題を独りで抱え込んでしまっている
こともあるかもしれません。残念ながら、現時点では後遺症の原因は明確に分かって
おらず、確立された治療法もないのが現状です。それ故に、職場での理解や支援が
後遺症に悩む従業員にとって大きな助けになることもあります。
今回は、後遺症について現時点で分かっていること、職場で実施可能と思われる支援
につき説明します。

2.企業でできる対策:
〇後遺症について理解する
〇後遺症の相談窓口を把握しておく
〇後遺症に悩む従業員への配慮を検討する

2-1.後遺症について理解する
□感染者の3人に1人に何らかの症状が後遺症としてみられる可能性がある
□症状によっては数カ月も遷延することがある
□軽症者、若年層においても後遺症が問題となる場合がある
□できるだけ感染しないことが最大の後遺症予防策となる
 後遺症として頻度が高い症状には、倦怠感、息苦しさ、胸の痛みや違和感、咳などが
 あげられます。それぞれの頻度や持続期間を下の表に示します。
 症状によって持続期間にばらつきがありますが、倦怠感など6カ月も遷延する場合も
 実際にあるようです。また、新型コロナに感染した人の3人に1人が、少なくとも
 1つ以上の症状を後遺症として経験していることが国内外の報告で分かっており、
 後遺症も決して稀なことではないようです。入院を要する重症の新型コロナ患者で
 後遺症がみられやすい傾向にありますが、入院していない軽症の人でも症状が続い
 たり、後になって症状が出てきたりすることがあります。また、20~30代の若い層も
 後遺症を有する割合は決して低くないことが国立国際医療研究センターの調査からも
 分かっており、若いから感染しても大丈夫とは言えなさそうです。
 現時点では、できるだけ感染しないように基本の感染予防策を続けていくことが最大
 の後遺症予防策となります。

表)後遺症の頻度と持続する期間(参考資料6)

2-2.後遺症の相談窓口を把握しておく
□地域の後遺症専門外来、行政の相談窓口等の情報を把握しておく
 前述のように、現時点では後遺症の原因は明確に分かっておらず、それぞれの症状に
 応じた対症療法が中心となります。医療機関で後遺症専門外来を設置しているところも
 増えてきました。また東京都では都立病院の患者支援センターに「コロナ後遺症相談窓口」
 を設置し、新型コロナウイルス感染症の治療や療養終了後も、呼吸の苦しさや味覚・嗅覚
 の異常などの症状がある方からの受診や医療に関する相談への対応を開始しているようです(資料3)。
 このような地域の相談窓口や専門医療機関の情報を職場で把握しておくことで、後遺症に
 悩む従業員が出た場合に専門医療機関につなげられる可能性が出てきます。

2-3.後遺症に悩む従業員への配慮を検討する
□従業員本人の意向を踏まえながら、復職時期や復職時の就労条件を個別に調整する
□後遺症が長期間にわたり遷延する際の労務管理上の取り扱いをよく検討しておく
 感染した従業員は、通常ですと「発症日から 10 日間を経過し、かつ症状軽快後
  72 時間経過した場合」に職場復帰が可能となります。
 これは他の人への感染拡大防止の観点からの目安となりますが、10日間を過ぎても
 症状が残る場合に復職をさせてよいのか、職場でも悩ましいところかと思います。
 このような場合、保健所や(産業医契約のある事業場では)産業医等に相談する
 ことも一つの方法です。
 また、感染した従業員本人が復職への不安を感じている場合などは、本人の意向を
 踏まえながら、職場復帰の時期や職場復帰時の就労条件などを個別に調整していく
 ことも重要となります。例えば、倦怠感が著しい場合など、時短勤務や在宅勤務を
 一定期間行った上で、徐々に通常勤務に戻していくなどの対応が考えられます。
 ただし、症状によっては数カ月に渡って遷延する可能性があります。
 この間、漫然と配慮が長期化する状況も好ましくなく、後遺症が長期化する際の
 労務管理上の取り扱いについてもよく検討しておく必要があります。
 例えば、配慮継続の必要性につき、定期的に主治医や産業医等の意見を聴くことなど
 があげられます。また、メンタルヘルス不調やがんなど、すっきりと治らない病気の
 職場復帰支援の仕組みなども参考にできるかと思います(資料4、5)。
 これらの仕組みがない職場では、これを機に疾病からの職場復帰支援の仕組みを整備する
 ことをお勧めします。

【文責】今井 鉄平(OHサポート株式会社)

※本文章は、産業医有志グループ(今井・櫻木・田原・守田・五十嵐)で作成しました。
厚生労働省新型コロナウイルス対策本部クラスター対策班・ 和田耕治先生 (国際医療福祉大学・公衆衛生学教授)のサポートも受けております。

OHサポート株式会社(代表/産業医 今井 鉄平)では、経営者・総務担当者向けに必要な感染拡大防止策情報を随時配信しています。本情報は著作権フリーですので、ぜひお知り合いの経営者に拡散をお願いします。

また、動画配信も行っております。参考情報リンク参照。

※本情報配信に関するご意見・ご要望は、こちらまでお寄せください。
covid-19@ohsupports.com

※これまでに配信しましたバックナンバーは、参考情報リンク参照。

以上
【本件担当・問い合わせ先】

東京商工会議所
ビジネス交流部 会員交流センター