東商新聞座談会-23区地域の取り組み

第1回座談会-23区地域の取り組み「連携から探る 新たな東京の製造業のかたち」

東商新聞 News&Opinions

東京の各地域の特色を活かした多様な取り組みについて、テーマ別に紹介する座談会の第1回。
東京に集積する様々な分野の中小製造業が持つ多種多様な技術を活かす新たな取り組みが進んでいる。
東京の企業を中心に連携するプロジェクト、深海無人探査機「江戸っ子1号」、IoT活用「つながる町工場」、平昌五輪を目指す「下町ボブスレー」のキーマンに、連携のポイント、ものづくり企業の現状と課題、今後の展望について話を聞いた。(本文中は敬称略)

※「東商新聞」2016年6月20日号の特集座談会の新聞未掲載部分も含めた全文を掲載しています。
  →紙面はこちらでご覧いただけます 東商新聞デジタル版

  • 杉野 行雄さん

    杉野 行雄(すぎの ゆきお)さん 杉野ゴム化学工業所 社長
    【「江戸っ子1号」プロジェクト/「葛飾っ子1号」プロジェクト】

    創業1956年。創業者は父。主な事業は一般用・工業用ゴム製品の開発製造で、ゴム製品の中小企業が集積する葛飾区に本社を置く。
    1949年生まれ。日本大学生産工学部卒業後、同社に入社。79年から社長。
     
     
  • 今野 浩好さん

    今野 浩好(こんの ひろよし)さん 今野製作所 社長
    【「つながる町工場」プロジェクト】

    創業1961年。創業者は父。主な事業は油圧機器設計、板金加工、福祉機器等の開発・製造販売。足立区に本社を置く。
    1962年生まれ。早稲田大学政経学部卒業後、大手工業用ゴム部品メーカーに入社。96年、同社に入社。2004年から社長。中小企業診断士。
     
  • 舟久保 利和さん

    舟久保 利和(ふなくぼ としかず)さん 昭和製作所 社長
    【「下町ボブスレー」プロジェクト】

    創業1950年。創業者は祖父。主な事業は金属材料を中心とした、材料試験片、超音波探傷用試験片、試作部品等の制作など。大田区に本社を置く。
    1979年生まれ。順天堂大学スポーツ健康科学部卒業後、同社に入社。2013年から社長。
      
      

「産学官金」連携で短期に実現-杉野社長

  • 水族館で公開された「江戸っ子1号」
    写真=水族館で公開された「江戸っ子1号」

    司会
     杉野社長、深海無人探査機「江戸っ子1号」から、次の「葛飾っ子1号」までの経緯を教えてください。
  • 杉野
     私が海底探査を思い付いたのは、ただの「夢」です。海が好きで、自分の船でいろいろ遊んいでる間に、「どうもこの海底にものすごいものがありそうだ」という話を聞き、それを撮ったら一儲けできるんじゃないかと(笑)。しかも、国は海底をほとんど調査していないということが分かったので、「俺たちがやってやろう」という向こう気もありました。ただ、下町の町工場の連中に話しても、「できるわけねえだろう」で終わってしまった。しかし、2009年に東大阪の「まいど1号」が、JAXAから10億円もらって人工衛星を打ち上げた。これで「大阪にしてやられた」「東京も何かせにゃ」となり、深海探査機「江戸っ子1号」の話が一躍出てきて、「産学官金」連携で取り組みました。
     町工場は技術力で足りないものが多いけれども、素晴らしい技術を持った弱者が集まれば形になると考え、いろいろな業種の方へ声を掛けました。東京商工会議所の葛飾支部でも講演し、皆さん大変興味を持って集まってくれ、東京東信用金庫が芝浦工業大学や東京海洋大学へ紹介してくれました。また、どうしても資金面で乏しいため、開発費など公的資金や専門知識も得ようということで海洋研究開発機構の指導を受けました。
     それと、我々の一番の苦労は、助成金にまつわる書類です。それは、口利きしてくれた信用金庫にお任せし、産学官金の連携となりました。おかげさまで約3年で深海の7,800mに到達し、世界で初めてフルHD3D映像で撮影しました。町工場のプロジェクトとしてはかなり短期間で達成しました。共同開発とみんなの夢が1つの方向に向かって進んだことで、夢が実現でき、そして、少し有名になって、仕事の面でもプラス面が出てきた。
     ところが、超深海になるとニーズが少なくて、8台しか売れてない。狙っていた目標は100台です。(笑)しかも、水深1万2,000mの探査機も開発しましたが、これで探査するのに2億円かかる。その資金を自分たちで少し稼ごうと思って、一番需要の多い水深1,000mから3,000mの無人探査機「葛飾っ子1号」を開発しています。日本だけじゃなくて、世界中の漁業関係から海洋関係、さらに水産高校あたりでも買える値段にしようということで、今は水深1,000mの装置が5,000万円しますが、我々は価格500万円で1,000台販売を計画しています。要は、開発しても、名前が売れてもしょうがない。稼いでなんぼ、ということです。今回は葛飾区の助成金を活用して進めています。下町の機運、やればできるんだということを示そうと展開しているところです。

同業種で人材育成からスタートして関係強化-今野社長

  • 「つながる町工場」イメージ
    図=「つながる町工場」イメージ

    司会
     今野社長から「つながる町工場」など連携のお話をお願いします。
  • 今野
     我々の取り組みは本当に小さく、まだやり始めたばかりと言ってもいいので成果もまだこれからです。ほぼ同業種の小規模な会社が3社集まって始めたユニットです。
     主な目的は3つで、1つ目は人材育成、2つ目は連携することによる新しい受注、3つ目は小規模な製造現場で使えるITを作るということです。3つ目の部分を「つながる町工場」というプロジェクトとしてやっています。
     もともとは約4年前に、「現場の若手の製造スタッフ達の人材育成を一緒になってやろう」というところから始めました。ほぼ同業の3社で共通していたのが、世代交代が進む中での技能継承の問題です。ベテランがどんどん退職し、幸い若い人の採用はできているんだけども、まだ未熟。早く一丁前に育てたいが、たった1人入った新入社員を自社だけで教育するのは難しい。ということで、他の企業も集まって6人ぐらいで一緒に教育を始めました。
     東京都立城東職業能力開発センターから講師を派遣もらって、溶接の仕方、図面の読み方とか非常に基礎的な講座を一緒にやっていきました。自然と若手同士も仲良くなりますし、同時にどこかでライバル意識も出てくる。自然な形で人間関係ができて、引き合いがあった仕事に対して、自社ではちょっと技術が足りない、設備がない、うちの範疇から外れるとか、以前だったら断っていたのを、自然な形で一緒に横請けをしています。また、もう少し積極的に外に営業していこうとしています。また、IT活用が段々とメインにもなっています。

冬季五輪を夢にPRとネットワーク構築-舟久保社長

  • ジャマイカチームの採用が決まった「下町ボブスレー」
    写真=ジャマイカチームの採用が決まった「下町ボブスレー」

    司会
     舟久保社長、「下町ボブスレー」についてお願いします。
  • 舟久保
     2011年に始まったプロジェクトで、私は最初から参加し、2代目の委員長として全体の統括をして2年になりました。
     大田区では1983年に9,000社以上あった製造業が、2014年には3,500社を切りました。経営者も代替わりが進む中で「このままじゃまずい、何かしなきゃ」という危機感がかなり高まり、このプロジェクトが生まれました。
     大田区は日本でも特に町工場が集積している場所で、今までも異業種交流会などありましたが、飲み会だけで終わることが多かった。その中で、大田区産業振興協会の職員の発案で、みんなで一緒にやれることで、かつ、分かりやすい、PRしやすいものはないかと探していた中で、オリンピックが浮かびました。機具を使う冬のスポーツを見ていると、ボブスレーが「あれ、自動車に似てるな」と気づき、大田区には車産業の会社も多く、「エンジンも付いてないし、やれるんじゃないか」ということで目を付けたのが始まりです。
     調べていくと、ボブスレーは、ヨーロッパでは非常に人気のあるスポーツで、フェラーリやBMWが製造していますが、日本では大企業が参入していない。しかも、日本選手は払い下げの古いそりを使っていることが分かりました。これは、大田区の町工場で造る意味があり、かつ、非常に多様な部品が必要なのでみんなで取り組めるということで、ソチオリンピック前々年の2012年に開発が決まりました。
     このプロジェクトは、PRや、新しいネットワークを作ることが目的ですので、お金は直接生み出さないというのが1つのキーとしてあります。「ただでやってくれ」という無理を27社で一緒に何とか造り上げ、2012年末にとてもありがたいことに女子選手が使ってくれ、しかも全日本選手権で優勝しました。そこからメディアにも注目され、少しずつ大きくなってきました。
     日本で使ってもらおうと始めたプロジェクトですが、なかなか採用されずにいたら、海外チームへの働きかけをしていたところ、今年1月にジャマイカのチームが「ぜひ使いたい」と言ってくれました。2年後の18年ピョンチャンオリンピックに向けて、今動いているところです。文化の違いや、大変さはありますが、いろんな方に注目していただいて、すごく感謝しているところです。

得意な人を任せて仲間に入れてしまう-杉野社長

杉野行雄さん
写真=杉野行雄さん

  • 司会
     杉野社長が地域の方を巻き込んでいく中で苦労された点はありますか。
  • 杉野
     最初はもう全く夢の話だということで相手にされなかったです。
     連携の最初まで遡ると、私も同業者で、技術を若い人たちに伝授しようという勉強会を開いていたんです。技術は門外不出だということで、業界から大変な圧力が来ましたが、押し通して、最初6人だったのが、最終的には40人近くになりました。その中で、現実に何か製品を開発するというテーマで解説するとより分かりやすいと考え、地震の時に家具の転倒を防止する「家具転倒防止ゴム」を考案したら、技術的にはハイレベルなものですからあっという間にできた。しかも売れた。さらに、それがメディアに取り上げられた。
     それが始まりで、いろんな製品開発を同業種と共同でやり、他業種とやればもっと面白いことができるんじゃないかとなって、私が夢に見てた海底探査をやることになったんです。
  • 司会
     最初は同業種でやっていたのを異業種に発展させた。
  • 杉野
     同業者でこれだけできたんだから、異業種なら、訳なくできちゃうんじゃないかなと。甘かったです。夢を持って集まってくれますが、一番の問題は資金です。先ほどお話しした通り、国の助成金を申請したのですが、書類を準備するのは非常に大変で、信用金庫に全部お任せしました。発想の転換です。自分でやろうと思ったら大変なので、何でも自分で抱え込まずに、得意な方に任せて、仲間に入れてしまう。
  • 司会
     「江戸っ子1号」から「葛飾っ子1号」はどのような形になるのでしょうか。
  • 杉野
     「葛飾っ子1号」は水深50mで、川や湖、ダムなどの調査に使えるものということで開発しました。その後、田沢湖などの調査要望があって水深500mぐらい、さらに海でも使うために1,000mを考えています。今、中国が水深300mの漁法を習得して、魚を根こそぎ持って行っています。水産学会などでは、中国が手出しできない「水深1,000mが調査できる無人探査機が欲しい」そうです。
  • 司会
     参加企業にはどのような効果やメリットがありましたか。
  • 杉野
     やはり自分たちの技術力をアピールでき、ただで新聞やテレビに出られることです。ある調査会社の試算だと10億円以上の宣伝効果があったそうです。その効果は絶大なものですし、仕事にも繋がります。町工場はいくら優秀な技術を持っていても、ユーザーの要望を満たして造るだけで、PRはできない縦社会です。これは「挑戦する」という意味でアピールもできるし、社員のモチベーションがものすごく上がる。一石二鳥です。

同業だが連携のマイナスはない-今野社長

今野浩好さん
写真=今野浩好さん

  • 司会
     今野社長は、同業3社の連携だと、ライバルだという障壁はありませんか。
  • 今野
     傍から大まかに見ると同業種ですが、お客さまが全然違うため、全く重ならないですから、実際は競合ではなかったです。日本には板金屋さんの町工場がいっぱいあり、様々な分野に向かって仕事をしているのだから、その中の3社が一緒にやったからといって、冷静に考えれば現実にはほとんどマイナスはありません。同業だからこそ、むしろお互いの技術を高めるので、考えようによっては「プラスはいくらでもある」というのが3社の最初から共通した認識でした。
  • 司会
     IT活用について、教えてください。
  • 今野
     まず、日本には従業員数30人以下の規模の小さな製造現場の使える生産管理システムがないんです。これまでは、工場の規模が小さく、仕事もシンプルで、記憶力や紙でも何とかなっていた。ところが、この数年で新しいお客さまの数は増えました。当社の東京工場は現場6人で、相手先は約150社あります。5年に1回しか来ない注文や、様々な業種業態からの注文を頂きます。また、組み立てが必要な注文だと、部品表の管理も必要になり、納期管理が複雑になります。あと、自社商品は、見込み生産も受注生産もある。あるいは、設計から行う受注もある。
     何しろ仕事が複雑になって、デジタル化して、情報を共有、伝達、保存したり上手に使えないともう仕事が回せない。それで、何とかしたいと思っていました。
     パッケージソフトをカスタマイズすると、とても高価だし、元のソフトがバージョンアップする時にまたお金がかかるので追随できない。一方で、現実の仕事は変わっていく。“ソフトが固い”んですよね(笑)。融通が利かないので、“ソフトなソフト”をつくりたいと考えまていました。それで、結局、自社開発をしました。
     開発のきっかけは、日本における生産管理システムの第一人者である法政大学の西岡靖之先生との出会いです。先生は中小企業の生産管理への問題意識があり、プログラミングをしないでも簡単に作れるようなツールを開発し、考え方や理論も提唱していました。その導入の実験台第2号ということで、当社が取り組み始めたのが2010年からです。
     その流れで、この3社の連携でも活用することにしました。連携は、技術を持ち寄るという意味ではメリットですが、効率面では明らかにデメリットです。これを克服するために、実際にITを使い、世の中にITの必要性を示そうということを始めました。
     納期の情報、工程の進捗などを相互に確認できるようにすれば、リードタイムは圧倒的に短縮できます。それはサービスの向上になるはず。僕らは技術力だけで勝負できないのですが、サービスで勝負する余地はたくさんあるのです。
  • 司会
     3社でITを活用して、難しい所はありますか。
  • 今野
     実はすごく難しい。そもそも当社以外の2社は今回初めて生産管理システムを導入しました。今まであうんの呼吸だけでやってきた少人数の現場が、作業指示書を見て、着手、完了ボタンを押していくというのは、現実にはとても大変です。出荷ボタンを押してないのに急いでいたから持ってったとか。とても苦労しています。

自社PRにはすごく効果がある-舟久保社長

舟久保利和さん
写真=舟久保利和さん

  • 司会
     下町ボブスレーの目的は稼ぐことではありませんが、舟久保社長や参加企業はどのようなメリットを感じていますか。
  • 舟久保
     杉野社長と一緒で、1つは自社のPRです。稼ぐ前にまず知ってもらう必要がありますので、皆さん「すごく効果がありました」と言っています。参加企業は100社を超えてきましたが、部品1つだけ造ってる会社でも、営業トークの取っ掛かりになります。
     当社もお客さまがほとんど知ってくれています。私も営業と一緒に定期的にお客さまへご挨拶に行くのですが、名前だけ見て、「もしかして」みたいな話で、それで仕事のお話を頂いたり、「応援してます」と言われたりします。
     参加企業でも、テレビに出たとか新聞に載ってるとかいうことで連絡が来て、「ボブスレーやってるんだったら、こういうことできる?」という話が入ってくるとは、多々聞いていますし、当社でもあります。「こういう機械はできませんか」という問い合わせは非常に今多いです。
     もう1つは、ネットワークという意味では、飲み会には行っていても、案外隣の会社でやってることを知らなかった。それが「同じものを造る」となると、前工程・後工程を見に行ったり、材料の打ち合わせをしたりする。加工に関しては、余分に必要な材料の大きさや納期など、実際の仕事の感覚がすごくよく分かってくるので、ほかの実際仕事をやっていく上でも繋がりが生まれたり、本当の意味でのより深いネットワークというのができてきたと思います。
  • 司会
     問題が起きたりとかはなく、全部メリットだけですか。
  • 舟久保
     いや、9割9分は問題です(笑)。人間2人で話していても摩擦があるのに、100社も集まって、しかも、ただでさえ個性の強い社長が集まっていますから、問題は本当にいっぱいあります。
     でも、杉野社長と同じで、やはり僕たちは「夢」があります。オリンピックという1つの夢を持っていて、しかも無償でやるという、志を持った人たちが集まってるわけです。お金を超えたところでのつながりがあります。
     最終的には本当に各社が元気になればいいんですが、その前段階でお互いを知る作業や、夢を追う楽しさもある。みんなが続けてくれるというのは私も嬉しいですし、自分自身もお金を超えたものがあるからこそ動くのかなと思っています。
  • 司会
     従業員などの人材育成につながってる面はありますか。
  • 舟久保
     プロジェクトとして人材育成というのは特にはやっていません。ただ、実は私は、今野社長のやった最初の一歩をまねさせていただいてるような状況です。
     ボブスレーの中で本当に仲が良い社長がいて、毎年は新卒採用をしていない、若手が定着しないという課題を話している社長に「若手交流会をしよう」と提案したところ、全員がすぐOKと言ってくれました。そこですぐに社長と社員35人で飲み会をしました。若手が何か壁にぶつかった時や、30歳手前でキャリアで悩んだ時などに、同世代でお互いに言えるような、継続した交流の仕組みができればと思っています。
     もう1つは、同じ仕事をしていますから、技術や部品の具体的な話しが弾み、若手同士がつながりました。もう次の日から、仕事をお願いしたり、されたりという話が始まったこともありました。

強い個性を出すと様々な展開が広がる-杉野社長
面白がって突っ走るリーダーが必要-舟久保社長

  • 司会
     東京都の調査では、企業間連携は少ないという結果です。これを広げるポイントは何でしょう。
  • 杉野
     まず、経験がないために怖いんです。また、個々の企業が秘密を持って、それで食べているという認識が強すぎます。ところが、日本人は農耕民族で、もともとは共同作業に向いた資質です。誰か引っ張っていくだけの人材がまだ育っていないだけです。ですから、私のように一度成功事例を出すと、全然専門とは違う分野からもいっぱい来ますよ。強い個性を出すと、それが育って、いろいろな展開ができるという、良い事例だと思うんです。リスクの少ないものから始めて広げていけばいいじゃないか思います。
     ただ、共同開発の責任の範囲と、利益配分をきっちり決めないといけない。それを決めずに突っ走っちゃっうと、実用化・製品化したときに、分解します。正直、私も何度も共同開発で失敗しています。
  • 舟久保
     お二人の話を聞いて思ったんですが、最終的にプロジェクトでは、経済的・社会的リスクを誰が負うかというのが絶対にキーになります。下町ボブスレーで言えば初代委員長のマテリアルの細貝淳一社長です。言いだしっぺ、面白がって突っ走っていく人、そういうリーダーが絶対に必要。多分お二人も初め、多分金銭的な持ち出しも相当あったかとも思いますし、時間もかけたと思います。何か仕組みを作って助成金を作ったところで、それをやれる人が持っていかないと、多分うまくいかない。初めはリスクの小さいものからやっていって、事例を作っていってというのにつながってくるのかなと思いました。
  • 杉野
     それの一番いいのは、飲み会なんですよ。まず目標を決めて、楽しめるなと思うと、だんだん集まってくる。それから理詰めで進めていく。これが将来的に仕事にもつながるし、従業員もモチベーションが上がる。プロジェクトが有名になってくると、自分のやってる仕事にも自信がつく。積極的に自分も関わってるということが誇りにもなるので、その効果は大きいです。

事例を見せ合えばIoTは普及する-今野社長

  • 司会
     中小企業のIT活用が進んでいないと言われています。労働力人口も減少する中で、生産性向上などのために、IT活用の取り組みを広げるポイントは何でしょう。
  • 今野
     最近、国もIoT(モノのインターネット化)に力を入れ出しています。僕は力んでもしょうがないと思っています。むしろ、自然とそうなっちゃうだろうと思っています。(笑)
     なぜなら、これからの若い人たちはデジタルネイティブです。今の20歳の子は既に生まれた時からそういうインターネットがある中で育っています。また、世間で言うIoTとかインダストリー4.0は、短期的にはあまり変わらないけれども、数年後には自然とそうなっていると思います。今だって、20年ぐらいかけて、世の中は変わってきてるから、インターネットで物や音楽を買うとかは当たり前にやってます。
     最初に対応するそれぞれの現場にはもちろん苦労がありますが、でも、いつの時代も様々な苦労はあったので、それは対応して乗り越えていくんでしょう。
     ただ、今までとの違いは、ITは「スピード感」がすごく違う。世の中全体として「どうやってやるか」がまだ見つかってない。専門家もそれぞれの興味のある分野についてだけ言っています。小さな町工場にどう関係あるのか、全然想像もつかないんです。
     ただ、いろんな事例は徐々に出てくる。これからはそれを独り占めするのではなく、どんどん見せ合いっこする。東京には情報が集まっていて、専門家もいます。だから、事例を普段から付き合ってる中で見せ合って、あるところから普及するんじゃないかと思います。
     現場で悩んでることはみんな共通なので、悩みをどう解決するか、どうしたらもっと面白いかということをみんながやって、発信していけば、それに合わせてITも自然と普及すると思います。あと、人材育成は大事だと思っています。
  • 杉野
     今のIT化はものすごいスピードです。iPhoneで全部工程が繋がるのは、2~3年でできるのではないかと思います。
  • 今野
     便利なことはみんなやる。例えば中小企業の社長はITができないとか、ちょっと前までよく言われてましたが、今はみんなiPhoneでLINEやってます。
  • 舟久保
     最初のアレルギーをどうやって除くか、当社の生産管理システムも本当に苦労しました。今は、営業活動にITを入れています。担当者はお客さま先へ行った後に、すぐにウェブで商談相手、時間、内容などを細かく全て入力しています。営業から言わせれば、行動を監視されてるようですが、でも、その情報を受ければすぐ現場も対応できる。僕にも今の状況が全部分かるようにできました。必要、良いと思えばやる。
  • 杉野
     私共も中国に工場があるんです。昔は2次元CADだったけども、3DのCADで立体でやるから理解が速いし、ミスが少ない。指示もしやすいですし、速い。あっという間に世の中は変わると思っています。今は、子どもが操作できるんですから。

意欲と技術ある企業がネットでつながる-杉野社長
「連携」と言わなくてもSNSで広がっていく-今野社長
「一歩横へ」踏み出すことで新たなものが生まれる-舟久保社長

  • 集合写真
      

    司会
     最後に地方との連携などはいかがでしょう。
  • 杉野
     私は産学官民メンバーのコミュニティ「関西ネットワークシステム」と連携して、「シリコンバレーに乗り込もう」と言っています。インターネットでつないでいれば距離は問題ない。これからは共同作業も距離の問題じゃないと思います。日本全国のそういった意欲のある技術を持った地域がつながると、ものすごい活力になると思います。
  • 今野
     お付き合いのつながり方もいろいろあって、「一緒に商売をしようよ」みたいな深い関係性と、「そんなに深くはないけど、仲良く知り合いだよ」みたいな緩やかな繋がりがあって、それぞれ距離や顔を合わせる頻度とか、違うんだと思います。
     でも、一方で、私と舟久保さんは面識は一、二度ですが、Facebookで何となく、「ああ、頑張ってるな」「こういうことをやってんだな」ということを知ることができて、「いいね!」とかしている。SNSはかつてない現象を生んでると思います。何年か前に、展示会で集まった山口県の若手会とは、今でも仲良くしていて、仕事もする関係になったりもします。
     だから、広くいろんな繋がりとか、知り合いになったり仲良くするのは良いことで、あまり力を入れて「連携、連携」と言わなくても良いと思います。統計を見て開発事例が少ないというけれど、1社独自でやっても開発が成功する確率は極めて低いです。それを共同開発で成功する確率なんてすごく低いし、資金力もない中小企業が他社と一緒に何か新たなものを生み出すのは大変なことです。正直言うと、今の事例数でも多いぐらいだと私は思うんです。それでいいんじゃないかということです。
  • 舟久保
     中小企業ですから1つの会社でできないことをみんなでやるというのは非常に大切だと思います。今日のお話しで、本当の意味のネットワーク、本当の意味の信頼関係を考えさせられました。プロジェクトは、やはりトップ同士の信頼関係がまずありきで全体が進んでいきます。経営者なりトップが、しっかり信頼関係を作るのは絶対に必要だと思います。
     高度成長期とは違う、今の時代に生き残ってる会社は、本当に強い力がある会社だと思います。また、世界の最適化の中で私たちもこれから発展していかなきゃいけない中で、やはり足りない所は補い合っていく必要があると思います。お互いを知り合うために、まずお互いが自ら動き出して、「一歩前へ」じゃないけど「一歩横へ」、本当に少しでいいから、今までの自分の殻を破って歩み寄れば、いろいろなものがまた生まれてくると思います。実際にいろんな実例が出てきている。一歩踏み出すというのが必要なのかなと思います。
  • 司会
     ありがとうございました。
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