和紙を祖業とする老舗 | 小津産業株式会社

企業概要

企業名
小津産業株式会社
創業年
1653年(承応2)年
所在地
東京都中央区日本橋本町三丁目6番2号
代表者名
今枝 英治(代表取締役社長)
資本金
13億2,221万円
従業員数
89名
業種
不織布、洋紙・紙製品などの国内販売・加工、輸出入
HP

1.1653年創業 和紙を祖業とする老舗

■江戸大伝馬町にて紙商として創業
 当社は、伊勢松坂から江戸の紙商に奉公に出た初代・小津清左衛門長弘が1653(承応2)年に江戸大伝馬町(現・日本橋本町)において紙問屋「小津清左衛門店」を開業したのが始まり。

以来、一貫して創業の地を離れず日本橋で事業を営んでいる。1698(元禄11)年には木綿店を創業する等、商勢をふるい、江戸商人番付にも小津清左衛門の名が載っている。


 

■経営を番頭にゆだね組織の近代化を図る
 明治になってからも、紡績会社の設立や銀行の設立等、さらに事業を拡大し続けたが、1923(大正12)年の関東大震災、1927(昭和2)年の金融恐慌等のあおりを受ける。

 経営の危機に立った小津本家は、1929(昭和4)年、東京にあった3つの店舗を別々に法人組織化するという大きな決断を下す。当時の番頭達が出資金を出し合い、責任社員となって合資会社を発足させた。これにより創業以来276年経営を担っていた小津本家は、14代清左衛門長謹を最後に、経営から身を引くことになった。

 法人組織化した店のうち、和紙の生業を引き継いだのが「合資会社小津商店」である。江戸以来の伝統を持つ和紙の小津は、その後さらなる経営の近代化を図り、「小津商事株式会社」を東京市日本橋区(現 本社所在地)に設立、1944(昭和19)年には商号を「小津産業株式会社」と変更。温故知新という企業理念のとおり、江戸を代表する老舗としてその伝統を守るとともに、先見の明で時代のニーズを汲み取り、数多の挑戦を続け、現在に至る。

2.現代の小津産業~温故知新の理念のもとに~

今枝英治代表取締役社長にお話を伺いました。



       今枝英治社長

■小津の文化
 「伝統、それは継続的な開拓の歴史である」-このような教訓が当社に存在する。和紙を祖業とする当社の364年の歴史を見ると、その時代時代に必要な変化を遂げている。企業理念である温故知新も、この認識に基づいている。

  

 戦後は、和紙から洋紙・家庭紙の販売に主力を移し、その後原料である靭皮(じんぴ)繊維(楮、マニラ麻など)や木材が国内で不足したときには、化学素材に目をつけメーカーと共に新商品を開発し、不織布という「新しい紙」の道を切り拓いた。紙にこだわりながらも、時代の動きを鋭く見つめて、新規事業を開拓し続けている当社の道のりは、まさにこの企業理念を体現したものだ。  

 小津ブランドは「伝統・日本橋・和」と考えている。この「和」は「なごむ」という意味もあり、グループ内の「和」ともいえ、日常の業務や会社行事などを通して先輩から後輩に伝統を継承している。また、現在、和紙事業は関連会社の小津商店が運営しているが、2005(平成17)年に本社ビルに移設した同社の「小津史料館」においても、歴史の中での当社の在り方を見直すことが出来るようにしている。過去に立ち返って今後の事業展開を見据えられることは、老舗だからこそ可能となる強みである。
 

■5つの経営戦略と小津グループ


当社不織布製品:エレクトロニクス向け
ワイパー「ベンコット」シリーズ

 現在、当社は、革新と挑戦をテーマに掲げて5つの中長期的な経営戦略(①グローバル展開の更なる推進②革新的新事業・新商品の創出③コンバーター機能の強化拡充④小津グループ各社の連携による事業推進⑤次世代を担う人材育成)を展開している。  

 当社は、不織布と出会うことで「ものづくりする商社」になった。グループ企業で不織布の加工工場を2社持っており、顧客ニーズに合わせた不織布製品を提供している。ここ数年の動きとしては、2013(平成25)年に、ウェットティッシュを取り扱う株式会社ディプロの発行済み株式を全取得し、子会社化した。ディプロがグループに加わったことで、メーカーとしてのポジションの事業も得た。 これは、もともと商社である当社にとって、さらなる革新を遂げる挑戦の一つだと考えている。経営戦略の「③コンバーター機能の強化拡充」で掲げる、「特長ある製品の開発・加工に注力」する取り組みの一つだからである。現在当社の主力商品は不織布であるが、「単に不織布を販売するだけでなく、これを加工することによって新たな付加価値を創出する商社」を目指している。日本が世界に誇る資源である「水」を活かしたウェットティッシュは、品質の良さから世界に向け発信できる商品だと考えている。  

 小津グループは、このディプロのほか、ティッシュペーパー等の家庭紙を扱うアズフィット株式会社、シーダーテープという農業資材を取り扱う日本プラントシーダー株式会社、不織布の加工を行うオヅテクノ株式会社、中国での営業拠点である小津(上海)貿易有限公司、3月27日に設立した過酢酸ビジネスを展開するエンビロテックジャパン株式会社、そして当社から構成されている。グループ経営では、各社の独立採算を非常に重視した経営を行っている。一方で、小津産業の持つ歴史や伝統をグループ全体に伝えていく努力も日々続けている。自分(今枝社長)が役員に就任していないグループ企業の役員会には、オブザーバーとして出席し、自立性とグループシナジーを両立させている。


当社不織布製品:
コスメティック向けフェイスマスクシート

■中国化粧品市場での需要

 海外展開に関しては、1998(平成7)年に「海外開発室 中国駐在所(のちの武漢事務所)」を開設したのを皮切りに、積極的に取り組んできた。現在の売上構成でみると、約8割が国内、約2割が海外である。海外売上のうち、7割近くを中国が占める。当社の主力製品は、エレクトロニクス機器の製造工程で使われる拭き取り用の不織布製品(ワイパー)であるが、現在、海外、特に中国市場において伸びしろがあると捉えているのは、美容用フェイスマスクの素材となる不織布である。メイドインジャパンという確かな素材品質と、商品コンセプトに合わせた最適な素材提案が市場で高評価を得ている。  

 中国の化粧品類市場は一説に6兆円と推定されているが、そのうちの2割近くがフェイスマスクといわれる。日本の化粧品類市場が2兆円、うちフェイスマスクのシェアは2%ほどという状況と比較すると、いかに中国が巨大で魅力的な市場かが分かる。2011(平成23)年には上海に現地法人「小津(上海)貿易有限公司」を設立し、地域密着型の営業を実現していることも強みである。


本社ビル(1~3階は小津和紙店舗となっている)
 

■営業畑出身だからできること
 「悩むぐらいなら外に出なさい」と社員に助言している。それは、現場=お客様を知ること、現場に立ち戻ることが小津の源泉だと考えるからだ。自分(今枝社長)自身、営業畑に長く在籍し、「自分が動いて初めて教えてもらえる」ことを、身をもって実感している。

また、約2年前に社長に就任した最初の全体会議では、社員に「自分の持ち味は何なのか」を考えてほしいと話した。「持ち味」を活かしてこそ良い営業ができるし、お客様にも喜ばれる。

 「自分(今枝社長)の持ち味はどこにでも顔を突っ込むところ」であり、社員にもお客様のところに一緒に連れて行ってほしいと伝えている。それもあって、社員からは同行訪問の依頼が多くあり、会社にとってもプラスの方向に働いている
 

■商売の神様に守られている
 本社ビルの裏に商売繁盛の恵比寿様を祀る宝田恵比寿神社がある。当社は今でも、恵比寿講の名残があり、年に2回ほど紅白の大福餅が社員全員に配られる。小津の今日までの繁栄は、経営努力はもとより、商売の神様にも守られているような気がする。 

 当社は老舗企業でありながら、「老舗」という言葉から一般的に連想されるファミリービジネスではない。東証一部に上場する会社でもある。従業員には外国籍の方が複数いるし、女性も比較的多い。多様な社員がそれぞれの能力を発揮して生き生きと働く、ダイバシティー経営を地で行っている。それでいて風通しが良く、家族のような一体感があるという社風は、老舗ならではの良いところなのかと思う。

 「きちんとした経営が出来ていれば、小津のこだわりや老舗として守りたいものも、ステークホルダーは理解をしてくれる。小津グループ全体でこれからもシナジー効果を強め、きちんと小津らしさを発信し続けられる企業でいたい。」

 

(取材日:平成29年3月27日)

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